MY PARTNER|圧倒的な迫力を生む15mm
35mmまで使える万能さも魅力
公開日:2026年7月16日
鉄道写真家・長根広和が語るRF15-35mm F2.8 L IS USM。15mmならではの圧倒的な遠近感と迫力、35mmまで使える柔軟性、高い描写力と逆光性能を生かした鉄道風景表現の魅力に迫る。撮影現場で信頼する理由とは。

西九州新幹線を走る「かもめ」。15mmで撮影すると、ノーズがより流線形に見えるようになり、そこからスピード感を強調できます。新幹線を超広角で止めるには1/8000秒程度の高速シャッターが必須です。
長根広和のレンズ選びの条件
鉄道の撮影にRF15-35mm F2.8 L IS USMが欠かせない理由とは?
長根広和の使用開始日:2019年9月
私が超広角を使う目的は、広く写すためではなく遠近感を生かした迫力を表現するためです。超広角となると画面に入る要素が多くなりますが、本レンズは周辺描写力が高いのも大きな魅力です。四隅に配置した列車や風景も細部まで鮮明に表現されます。さらにSWC 、ASCによる優れた逆光性能のおかげで、太陽が画面に入ってもクリアに写してくれます。これらを高い次元で備えている本レンズは、私の現場には欠かせません。
RF15-35mm F2.8 L IS USM
画角(水平・垂直・対角線):100°25′~54°・77°20′~38°・110°30′~63°
レンズ構成:12群16枚
絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
最小絞り:22
最短撮影距離:0.28m
最大撮影倍率:0.21倍(35mm時)
フィルター径:82mm
最大径×長さ:約φ88.5mm×126.8mm
質量:約840g
超広角ながらズーム全域で開放F2.8の明るさを誇る高性能レンズ。優れた光学性能により、画面の隅々までゆがみのないクリアな描写力を実現し、逆光時もゴーストを抑えた質の良い光条を描き出します。さらに前面に82mm径フィルターを装着できる高い実用性を兼ね備え、どんな鉄道風景でも確かな表現力を約束してくれる1本です。
Photographers’ File 04 長根 広和
HIROKAZU.NAGANE
1974年、神奈川県横浜市生まれ。鉄道写真家・真島満秀氏に師事。(有)マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ取締役社長。鉄道会社のビジュアルポスターやカレンダー、時刻表の表紙写真などを手がける。鉄道誌や会員誌での連載も多数。車両そのものの機能美や力強さを表現した写真に定評がある一方、ドラマチックな「鉄道風景写真」にファンが多い。「列車の音が聞こえてくるような作品」をモットーに全国の鉄道を追いかけている。日本鉄道写真作家協会会長。国土交通省日本鉄道賞選考委員
列車の配置に気を使わない優れた周辺画質

ヒマワリの花びらを透過してきた夕日の輝きに感動したシーン。立体感も生まれています。超広角ズームでは、その広さゆえ太陽が構図に入るパターンが多いですが、このレンズの耐逆光性能にはいつも助けられています。
超広角レンズは一般的に「広く景色を写し込むため」に使うと思われがちですが、鉄道風景写真で単に広く撮ってしまうと列車が豆粒のようになって存在感がなくなってしまいます。私がこのレンズを使う最大の目的は、「写真に迫力を出すこと」にあります。手前にあるヒマワリやコスモスといった風景の主題にグッと寄ることで存在感を引き出し、線路際から列車が迫りくるような強烈な遠近感を1つの画面にハメ込む。超広角域では一般的に下から大きくあおることで四角い車両がハの字にゆがむ性質がありますが、この15mmならではのゆがみこそが肉眼を超えた写真の力強さにつながります。
本レンズを語る上で外せないのが、全域で開放F2.8の明るさと、列車や風景のディテールを克明に描き出す高い光学性能を両立している点です。かつての超広角レンズと言えば、どうしても写真の四隅(周辺部)の画質がにじんだり、流れたりしてしまうことがありました。しかし、画面の隅々まで不自然なゆがみがなく、くっきりとクリアに解像します。これにより、四隅ギリギリに被写体を配置する大胆なフレーミングも躊躇なく行えるようになりました。描写力、堅牢性など、Lレンズクオリティーをはっきりと感じられます。

ライトアップされた夜桜の迫力を出すために、28mmで下から見上げるように撮影。広角レンズは画角が広いこと以外に、パースペクティブを利用した迫力を出すのに適しています。
長根広和の焦点距離別使用率

15mmは唯一無二の武器であり、このレンズの性能をフルに生かして圧倒的な迫力を出したいシーンや大胆な構図を狙う際に迷わず選択するため、必然的に多くなります。一方で、鉄道風景写真においては「15mmだとさすがに広過ぎる」というシチュエーションもあり、16~29mmあたりにかけての出番も増えます。30~35mm付近は使用頻度こそ少ないですが、鉄道と風景をバランスよく収めようとするとベストな画角です。
暗所や悪天候時に頼れる開放F2.8の強み

簡単に撮れそうで撮れない只見線の雪晴れ。水鏡にもなったこの奇跡的な鉄道風景は、高精細なデータで残したいものです。画面の隅々まで美しく描写してくれる頼もしさを感じます。
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写真は引き算と言いますが、超広角の世界でももちろん同じです。35mmまで撮れるということが、ワイドな風景の中で緻密なフレーミングを可能にします。山笑う美しい山並みと列車をバランス良く収められました。
超広角レンズはその画角の広さゆえに、太陽が画面内に入り込む機会が必然的に増えますが、本レンズは特にゴーストやフレアが出にくく、抜けが良いクリアな写真を残せるのが大きな魅力です。さらに、絞り込んだ際に出る光条の形も美しく、絶妙なバランスのため、画面が非常に品よく引き締まります。
ズーム全域で開放F2.8の明るさを維持したまま、こうした高い光学性能を発揮できることこそが、実際の撮影現場における高い実用性へと直結しています。特に、夜間や夕暮れどき、あるいは悪天候時のように、光量が極端に足りない「緊急事態」の撮影において、F2.8の明るさはシャッター速度をギリギリまで引き上げられる安心感をもたらしてくれます。一発勝負の鉄道写真の現場では、やり直しは一切ききません。周辺画質の良さ、逆光時の抜けの良さ、形成する光条の美しさ、そして緊急時にシャッター速度を担保してくれる明るさ。これらがすべて高い次元で凝縮されているからこそ、私はこのレンズを信頼し、愛用し続けています。

超広角レンズは、ダイナミックな鉄道風景をすべて写したいという気持ちにこたえてくれます。15mmだと遠景の列車はとても小さくなりますが、夕日に輝かせて存在感を出す工夫をしています。
このレンズを買う前に知っておきたいこと
15mmの強烈な画角に目を奪われがちですが、実は35mmまでカバーしている安心感も大きなメリットです。数秒しかシャッターチャンスがない鉄道撮影において、現場で「広過ぎる」と感じた際、標準ズームに交換するタイムロスは致命的です。しかし、このレンズなら交換なしで、とっさに使い勝手の良い35mmへ切り替えられます。超広角の魔力を楽しみつつ、現場で確実に打率を残せる利便性はこのレンズならではです。