EOS R6 Mark IIIで描く、日常を「アニメの世界」に変える視点と表現
公開日:2026年3月24日
日常の景色が、まるでアニメのワンシーンに変わる——。
そんな“非日常の魔法”を実現するにはどうすればいいのでしょうか?本記事では、アニメチックな世界観を写真や動画で描くフォトグラファー Shotaさんが、日常風景をドラマティックに変えるための視点の持ち方・撮影テクニックなどを詳しくご紹介します。
より美しく日常を切り撮り、写真表現の幅を広げたい方に役立つ実践的なヒントや、アニメチック表現におけるEOS R6 Mark III の魅力についても伺いました。
-
※
CP+2026で開催されたセミナーの内容をもとに構成した文字起こし記事です。
アニメチックな写真のきっかけ
田舎の「なんでもない」日常の魅力
今回は、僕がアニメチックな写真を撮るようになったきっかけと「写真をアニメチックにするとはどういうことなのか」についてお話しできればと思います。この水溜まりの写真は、僕の人生を変えてくれたと言っても過言ではない奇跡の1枚です。こういった水溜まりのような日常の景色をアニメチックに表現する写真を普段撮影しています。
僕は兵庫県の出身で、その中でもかなり田舎の地域で育ちました。電車は1時間に1本しか来なかったり、コンビニに行くにも車が必要だったり、そんな環境で暮らしていたんです。
大学進学で京都に引っ越したときは、時刻表を見なくても電車が来ることにまず驚きましたし、ボタンを押さなくても自動で扉が開くことにも「都会」を強く感じました。
一度離れてから地元に帰省してみると、田舎ならではの静けさや自然の音がとても心地よくて、「何でもない日常」が結局いいんだなと改めて気づきました。こちらの写真も、僕の地元で撮影したものです。

この写真(下)のように両側を緑で囲まれている景色もなかなか都会では見れない光景ですよね。こういう写真を見ていると、風で木の葉が揺れている音や川が流れている音が聞こえてくるようで、それがいいなって思ったんです。

大学時代にEOS 9000Dを購入、新海誠監督作品との出会い
中学生の頃、恩師がキヤノンのカメラを使っている姿がとてもかっこよく見えて、将来自分がカメラを買うならキヤノンにしようと決めていました。そして大学1年生の冬、初めてのカメラとして EOS 9000D を購入しました。
そこからは、カメラを持って外に出て写真を撮ること自体が楽しくなり、今では EOS R5 を愛用しています。
大学時代には、新海誠監督の作品について学ぶ授業を受ける機会もありました。監督が描く緑の美しさや、日常の風景をここまで鮮やかに表現できることに強く感動し、「自分もそんな世界を写真として表現してみたい」と思ったことが、今の撮影スタイルの原点になっています。

写真をアニメチックにする理由

写真をアニメチックにする理由については、自論ですが2つあると思っています。
1つは、日常の中にある魅力を再発見できることです。
何気ない、どこにでもある風景でも、写真として切り取るとまるで観光地のように見えることがあります。日常の景色の中に潜んでいる光や匂い、音、空気感といった要素に、美しさやその場所特有の価値を見出せる、そこがアニメチック表現の魅力だと思っています。
そういった魅力は以前から自分のまわりにたくさんあったはずなのに、実はカメラを始めるまでは美しいと感じたことがなかったんですよね。カメラを手にして、写真を撮るようになって初めて「いいな」と思えるようになったのは自分でも驚きでした。
僕が写真をアニメチックにする2つ目の理由は、撮影したときの感情を写真の中に落とし込めることです。
そもそも「アニメにおける風景の役割って何だろう?」と考えたとき、風景がキャラクターの心情を語る演出として使われている場面が多いことに気づきました。
たとえば、夕焼けの中を主人公が歩くシーンなら「明日に向かって少し希望を抱いているのかな」と感じられますし、雨や曇り空のシーンなら、どこか悲しい心情を表しているようにも見えます。
同じように、自分が撮影したときに抱いた感情や想いも、写真の色味や構図を通して表現できるのではないかと考えています。
例えばこの写真(上)でいうと、「気持ちのいい青空だったな」という印象を表現したかったので、爽やかな印象を与えられるように、青の中でも少し明るめの、軽やかな青色へ調整しました。
アニメな写真を撮るためのインプット
1つはアニメをよく見ることですね。具体的には、どんな色がそのアニメでは使われているのか、影1つとっても様々な色が使われていて、黒だけじゃなく緑だったり紫だったり、そういった色を見てみること。あとはどのような構図で切り取られているのか意識して見てみることもおすすめです。ただ、最初はあまり難しく考えすぎずに、構図を真似してみるのも良いと思います。

もう1つは、“用事のない日”にいつもの道をブラブラしてみること。
これは日常の魅力を再発見するという話にもつながりますが、何か用事がある日は、例えば仕事に行く日なら「今日はこれをやらないと…」と、どうしても意識がそちらに向いてしまいます。
だからこそ、「用事がない」ということがとても大切なんです。用事がない日だからこそ心に余白が生まれて、これまで気づかなかった景色や空気に気づける可能性が高まるんじゃないかなと思います。
EOS R6 Mark IIIとアニメチック表現の相性は?
今回、EOS R6 Mark IIIを使ってみて、僕の中でアニメチック表現と相性がいいなと思ったのは以下の3つの性能です。
-
素早いAF性能
-
ダイナミックレンジの広さ
-
動画における手ブレ補正の優秀さ
まず、AFがとにかく速いことです。
「この瞬間、電車が通り過ぎるシーンを撮りたい」と思っていても、AFが遅いと狙ったタイミングを捉えるのは難しくなります。その点、カメラの高速なAFがしっかりサポートしてくれることで、撮りたい瞬間を逃さずに撮影できる――ここが大きなポイントだと感じています。

2つ目は、僕の中でかなり重要視しているダイナミックレンジの広さです。
ダイナミックレンジが広いと、暗い部分から明るい部分までの階調がしっかり残り、空の繊細なグラデーションも美しく表現できます。逆光のシーンでも、影のディテールを保ちながら白飛びを抑えてくれるので、アニメのように情報量の多い描写が可能になります。


3点目は、動画撮影における手ブレ補正の優秀さです。
動画でも「美しい瞬間をしっかり残したい」と思うのですが、常にジンバルを持ち歩いているわけではありません。だからこそ、ジンバルがなくてもカメラ本体だけで手ブレをしっかり抑えて撮影できる点は、とても魅力的に感じました。実際にこの動画も手持ちで撮影しているのですが、手ブレがほとんど気にならず、本当に撮りやすいなと実感しました。
日常はもっと美しくなる
写真を撮りたいと思ったとき、つい理論など難しく考えてしまったり、撮りに行くハードルが高かったり、「どうせ撮ってもうまく撮れないし…」なんて思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、そういった気持ちは一度そっと脇に置いて、普段使っているカメラで構わないので、ぜひ持って気軽に出かけてみてほしいです。そして、「この景色、いいな」とか「この瞬間、すごく綺麗だな」と自分が感じたところにフォーカスして撮ってみてください。
それだけで、日常はもっと美しく見えるようになると思います。

PROFILE
Shota
日常の中にある一瞬の光や空気感を、アニメチックで印象的な色表現とリフレクションを軸に切り取る。
写真・映像の両軸でSNSを中心に発信し、観光・ホテル・ブランドプロモーションなど幅広いジャンルのコンテンツを制作。
撮影から編集、アウトプット設計まで一貫した表現を得意とし、誰かの癒しや誰かの元気に繋がるきっかけになるようなコンテンツをテーマに活動中。
関連商品
関連リンク
-
旅行の空気感や感動を動画でそのまま残す「Vlog」撮影のコツデジタルクリエイター・大石結花さんがEOS R50 Vを使ってスペイン・マドリードで撮影した旅Vlogを例に、Vlog初心者でも真似しやすい撮影設定と構成のコツを紹介します。

-
カメラと歩けば、街はもっと面白い。日常スナップのヒント異なる立場を持つ2人が、それぞれ違うカメラを携えて一日街を歩きながらスナップ撮影を敢行。同じ時間、同じ場所であっても、視点や機材が変われば写真はどう変わるのか—その違いを楽しみながら、街スナップをもっと面白くするヒントを探っていきます。

-
大口径・超広角レンズ「RF14mm F1.4 L VCM」紹介サイト星景と風景撮影にかつてない可能性を。3人の写真家による日本の美しい夜空とインプレッション。
