IT MAY BE ALL AN ILLUSION
IT MAY BE ALL AN ILLUSION

「IT MAY BE ALL AN ILLUSION」
―おそらくすべてが幻。
絶え間なく流れ続けている時間、
そして変化し続けている自然。
その中に身を置き、奇跡的な瞬間を
肌で感じながら切り撮った「劇的な瞬間」は、
二度と目の前に現れることはない、幻想にも思える光景だ。
この写真集では、あえてそんな瞬間ばかりを集めた。
収録している写真のほとんどは、
頭の中で思い描いた理想を具現化するために
条件の揃うタイミングにその場所を訪れ、
狙って撮影したものだ。
自然相手に思い通りにならないことや
条件が揃うまで数年待つこともあったが、
長年、自然の中を駆けずりまわって、
幻のような瞬間を撮り続けてきた。
ただそれは、
自然の中にある一つの側面でしかないこともまた事実。
この写真集を現時点での集大成とし、
また新たな向き合い方で自然を撮り続けたいと思っている。
―おそらくすべてが幻。
絶え間なく流れ続けている時間、
そして変化し続けている自然。
その中に身を置き、奇跡的な瞬間を
肌で感じながら切り撮った「劇的な瞬間」は、
二度と目の前に現れることはない、幻想にも思える光景だ。
この写真集では、あえてそんな瞬間ばかりを集めた。
収録している写真のほとんどは、
頭の中で思い描いた理想を具現化するために
条件の揃うタイミングにその場所を訪れ、
狙って撮影したものだ。
自然相手に思い通りにならないことや
条件が揃うまで数年待つこともあったが、
長年、自然の中を駆けずりまわって、
幻のような瞬間を撮り続けてきた。
ただそれは、
自然の中にある一つの側面でしかないこともまた事実。
この写真集を現時点での集大成とし、
また新たな向き合い方で自然を撮り続けたいと思っている。
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朝から雨の続いた日だったが予感はしていた。
日没近くになり、西の空に少し明るさが見え始めると、
突然赤い光が旭岳を浮かび上がらせた。
赤く染まっていたのは数分もなかったかもしれない。
西の空には夕焼けもなく、
ただ東にある山並みだけが赤く輝いていた。 -
紅葉の斜面に虹を架けたい。
そんなイメージを持ち続け、数年後に出会えた光景。
虹を架ける位置を想定すると、
見下ろす角度と高度のある太陽が必要になる。
もちろん雨のカーテンが無ければ虹は出ない。
全ての条件が調和した時、理想が現実になった。 -
光が丘を走り抜けていく日だった。
雪の降り積もった森に一筋の光を重ねようと、
そのタイミングを待つ。
走り去る光を見極め、
数秒しか現れない光景を狙い、シャッターを重ねていく。
自然の姿には、ひとときも同じ瞬間など無い。
そのことを実感した。 -
天気が下り坂に向かうサインはいくつかあるが、
ハロもそのうちの一つ。
空気中に増え始めた水蒸気が結晶化し、
それを日の光が照らすことで、
空に大きな虹の輪が生まれる。
強弱を繰り返すそのタイミングを見極め、
融雪剤の散布された丘と、
そこに立つ一本の木に重ね合わせた。 -
夕方に現れるサンピラーを狙い、雪山を歩く。
結晶化した空気が充満する中、
太陽の右側に大きな虹色の柱が立ち始めた。
日没間際の光は寒色系の色を奪い取り、
温もりのある色彩の光の柱だけが輝いている。
太陽が稜線に隠れるまでのわずかな時間に起きた、
奇跡のような瞬間だった。 -
夏の日の出は驚くほど早い。
まだ鳥達も眠っているそのタイミングに、
麦畑が最も黄金色に輝く瞬間がある。
畑の作物は毎年のように変わるため、
次にこのような場面に出会えるのは
いったい何年先になるのだろう。
だからこそ、その瞬間を写真にするため、
日々奔走する。