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IT MAY BE ALL AN ILLUSION

03 中西敏貴

IT MAY BE ALL AN ILLUSION

IT MAY BE ALL AN ILLUSION
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about

中西敏貴(なかにし としき)

中西敏貴 (なかにし としき)

1989年頃から北海道へと通い続け、2012年に撮影拠点である美瑛町へ移住。そこに住まう者としての視点を重視し、農の風景とそこに暮らす人々をモチーフに作品制作を行ってきた。現在は大雪山とその麓に広がる原生林にも意識を広げ、人と自然との関わりを写真によって描き出す作業を続けている。写真展&写真集に『ORDINARY』、『Design』(DreamLabo 5000で制作)、『FARMLANDSCAPE』など多数。2020年、キヤノンギャラリー Sにて写真展『Kamuy』を開催し、写真集『カムイ』を刊行。
こちらから本写真集に関する
インタビュー動画をご覧いただけます
「IT MAY BE ALL AN ILLUSION」
―おそらくすべてが幻。
絶え間なく流れ続けている時間、
そして変化し続けている自然。
その中に身を置き、奇跡的な瞬間を
肌で感じながら切り撮った「劇的な瞬間」は、
二度と目の前に現れることはない、幻想にも思える光景だ。
この写真集では、あえてそんな瞬間ばかりを集めた。
収録している写真のほとんどは、
頭の中で思い描いた理想を具現化するために
条件の揃うタイミングにその場所を訪れ、
狙って撮影したものだ。
自然相手に思い通りにならないことや
条件が揃うまで数年待つこともあったが、
長年、自然の中を駆けずりまわって、
幻のような瞬間を撮り続けてきた。
ただそれは、
自然の中にある一つの側面でしかないこともまた事実。
この写真集を現時点での集大成とし、
また新たな向き合い方で自然を撮り続けたいと思っている。
  • 朝から雨の続いた日だったが予感はしていた。
    日没近くになり、西の空に少し明るさが見え始めると、
    突然赤い光が旭岳を浮かび上がらせた。
    赤く染まっていたのは数分もなかったかもしれない。
    西の空には夕焼けもなく、
    ただ東にある山並みだけが赤く輝いていた。
  • 紅葉の斜面に虹を架けたい。
    そんなイメージを持ち続け、数年後に出会えた光景。
    虹を架ける位置を想定すると、
    見下ろす角度と高度のある太陽が必要になる。
    もちろん雨のカーテンが無ければ虹は出ない。
    全ての条件が調和した時、理想が現実になった。
  • 光が丘を走り抜けていく日だった。
    雪の降り積もった森に一筋の光を重ねようと、
    そのタイミングを待つ。
    走り去る光を見極め、
    数秒しか現れない光景を狙い、シャッターを重ねていく。
    自然の姿には、ひとときも同じ瞬間など無い。
    そのことを実感した。
  • 天気が下り坂に向かうサインはいくつかあるが、
    ハロもそのうちの一つ。
    空気中に増え始めた水蒸気が結晶化し、
    それを日の光が照らすことで、
    空に大きな虹の輪が生まれる。
    強弱を繰り返すそのタイミングを見極め、
    融雪剤の散布された丘と、
    そこに立つ一本の木に重ね合わせた。
  • 夕方に現れるサンピラーを狙い、雪山を歩く。
    結晶化した空気が充満する中、
    太陽の右側に大きな虹色の柱が立ち始めた。
    日没間際の光は寒色系の色を奪い取り、
    温もりのある色彩の光の柱だけが輝いている。
    太陽が稜線に隠れるまでのわずかな時間に起きた、
    奇跡のような瞬間だった。
  • 夏の日の出は驚くほど早い。
    まだ鳥達も眠っているそのタイミングに、
    麦畑が最も黄金色に輝く瞬間がある。
    畑の作物は毎年のように変わるため、
    次にこのような場面に出会えるのは
    いったい何年先になるのだろう。
    だからこそ、その瞬間を写真にするため、
    日々奔走する。

information

500部限定販売

タイトル
IT MAY BE ALL AN ILLUSION
発行年
2022年
仕様
240㎜×240㎜ ラスター(ハードカバー)
80ページ 68点収録 豪華化粧箱付
サイン入りオリジナルプリント付
(240mm×240mm)
印刷
DreamLabo 5000
価格
29,150円(税込・送料込)
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