山崎 友也が選ぶ、表現力高めるRFレンズ|「作品づくり」はレンズから始まる ― 鉄道写真の核心
公開日:2026年7月17日
写真家たちが選ぶ、愛すべきRFレンズの魅力を紹介する本企画。今回は鉄道写真家・山﨑友也氏が、RF24-105mm F2.8 L IS USM ZとRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMを使った鉄道写真の作品づくりや、レンズ選びのポイント、表現力を高める撮影術を語ります。
YUYA YAMASAKI
1970年広島生まれ。鉄道写真の専門家集団「レイルマンフォトオフィス」代表。独自の視点から鉄道写真を多彩に表現し、出版や広告など幅広い分野で活動中。写真集に『Memories 車両のない鐵道写真』(日本写真企画刊)など多数。
レンズ選びが作品の質を決める
列車をメインに大きく写したものやきれいな風景のなかを走る列車を撮った写真が、いわゆる鉄道写真と思われがち。もちろんボクもそのような写真を撮るには撮るが、それはあくまで仕事として。そこに思いも寄らない自然現象が絡んだり自分なりのひらめきや感受性がともなった写真が撮れて、初めて「作品」として誇ることができる。その観点からすると、レンズの選択は非常に重要な要素となる。
フィルム時代、機材は単焦点レンズがほとんどだったことから、現場に立ち、目の前の風景をどのように切り取るか判断すると、「◯◯mmだな」とその場で焦点距離がわかってしまう。最近はF値も明るく、画質も良いズームレンズが主流だが、ファインダーを覗いてから画角に迷っているようでは、レンズを使いこなせているとは言えない。最初にしっかりとした完成図を頭に思い浮かべてからフレーミングに挑んでほしい。

夏空のもと、峠道を駆け下りるE8系「つばさ」。雲が良いアクセントとなっていたので、これらを画面に入れつつ全体のバランスを考えると、24mmの焦点距離に落ち着いた。

1本前の列車撮影時に、トンネルの天井にテールランプが反射することに気づき、夜であればもっとインパクトがあるのではと直感。待つこと1時間。思い描いた通りの結果を得た。
超望遠が拓く「未知」の鉄道風景
そんななか近年ボクが愛用しているレンズが、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM。走ってくる列車を主題にするには最適だし、ワイド側が100mmなので絶景をゆく列車だって撮ることができる。ただやはり一番の魅力は、超望遠の圧縮効果を利用したイメージ写真も撮れること。300mmをはるかに超える500mm域が繰りひろげる未知の世界は、鉄道写真の新たな可能性を追求するのに打ってつけだ。
最初は、楽して手軽に撮るためのレンズだとあまり期待していなかったのだが、機動力はともかくズーム域の長さや画質の良さ、そしてこれ一本でスナップを含めほとんどの鉄道写真を撮ることができるということを実感すると、もはや離すことができないレンズとなってしまっていた。

前後に動けず、立ち位置が制限される場所からの撮影が多い鉄道写真。このようなときにこそ望遠ズームの独壇場。日没の時間と列車の通過時刻を計算して撮影場所を逆算しないと、このような状況の写真を撮ることは不可能だ。
悪条件を味方にする明るさと描写力
もう一本はというと、RF24-105mm F2.8 L IS USM Z。開放値がF4ではなくてF2.8というところがポイントだ。
動く列車を撮る際は、朝夕や夜、豪雨や吹雪など、明るさが非常に乏しい状況もあり得る。そういうときに、この一段の露出差は非常に大きい。そしてそのような悪条件の時にこそ、渾身の一枚というのが撮れるもの。
加えて画質がハンパなく良い。鉄道のポスターなど写真を大きく伸ばす広告写真の場合には、やはり解像感が大事になる。カメラもどんどん高画素になってきているので、レンズの画質の甘さも見えてくる。確実に信頼のおけるレンズを選んでさえおけば、より感性を研ぎ澄まし、状況をコントロールし、作品づくりに集中できる。

早朝、霧が立ちこめる幻想的なシーンに出会う。このときに感じた淡い雰囲気や冷たい空気感を忠実に再現できるかが、レンズに対する信頼感と比例するのだが、このレンズの描写力や解像感はそれを遙かに上回るものだった。

画面の左下に列車を置き、右上に木の梢を配置することで対角線構図を構成し、安定感を保ちつつ動きのある写真にまとめる。画面の四隅に近い位置に列車があるものの、歪んでいないところがクオリティの高いレンズだという表れだ。
構図力とレンズ選びが作品を磨く
ボクの場合、雄大な風景を撮影するときには広角レンズを使用する。あえて列車を小さく写し、周りに広がる絶景を余すところなく表現したいからである。田んぼや花畑などで列車を撮るときでも、肉眼で見るよりも広く写る広角レンズの特性を利用すれば、たとえわずかな花々でも広大な花畑のように見せることができるのだ。
列車そのものをきれいに撮ったり、人工物など不要なものを排除して景色を切り取ったりする際は、標準から望遠レンズが最適だ。標準系は肉眼の画角に近いため安心感のある写真が撮れるし、山の上からの俯瞰写真や川や池の対岸から狙う際には、ほとんどが望遠レンズを使用している。
また列車の迫力や圧縮効果によるイメージ写真を撮るには超望遠レンズが牙をむく。肉眼では想像もつかないシーンが見えたり夕日や月を巨大化させたりと、そのポテンシャルは未知数だ。
カメラが高画素化した昨今、「広めに撮影しておいて、あとでトリミングすればいいじゃないか」と考えている人も多くいる。しかし構図力が伴っていないと、トリミングしても所詮駄作にしかならないのだ。やはりどのように撮りたいかを事前にイメージした上で、それを具現化するための的確なレンズ選びが大事である。
撮影地の制約を克服するズームワーク
鉄道写真でいうと、そもそも撮影する場所の制限が多いため、単焦点だと撮りたい構図で撮れないことの方がほとんどだ。たとえば限られた足場で、山の稜線にある木をもう1本入れるかカットするのか、畑の花をあと一輪加えるのか省くのか、このようなとてもシビアな悩みの際、単焦点レンズではどうすることもできなかった。
しかしズームレンズであれば、自分が狙った通りの構図に仕上げることができるのでありがたい。ほんの数センチ、数ミリ単位のズレで、写真の出来栄えというのは大きく変わってしまうものなのである。
さて、今ボクの撮影スタイルでもっとも使用頻度の高いレンズがRF24-105mm F2.8 L IS USM ZとRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMである。これらは約4~5倍の長いズーム域を持っているのが特徴で、先の理由からも鉄道写真を非常に撮りやすいレンズである。極端な言い方をすれば、広角から超望遠までカバーできるため、この2本で鉄道写真は事足りる。

従来では車両がきれいに見えない鉄道写真はタブー視されていたが、ボクは今までの枠にとらわれず、感じたままに表現している。このカットでは手前の枝や葉っぱがボケていることが重要なので、F値が明るくないと意味がない。

雄大な風景のなかを走る列車を撮るには広角系がオススメだ。コツは列車をどれだけ小さく写しても目立たせることにある。この場合だと、青と緑のなかに不自然な灰茶色と人工物があるため、自然とそこに目が集中する。

たまたま通りかかった踏切で、夕空を浴びて光る真っ直ぐに伸びる線路に大興奮。急いで時刻表を調べている途中に警報機が鳴る。慌ててレンズだけ持ち出し全速力。手持ちでもこの焦点距離で撮影できるのが強みである。
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この記事は、フォトコンとのタイアップ記事です。