MY PARTNER|14mmの広大な視野と開放F1.4の明るさが周辺の星々まで鋭く描き出して夜空の物語を紡ぐ
公開日:2026年9月24日
RF14mm F1.4 L VCMで挑む星景撮影。写真家・たけもち氏が、超広角大口径がもたらす高い描写力や過酷な海外遠征を支える優れた機動力の魅力を語ります。

標高2,757メートルの静まり返ったリッフェル湖畔。鏡のような水面に映る逆さマッターホルンと、夜空から降り注ぐペルセウス座流星群を狙ったものです。14mmのワイドな画角が生きて、狙い通り数多くの流星を画面に捉えることに成功しました。周辺までシャープに結像するため、流れ星の一瞬の鋭い光跡がくっきりと浮かび上がります。
たけもちのレンズ選びの条件
星空の撮影にRF14mm F1.4 L VCMが欠かせない理由とは?
たけもちの使用開始日:2026年2月
星空風景を撮影する者にとって、レンズを選ぶ基準は極めてシンプルです。それは「開放、もしくはどこまで絞れば四隅の星がゆがまずに点として写るか」。この一点に尽きます。もし、F2.8付近まで絞らなければ美しい点像を得られないようでは、光量の限られた夜間撮影において撮影が難しくなります。その意味で、RF14mm F1.4 L VCMはまさに長年待ち望んでいた厳しい条件に対応してくれる1本でした。発売と同時に迷うことなくサブ機も含めて2本を買いそろえたのは、夜空の輝きと地上の気配を妥協なく描き切れると確信したからです。開放F1.4がもたらす十分な光量、そして四隅の星までゆがみのない澄んだ像を結ぶ確かな描写力。これらが、私の表現に新しい可能性をもたらしてくれたのです。
RF14mm F1.4 L VCM
画角(水平・垂直・対角線):104°・81°・114°
レンズ構成:13群18枚
絞り羽根枚数:11枚
最小絞り:16
最短撮影距離:0.24m
最大撮影倍率:0.11倍
フィルター径:非対応
最大径×長さ:約Φ76.5×112mm
質量:約578g
14mmの超広角と開放F1.4を誇る大口径単焦点レンズです。蛍石、UDレンズ、BR光学素子の採用により、大口径レンズで発生しやすい色にじみを効果的に低減。サジタルコマフレアも良好に補正し、画面の隅々に至るまで星々をシャープな点像に整えます。小型・軽量設計と高い機動力を備え、風景から星空までクリアな高画質で描き出します。
Photographers’ File 09 たけもち
Takemochi
国内外の星空や風景を撮影するフォトグラファー。星空を求めて各地を旅し、天の川をはじめとする壮大な星景を、その土地ならではの風景とともに写し出す。ニュージーランドやフィンランドなど海外での撮影にも積極的に取り組み、SNSを中心に作品を発表している。ニュージーランド航空のトラベルクルーや、JAL、JRなどの企画・レポーターとしても活動。キヤノンVアンバサダーも務める。現在は『デジタルカメラマガジン』をはじめ、写真誌やWebメディアへの作品掲載、撮影ノウハウの寄稿も広く行っている。
星空と地上の気配を1つに紡ぐ開放F1.4の描写力

ニュージーランドのアオラキ/マウント・クック国立公園で撮った写真です。撮影の帰り道、ふと頭上を見上げると、夜空に浮かぶ大小のマゼラン雲と南十字星、そして天の川が広がっていました。ホテルの明かりに照らされた地上景色が白飛びしないよう露出を変えて複数枚を撮影し、丁寧に合成しています。開放F1.4という明るさでありながら、周辺部に位置する極小の星々までにじみなく忠実に捉え切るからこそ、南半球の満天の星をそのまま届けることができます。
ただ星空を写すだけなら、どこで撮っても同じような写真になってしまいます。だから私は、その土地ならではの風景や、そこに漂う空気感ごとフレームに収めることにこだわってきました。見る人に「いつかこの場所に立ってみたい」と思わせるような、夜の気配をそのまま届けること。それが私のスタイルであり、その表現の核となってくれるのが、この超広角単焦点レンズRF14mm F1.4 L VCMです。しんと静まり返った暗闇の中、耳を澄ますと届くかすかな波音や風のささやき。肌をなでる夜気を感じながら三脚を据え、静かにファインダーをのぞき込む。その瞬間に全身で受け取った大自然の気配を、きらめく星々とともに1枚のフレームに収めていく時間は、写真家として最も充実する瞬間です。
かつては、画面の周辺で星がゆがんでしまうサジタルコマフレアに頭を悩ませ、絞り込むかあるいは合成処理に頼るしかありませんでした。しかし、このレンズは違います。開放F1.4から周辺部でも星がゆがまず、見事な点像を維持します。端に重要な星座を置く構図でも、画質の低下を気にする必要は一切ありません。
静止画と合わせて星空のタイムラプス映像も制作しています。タイムラプスで何より重要なのは、四隅が流れずにノイズのない澄み切った連続写真を用意できるかどうか。ここで開放F1.4の豊かな光量が真価を発揮します。
撮影の基本設定は、開放F1.4にシャッター速度15秒、ISO 6400。開放F1.4の明るさのおかげでISO感度を無理なく抑えられ、落ち込んだ影の奥までクリアな描写が得られます。100枚以上を重ね合わせるスタック処理を施してもざらつきが現れず、現場を包み込んでいた荘厳な静寂をも、写真の中へ閉じ込めることができるのです。

ニュージーランドのタスマン湖のリフレクションです。氷河が溶けてできた静かな湖面で、水面に揺れる無数の星影を主役にした上下対称の構図を選びました。頭上高くには、南半球ならではの角度でさえわたるさそり座を配置。14mmという圧倒的な画角がなければ、この広大なリフレクションと頭上のさそり座を1枚に収めることはかなわなかったでしょう。F1.4の明るさが、漆黒の水面へ映り込むかすかな星の光まで鮮明に浮き彫りにします。
たけもちのF値別使用率

このレンズが持つ最大の真価は、開放F1.4から周辺画角の星まで崩れることなく、美しい光の点を描き出す極めて高い光学性能にあります。したがって、私の撮影では光量を最大限に生かせる開放F1.4での描写が基本です。ただし、月明かりが夜空を明るく照らす夜や、ISO感度をある程度は妥協して地上の質感をどこまでも緻密に描き出したいときには、F2近辺まで絞ることもあります。その場の光の表情をつぶさに見極めながら、F1.8やF2.5へと柔軟に調整しています。
画角の制約から解放する14mmの広大な視野と機動力を高める優れた軽量設計

記録的な大雪に見舞われたマウント・クックの麓。月明かりに映える純白の雪原と、頭上を貫く天の川を狙いました。14mmの広い画角だからこそ、このスケール感を1枚に収められました。過酷な極寒の中でも、優れた機動力と描写力が一期一会の奇跡を余すことなく描き出しています。
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西表島の道端に静かにたたずむヤマネコ像と、その上にそびえたつ天の川。視界の上を横切る電線をかわすため、数センチ単位での厳密な立ち位置調整を繰り返しました。14mmという超広角は写る範囲が非常に広いため、不要な人工物が写り込みやすくなります。しかし、ヤマネコ像に極限まで近づいてパースペクティブを強調することで、背景の電線を効果的に画面外へ追いやり、島特有の物語が息づくダイナミックな対比を描き出しています。
14mmという圧倒的な視野は、撮影後のトリミングの自由度を高めます。SNS向けに4:3や4:5へ切り出しても、余白が生きて構図が窮屈になりません。天の川が描くダイナミックな広がりも、そのスケール感を損なうことなく思い通りに表現できます。16mmではあふれてしまう「さそり座と天の川の共演」も、14mmなら1枚のフレームに美しく収まります。足場が狭く、後方に一歩も下がれないような現場でも、14mmの広さがあれば構図づくりに余裕が生まれ、撮影位置の制約から解放されます。
ニュージーランドやスイスといった過酷な海外遠征において、小型・軽量であることは何よりの強みです。厳しさを増す航空手荷物の重量制限の中、機材をいかに軽量化できるかは旅の成否に直結します。このレンズを2本携える私にとって、コンパクトさは絶対的な利点でした。スイスでマッターホルンと流星群を追い、標高2,757メートルの静寂の中を数時間歩き続けた夜。体に負担をかけない軽さの恩恵を、骨身にしみて実感しました。軽さがあるからこそ2本を現場に持ち込み、静止画とタイムラプスを同時に狙う贅沢な2台体制も組めるのです。
頭上を天の川がダイナミックにまたぐ大自然の中で、広い視界と明るさは何ものにも代えがたい武器となります。自然の奥深くへと入り込み、その一瞬の光景を捉える。誰も見たことのない星空を写したいというあくなき挑戦を力強く支えてくれる、最高のパートナーです。

ニュージーランドのモースレイクで撮影した巨大な天の川のアーチ。そのアーチが地平線へと静かに没していくさそり座の様子を収めました。開放F1.4という大口径で捉えているにもかかわらず、画面の隅々に至るまで一切の妥協のないシャープな描写力。ニュージーランドのどこまでも冷たく澄み切った、凛と張り詰めた空気感まで、そのまま写し取ることができました。
このレンズを買う前に知っておきたいこと
14mmという超広角を扱う際、むやみに三脚を低くセットし過ぎると、特徴のない手前の地面が画面の多くを占めてしまい、満天の星が持つダイナミックな広がりや空間のバランスが損なわれてしまいます。カメラの高さやポジションを適切に保ち、地平線の位置を意識しながら、手前の景観と夜空の遠近感をバランスよく表現するのがポイントです。また、画面周辺のパースペクティブによるゆがみを避けるため、人物などの主要な主題は中央付近に配置したいところです。超広角だからこそ、ほんの少しの傾きも不自然さにつながるので、水平・垂直をどこまでも厳密に追い込むことが作品の精度を高めます。
作品は画像編集ソフトで地上部と星空部を合成しています。