このページの本文へ

MY PARTNER|自然な遠近感と大きなボケを生かしてコスプレの世界観を印象的に描き出す

RF45mm F1.2 STMで挑むコスプレ撮影。写真家・井田達也氏が、絶妙な45mmの画角と開放F1.2の豊かなボケ味、約346gの軽さがもたらす世界観構築の魅力を語ります。

EOS R8 Mark II、45mm、1/125秒、F2、ISO800

キャラクターのテイストに合わせて用意した椅子や小道具を組み込み、全身のたたずまいを捉えたカットです。衣装の細かな装飾や後ろの尻尾、背景のディテールまで適度に解像させるため、絞りをF2に微調整しました。45mmの自然な画角と遠近感が、被写体のプロポーションを自然に見せてくれます。
モデル:伊織もえ
『Fate/EXTRA Record』
キャスター
© TYPE-MOON All Rights Reserved.

井田達也のレンズ選びの条件

コスプレ撮影にRF45mm F1.2 STMが欠かせない理由とは?

井田達也の使用開始日:2026年7月
コスプレの撮影現場は、薄暗いスタジオや狭いスペースなど、環境的な制約が少なくありません。そんな過酷な条件において、F1.2という明るさを持ちながら、約346gという軽量設計を実現したRF45mm F1.2 STMは、コスプレ撮影に最適の1本です。これまで50mmのレンズを愛用してきましたが、「あと少しだけ引きたい」と感じる場面が多々ありました。50mmでは見切れてしまう足先や手先を余裕をもって収められ、それでいて35mmのような強いパースもつかない。この45mmという絶妙な画角にほれ込みました。高い描写力と優れた機動性を備え、作品の空気感を表現するうえで非常に心強いレンズです。

RF45mm F1.2 STM

画角(水平・垂直・対角線):43°35'・29°50'・51°20'
レンズ構成:7群9枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:16
最短撮影距離:0.45m
最大撮影倍率:0.13倍
フィルター径:Φ67mm
最大径×長さ:Φ約78×75mm
質量:約346g

RF45mm F1.2 STMは、開放F1.2の明るさと約346gの軽量コンパクトさを両立した標準単焦点レンズ。プラスチックモールド非球面レンズ(PMo)を採用し、高い描写力とコストパフォーマンスを実現しています。駆動系にはギアタイプのSTMを搭載し、静音かつスムーズなAFでモデルを正確に捉えます。

Photographers’ File 10 井田 達也

Tatsuya Ida
コスプレ専門のフォトグラファー。出版社・企業のPRを中心に、漫画雑誌の表紙やゲーム広告など数多くの撮影を担当。テレビ生放送での実演、コスプレ撮影に関する書籍の出版、海外撮影など活動は多岐にわたる。大型イベントでのコスプレイヤーのキャスティングやディレクションも手掛ける。

どんなポーズも美しく収まる絶妙な45mmと自由な構図を生む軽量デザイン

EOS R8 Mark II、45mm、1/160秒、F1.2、ISO320

キャラクターの凜とした力強さを表現したバストアップです。トレンドである逆光を効かせることで、3次元的な立体感とオーラを際立たせています。開放F1.2の浅い被写界深度でありながら瞳や肌の質感を見事に捉え、レンズ性能の高さが存分に発揮された1枚です。

コスプレ撮影の醍醐味は、被写体であるコスプレイヤーとフォトグラファーがイメージを共有し、原作の世界観を現実の空間へ構築していく過程にあります。撮影当日だけでなく、事前に衣装やメイク、スタジオの選定、ライティングの方向まで綿密にすり合わせを行います。私は「撮影は準備が9割」だと考えており、スタジオの三面図を作成して小道具の配置をあらかじめ決めてから現場に臨むのが基本のスタイルです。
今回撮影で使用した和室のスタジオは比較的広さがありましたが、一般的なコスプレ向けスタジオでは、限られたスペースで撮影することも少なくありません。用意した桜や番傘、灯籠といった小道具を画面内にバランス良く配置し、作り込んだ空間を最大限に生かすためには、45mmという画角がベストだと直感しました。85mmなどの望遠ではせっかくの背景が切り取られ過ぎてしまい、逆に広角過ぎると余計なものが写り込んでしまいます。45mmは、人物の表情に優しく寄り添いつつも、衣装の繊細なディテールや背景の空気感までを自然な距離感で捉えることができます。コスプレ撮影用のスタジオは自然光の入らない暗い場所が多く、開放F1.2の明るさを持つRF45mm F1.2 STMは、コスプレ撮影において非常に扱いやすいレンズなのです。
約346gという軽さは、長時間の撮影では大きな武器になります。重いレンズだと、疲労から無意識のうちに腕が下がり、見下ろすようなアングルになって被写体のスタイルを損ねてしまうことがあります。軽いレンズであれば手首への負担も少なく、さまざまな角度から新しい構図を探しやすく、撮影に挑戦する姿勢を生み出してくれます。右手でカメラを構え、左手でLEDライトを持って光を当てながらアングルを探るといった機動的な撮影も容易です。こうした片手での撮影時でも、今回使ったEOS R8 Mark IIの強力な手ブレ補正機構が威力を発揮し、1/15秒といったスローシャッターでも手ブレを抑えながら、スタジオの環境光や背景の雰囲気をしっかりと取り込めます。

EOS R8 Mark II、45mm、1/40秒、F4、ISO640

高い位置から俯瞰気味のアングルで撮影し、桜や灯籠といった小道具の情報を画面内に凝縮させました。青いLEDライトと布を組み合わせてスモークのような透明感のある空間を演出しています。上からの構図でも45mmの自然な遠近感と高い描写力により、端々まで整った美しい写真に仕上がりました。

井田達也のF値別使用率

全体の約7割を開放F1.2で撮影しています。コスプレ撮影特有の雑多な背景を整理し、人物の表情や前ボケを強調するためには、この大きなボケが欠かせないからです。一方で、少し引いた構図で衣装のディテールや背景の小道具、画面の四隅までをしっかりとシャープに解像させたい場合には、どこまで見せたいかに応じて、F2からF4程度まで絞り込んで撮影しています。

雑多な背景を整理するF1.2のボケ味と緻密な情景を描き切る描写性能

EOS R8 Mark II、45mm、1/160秒、F1.2、ISO400

和室スタジオで畳の上にミラーシートを敷き、水面に浮かぶような幻想的な世界観を構築しました。寝そべりポーズでもキャラクターの象徴である尻尾が見えるよう、画面から見えない位置に台座を置き、尻尾を立たせる工夫をしています。F1.2開放により背景を大きくぼかしつつ、顔立ちはシャープに描写できました。

  • ※
    本記事公開時点(2026年10月29日)のCanon ID登録者限定で、撮影秘話をメルマガ配信予定。後日、Canon ID登録者向けアーカイブ公開も予定しています。Canon ID登録はこちら。
EOS R8 Mark II、45mm、1/125秒、F2、ISO800

キャラクターの雰囲気に合わせた椅子と布を配置し、ライティングで陰影をコントロールしたカットです。LEDライトにグリッドを装着して光の広がりをコントロールし、不要な光の回り込みを抑えることで、クリアな像を得ています。F2に絞ることで得られる適度なボケ味とシャープな解像感が同居し、キャラクターの魅力を存分に引き出せました。

さらに特筆すべきは、F1.2ならではの豊かなボケ表現と、絞り値による描写の使い分けです。コスプレ撮影は、複雑な衣装や小道具によって画面が雑然としやすいのが難点ですが、被写体に少し寄って開放F1.2でシャッターを切ると、ピントを合わせた瞳や表情が驚くほどシャープに解像しつつ、主役以外の情報を大きなボケで整理できます。周囲に人が多いコスプレのイベント会場でも、この大きなボケが背景のノイズを整理し、にぎやかな空気感だけを1枚の写真に残してくれるのです。LEDライトで光の広がりを緻密にコントロールすれば、開放でも無駄な光がレンズに入らず、クリアな描写を引き出すことができます。一方で、被写体から少し距離を取り、緻密に作り込んだセットの隅々までをしっかりと描写したいシーンもあります。そういった場面ではF2やF2.8、F4へと絞り込んで撮影しました。
私は一眼レフ時代を通らずにカメラを始めたミラーレス世代なので、ファインダーはのぞかず、モニターを見ながら自由なアングルで撮影します。EOS R8 Mark IIのバリアングル液晶モニターやAFも使いやすく、ピント合わせも安定していました。さらに強力な手ブレ補正によって、スローシャッターでも手ブレを抑えながら、薄暗い環境光を丁寧に拾うことができました。
軽快なフットワークで被写体に寄り添い、緻密な光のコントロールとF値の選択によって、2次元的な幻想と3次元ならではの立体感を自在に行き来する。このレンズは、コスプレ撮影の可能性をより一層広げてくれる心強い存在です。

EOS R8 Mark II、45mm、1/500秒、F1.2、ISO1600

片足で立ってもらい振り返る瞬間を連写で捉えました。LEDライトを使っていますが、暗い場所になるので絞りは開放のF1.2で1/500秒のシャッター速度を確保しました。F2.8クラスのレンズと比べてISO感度の上昇を抑えながら、1/500秒のシャッター速度を確保できるのは大きなメリットです。

このレンズを買う前に知っておきたいこと

ズームレンズであればその場で画角を変えられますが、単焦点レンズは自分の足を使って前後左右に動くことが求められます。自ら動くことでアングルや背景の見え方が劇的に変化し、構図の感覚が身につきます。45mmは非常に扱いやすい標準画角ですので、まずはこの1本でスタジオやイベントを歩き回り、被写体とコミュニケーションを取りながら撮影を楽しむと構図や背景の見え方に対する感覚も身につきやすくなります。

関連リンク

3C9517473F074270BC6B03D359B2E0A5
MY PARTNER 写真家たちの愛すべきRFレンズ ポートレート|井田 達也
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/interview/mypartner/portrait-rf45-f12
2
https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/interview/mypartner/portrait-rf45-f12/image/portrait-rf45-f12-720x444.jpg?sc_lang=ja-JP&hash=67F954496E4D023C1804155A7C0F7385
2026-10-29