QUEST 下巻 – 祈り –
QUEST 下巻 – 祈り –

about

野町和嘉 (のまち かずよし)
1946年、高知県生まれ。杵島隆に師事した後、1971年にフリーの写真家となる。1972年のサハラ砂漠への旅をきっかけとして、ナイル川、エチオピアなど、アフリカを広く取材する。1980年代後半からは、過酷な風土を生き抜く人々の営みと信仰をテーマとして舞台を中近東、アジアに移し、長期の取材を続ける。2000年代以降は、アンデス、インドなどを中心に取材を続ける。『サハラ』、『ナイル』、『チベット』、『メッカ巡礼』、『地球巡礼』など、多くの写真集が国際共同出版される。ローマ、ミラノ、台北、東京ほかで『聖地巡礼』展を開催。土門拳賞、芸術選奨文部大臣新人賞、日本写真協会国際賞など受賞多数。2009年、紫綬褒章受章。日本写真家協会名誉会員。
人々の祈る姿と向き合ってきたのは、
ヒトが神を、あるいは超越した何らかの存在を心に描き、
一心に向き合うことで、裸の自分自身をさらけ出し、
心を開いて自身と率直に向き合っている
姿であることに気づかされたからだ。
ヒトが何百年、何万年と続けてきた
さまざまな祈りのかたち。
一つ一つと真摯に向き合い、脳裏に焼き付けながら、
カメラを向けてきた。
色褪せることのないその情景をこの一冊にまとめる。
『QUEST 下巻 – 祈り –』
ヒトが神を、あるいは超越した何らかの存在を心に描き、
一心に向き合うことで、裸の自分自身をさらけ出し、
心を開いて自身と率直に向き合っている
姿であることに気づかされたからだ。
ヒトが何百年、何万年と続けてきた
さまざまな祈りのかたち。
一つ一つと真摯に向き合い、脳裏に焼き付けながら、
カメラを向けてきた。
色褪せることのないその情景をこの一冊にまとめる。
『QUEST 下巻 – 祈り –』
-
チェムレ僧院を巡礼する女性信者。
インド北部のヒマラヤ山中に位置するラダックは、
熱心なチベット仏教信仰の地として知られている。
中国が統治するチベットと違って、
信教の自由が保障されているインドでは、
僧院を包む雰囲気も穏やかだ。 -
サハラ砂漠が緑に覆われていた約8,000年〜4,000年昔、
猫科の肉食獣は狩猟民にとって最大の脅威だった。
サハラ各地には、祈りを込めて、あるいは日常を記録した、
おびただしい数の線刻画や岩壁絵が残されている。 -
大巡礼(ハッジ)では、
約200万人がメッカのカアバ神殿を訪れる。
巡礼ではカアバ神殿を反時計回りに7周する
タワーフの儀礼が義務づけられている。
夜間に長秒露光することによって、
おびただしい数の信者がタワーフをする流れを表現した。 -
チベットの新年に催されるモンラム巡礼で、
祈りを捧げる僧侶たち。
標高3,000メートルのチベット高原で、
厳冬期の朝の気温は氷点下15度前後の寒さであった。
降りしきる雪の中で僧侶たちが唱和する祈りの声には、
信仰の凄みが漲っていた。 -
大航海時代にメキシコを含む新大陸を征服したスペインは、
豊かな地下資源から得られた財力を惜しげもなく費やして、
壮麗なバロック様式の教会を各地に建設して
キリスト教の権威を高めていった。
その装飾は、先住民の信仰をアレンジした
メキシコ特有の様式美を誇っている。 -
スペイン人が普及させたカトリック信仰の中でも、
インカ帝国が栄えていた南米アンデス地域では、
山岳や巨石、太陽信仰といった
インカの信仰を取り込んだ
独特のキリスト教へと変容させることで、
先住民たちの心を捉えていった。
写真は、花で飾った十字架を峠道の聖域に祭りに行くところ。