MY PARTNER 野鳥|野鳥に警戒心を与えずに遠くから撮る800mmだからこそ写せる鳥たちの自然な姿
公開日:2026年7月9日

メスと追いかけっこをしていたキビタキのオスが、抜けの良い枝にとまってくれました。明るくボケ味に優れたレンズだからこそ、主役をしっかりと引き立ててくれます。
戸塚 学のレンズ選びの条件
野鳥の撮影にRF800mm F5.6 L IS USMが欠かせない理由とは?
戸塚 学の使用開始日:2025年11月
森の中のようなゴチャゴチャとした背景であっても、被写体と背景の色が美しく調和し、濁りのないクリアな1枚に仕上げてくれます。最大の魅力は圧倒的な解像力と自然なボケ味。初めて拡大した画像を見た瞬間、そのシャープさに鳥肌が立ったほどです。F5.6という明るさはシビアな環境になればなるほどその真価を実感できます。他のレンズとは一線を画し、主役を立体的に描き出してくれます。
RF800mm F5.6 L IS USM
画角(水平・垂直・対角線):02°35′・01°40′・03°05′
レンズ構成:18群26枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:64
最短撮影距離:2.6m
最大撮影倍率:0.34倍
フィルター径:差し込み52mm
最大径×長さ:約φ163×432mm
質量:約3140g
RF400mm F2.8 L IS USMの光学系を受け継ぎ、後部に拡大光学系を配置して長焦点化を実現した超望遠レンズです。EF800mm F5.6L IS USMと比べ、小型軽量化を実現。実用性が大きく向上し、野鳥はもちろん、野生動物、航空機やスポーツなどさまざまなシーンで撮影領域を広げてくれます。蛍石やスーパーUDレンズの採用で色にじみのないクリアな高画質を誇り、エクステンダーを装着すれば焦点距離をさらに伸ばすことも可能です。防塵・防滴構造を備えるなど、Lレンズにふさわしい耐久性と信頼性も備えています。
Photographers’ File 04 戸塚 学
Tozuka Gaku
1966年、愛知県生まれ。高校3年時に写真に興味を持ち、幼少期から愛した自然風景や野生動物を被写体に活動を開始。20歳でアカゲラを撮影したことを機に野鳥撮影に没頭し、ネイチャーフォトグラファーへの道を志す。「きれい、かわいい」といった表面的な描写にとどまらず、生きものの“体温やニオイ”までが伝わる表現を究極の目標に掲げる。作品は雑誌、書籍、カレンダー、広告など多方面で発表。日本野鳥の会、西三河野鳥の会、SSP(日本自然科学写真協会)会員。
美しい一瞬を立体的に描き出す、開放F5.6の真価

日本で一番小さい鳥、ミソサザイ。その存在感を際立たせながらも、美しい描写で捉えられました。木道など狭い場所や三脚が禁止されている場所で本レンズを使用する場合、一脚があると便利です。
フィールドに持ち出し、驚かされるのは、その圧倒的なシャープネスとキレの良さです。今回は暗い森を中心に撮影しましたが、海を渡る途中で羽を休めるノスリの姿を捉えた際、羽の1本1本まで高い解像力で描き出してくれました。この解像感を支えているのが、開放「F5.6」という明るさです。F5.6の明るさがあれば、森の中でもISO感度を無理に上げることなく、低感度のきれいな写真を撮ることができます。飛翔する小鳥の動きに対して1/4000秒といった超高速シャッターを躊躇なく切れるのも大きなメリットです。この解像感を支えているのが、開放「F5.6」という明るさです。この「低感度で高速シャッターが切れる」というアドバンテージこそが、野鳥の美しい瞬間を残すためには欠かせません。AFの合焦スピードも速く、最新のカメラと組み合わせれば正確に被写体を捉え続けます。もちろん、海辺などの光量が潤沢なオープンエリアでもその表現力の高さは感じられますが、光が遮られるうっそうとした森の中や、夕暮れ時といった悪条件になればなるほど、このレンズの真価が明確に現れます。

警戒心が強いミヤコドリ。オープンエリアで遠くから少しずつ近づきながら撮影しました。主役のミヤコドリの立体感に背景のボケが加わり、その場の空気感まで伝わってくるようです。
戸塚 学のF値別使用率

全体にピントを合わせようとつい絞り込んでしまう方も多いですが、被写体と十分な距離があれば絞らなくてもピントは合います。何より、このレンズの最大の魅力である「主役を引き立たせる嫌味のない自然なボケ」を最大限に生かすため、F5.6をメインで撮影しています。
主役を美しく浮き立たせる嫌味のないボケ味

上空を飛翔していたノスリがふと木の梢に止まりました。手持ちでの撮影でしたが、強力な手ブレ補正と、800mmとは思えないほどの軽さのおかげで、ブレを抑えたクリアな1枚を写し出せました。
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コルリのさえずりは聞こえても鳥自体が小さく、込み入った枝の中から姿を探し出すのは困難です。ようやく見つけてファインダーに収めると、800mmという超望遠の効果によって、その姿が浮かび上がりました。
本レンズのもう1つの魅力は、その独特なボケ味にあります。800mmという圧倒的な焦点距離とF5.6の組み合わせがもたらす前ボケ・後ボケは、非常に滑らかで嫌みがありません。森の中での撮影は、手前や背景に多くの枝葉が写り込み、画面がごちゃごちゃと乱雑になりやすいものです。F9やF11といった暗いレンズでは、背景の写り込みが整理されず、背景がうるさく主張してしまいます。しかし、このレンズは背景が主役からある程度離れていれば、前後の枝葉が柔らかなグラデーションとなって画面を彩り、ピントが合っている野鳥だけが、まるで画面から浮き上がるような立体感をもって描写されます。被写体と背景の色が美しく調和し、クリアでシャープな1枚に仕上げてくれるのです。構図や背景処理に余計な気を使う必要がなく、シャッターを切るだけで優れた描写が得られるため、撮影時のストレスを軽減してくれます。他のレンズとは明らかに一線を画すこの表現力こそが、本レンズを選ぶ最大の理由と言っても良いでしょう。さらに、2倍のエクステンダーを装着し、1600mmの超望遠の世界へ足を踏み入れた際にも、AFのスピードや正確性はもちろん、描写性能の低下をほとんど感じることなく、野鳥を引き寄せられるのも大きなメリットです。
重量は約3140gです。これは従来のEFレンズ時代の同クラスに比べれば軽量化されており、引き締まったサイズ感にまとめられています。手持ちでの撮影も十分に可能ですが、鳥を待つ時間を考慮すると、三脚や一脚があると便利です。特に展望台のように三脚禁止のエリアでは、一脚が活躍してくれます。強力な手ブレ補正と一脚のサポートがあれば、ある程度限られた条件であっても常に安定したフレーミングが可能になります。

飛び回るハマシギの群れ。2倍のエクステンダーを装着した1600mmという超望遠の狭い画角ゆえ、ファインダーに収めるのは至難の業でしたが、捉えた瞬間の迫力には圧倒されました。
このレンズを買う前に知っておきたいこと
800mmという超望遠レンズでは、動きが速い小鳥の場合、ファインダーに収めづらいケースがあります。その際はAF任せにするのではなく、まずはMFで大まかにピントの「アタリ」をつけて被写体を捉え、そこからAFに切り替えるという手法が有効です。AFが一度被写体をつかんでしまえばその後はほぼ外すことがないため、フィールドワークにおけるテクニックとして、知っておくとストレスなく、野鳥撮影に臨めます。