MY PARTNER 鉄道|表現の幅と機動力を両立した万能望遠ズームレンズ
公開日:2026年6月18日

山あいに立ち込めた雲海が晴れていき線路が見えてくると、タイミングよく列車がやってきました。雲海の動きに応じた臨機応変な構図変更には、滑らかなズーミングが強い味方になります。
長根広和のレンズ選びの条件
鉄道の撮影にRF70-200mm F2.8 L IS USM Zが欠かせない理由とは?
長根広和の使用開始日:2024年11月29日
鉄道写真において70~200mmという焦点距離は「鉄道風景」から「編成写真」まで、多くの鉄道シーンに対応し、いわゆる大三元レンズの一角として、昔から愛用されてきました。70~200mmを基準に、状況に応じて標準や超望遠を選択するのが、効率的な撮影スタイルです。その中で本レンズは全域開放F2.8の明るさを誇る「F2.8 Lズームシリーズ」ならではの描写力に加え、エクステンダーによる拡張性も備えた、鉄道撮影において最高の相性を持つ私の撮影には欠かせない1本です。
RF70-200mm F2.8 L IS USM Z
画角(水平・垂直・対角線):29°~10°・19°30'~7°・34°~12°
レンズ構成:15群18枚
絞り羽根枚数:11枚
最小絞り:22
最短撮影距離:0.49m(70mm時)、0.68m(200mm時)
最大撮影倍率:0.2倍(70mm)、0.3倍(200mm時)
フィルター径:Φ82mm
最大径×長さ:約Φ88.5mm×199mm
質量:ホワイト:約1115g、ブラック:約1110g(三脚座を含まず)
動画と静止画の境界を越える「Z」の称号を冠する新70-200mmズーム。高い描写性能と軽量さを達成しつつ、インナーズーム方式を採用しています。ズーミングによる全長変化を排したことで、重心移動を最小限に抑制。さらにエクステンダーにも対応し、最大400mmの超望遠域をF5.6でカバーする圧倒的な拡張性を手に入れました。キレのあるF2.8の描写力を維持しながら、近接から遠景までを高速・高精度に捉えるAF性能も備え、表現力と機動力を両立させた、まさに鉄道シーンにおいて万能な1本です。
Photographers’ File 04 長根広和
Hirokazu Nagane
1974年、神奈川県横浜市生まれ。鉄道写真家・真島満秀氏に師事。(有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ取締役社長。鉄道会社のビジュアルポスターやカレンダー、時刻表の表紙写真などを手がける。鉄道誌や会員誌での連載も多数。車両そのものの機能美や力強さを表現した写真に定評がある一方、ドラマチックな「鉄道風景写真」にファンが多い。「列車の音が聞こえてくるような作品」をモットーに全国の鉄道を追いかけている。日本鉄道写真作家協会会長。国土交通省日本鉄道賞選考委員。
鉄道風景を切り取るための「黄金の焦点距離」

富良野線沿線に数年に一度、緑肥として植えられるヒマワリ。この貴重な鉄道風景を朝から日没まで撮影。逆光が風景の奥行きを演出してくれましたが、耐逆光性能に優れたレンズに助けられました。
車両を大きく捉える編成写真では200mm以上の望遠レンズが必要になることもありますが、日本ののどかな鉄道風景を撮る場合、実は70mmから150mmの範囲に収まることがほとんどです。風景の広がりと車両の存在感を両立できる100mm前後の焦点域こそが、鉄道写真の「おいしい部分」と言えます。逆に200mmで足りない状況は、一気に300mmや400mmといった超望遠域を必要とするケースが多く、中間域の出番はあまりありません。
Zモデルは、カタログスペック上の質量以上に「軽く」感じられます。かつてのEFレンズ時代、F2.8からF4のレンズに付け替えたときのような軽快な感覚があり、ホールディングのしやすさも向上しています。さらに、ズームリングの回転角が狭いため、瞬時に画角を決められるのも特徴です。これは一瞬のチャンスを争う鉄道撮影において大きなメリットです。

-25℃の凍てつく朝、霧氷の花が朝日に染まります。霧氷のような繊細な自然の芸術は、とにかく高精細な描写が必要。氷一粒一粒まで緻密に描き出す表現力の高さのおかげで、臨場感のある感動的な写真になりました。
長根広和の焦点距離別使用率

使用頻度は100〜150mmが圧倒的に多いです。200mm付近が少ないのは、望遠時は200mmを超える領域へ一気に移ってしまうため。その先をレンズ交換することなく補完できるエクステンダーの存在は、本レンズを使う上でとても心強い存在です。
驚異の描写力とエクステンダーがもたらす自由

早朝にロケハンをしていると、線路端に滝のようなフジの花を見つけました。空気感すらも写し出すレンズ性能のおかげで、朝日が差し始めた始発列車を捉えたときの感動がよみがえってくるようです。
-
※
本記事公開時点のCanon ID登録者限定で、撮影秘話をメルマガ配信予定(2026年6月19日)。後日、Canon ID登録者向けアーカイブ公開も予定しています。Canon ID登録はこちら。

俯瞰撮影地に行くと、さらに望遠で撮りたいという衝動に駆られることがあります。そんなとき、カメラバッグに忍ばせておいたエクステンダーが良い仕事をしてくれます。2倍のエクステンダーを装着しても列車をクッキリ写してくれました。
Zモデルの描写を一言で表すなら「カミソリのような高精細さ」です。決して硬過ぎるわけではなく、冬の霧氷の枝先1本1本を緻密に描き出す繊細さを備えています。1つ1つの描写が緻密であることは、写真全体としての立体感や奥行きを際立たせることにつながります。この描写力の高さは誰が見ても「明らかに違う」と感じるレベルです。
絞り込むことが基本の鉄道風景撮影において、開放F2.8という明るさは「いざ」というときの確かな保険になります。特に光量が不足する日没後、この1段の余裕がISO感度を抑え、画質を決定づけます。また、1段絞ってもなおF4の明るさを維持できる点は、描写力と明るさを両立する上で大きな強みです。さらに、2倍のエクステンダー装着時でも開放F5.6を確保できる点は、超望遠域での撮影においても魅力的です。
かつてエクステンダーの使用は、画質の劣化や開放F値の低下を招く「ネガティブな選択」とされてきました。しかし、RFシステムのエクステンダーは極めて優秀で、本レンズに2倍のエクステンダーを付けた画質は、単体のRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMに匹敵するのでは? と思えるほどです。山登りなどで荷物を削りたい場面では、100-500mmを置いていき、本レンズと2倍エクステンダーのセットで400mm F5.6までをカバーして軽量化することが可能になります。カミソリのような鋭い描写と柔軟な拡張性。過酷な山の上でも、光の消えゆく日没後でも、私のわがままにどこまでも付いてきてくれる本レンズは、これ以上ないほど頼もしい相棒です。

黎明に浮かび上がる満開の桜。始発列車のヘッドライトに旅情を感じます。高精細なレンズとニューラルネットワークノイズ低減の組み合わせでISO 25600でも細部まで美しく描写します。
このレンズを買う前に知っておきたいこと
70-200mmだと焦点距離が足りないかな? と思う場合は2倍のエクステンダーを組み合わせる選択肢があります。装着しても本レンズは画質劣化が少なく、さらに400mmでもF5.6の明るさを維持できるというメリットがあります。従来の「エクステンダーは画質が落ちる」という常識を捨てて高精細な撮影を楽しめます。