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技術解説②|709の表示モードについて

モニター表示の標準規格 Rec.709とは

Rec.709

テレビモニターに映像を表示する際に、カメラの映像データをモニターに適した表示モードに圧縮する必要性があります。一般的には、Rec.709というガンマに置き換えることで、人間の見た目に近い表示になります。

一般的なRec.709(正式名称:ITU-R BT.709) は、ハイビジョン(HD)映像のために国際的に定められた標準的な色空間とガンマ特性の規格です。テレビ放送や企業映像、Web動画など、多くの映像制作で広く採用されています。
映像制作においては、通常のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)のテレビの標準ガンマであるRec.709を使用することで、「見た目と同じ=撮影時に意図した通りの色や明るさ」が、さまざまなモニターや再生環境で正しく表示されるようになります。

Rec.709(正式名称:ITU-R BT.709)の色域を基準とすると、HDR(ハイダイナミックレンジ)規格における色域は、これよりも約800〜1600%以上広く設計されており、現在のキヤノンカメラのセンサーもそうした広い色域・ダイナミックレンジに対応した高品質な映像の収録が可能です。
しかし、一般的なテレビやPCモニターの多くは、いまだHDR規格(PQ、HLG)に対応していないものが多く、Rec.709準拠でのモニタリングの重要性は、依然として高い状況にあります。

709表示モードについて

現在のキヤノンカメラでは、用途に応じて選べる収録用ガンマとして、「Canon 709」「STD 709」の2種類があります。

Canon 709

キヤノンが考えるシネマルックとして設計されており、フィルムライクなトーンに柔らかいスキントーンが特徴です。カラーグレーディング不要で、かつCINEMA EOS SYSTEMのCanon Logを用いた際の画作りの最終仕上がりの画像に、近い状態で記録することができます。

STD 709

Rec.709規格に準拠した放送向けの画作り。被写体に忠実な色再現が必要であったり、Rec.709規格が必要な放送向けのユースケースにおいて特に有効です。
ワークフロー上、Rec.709準拠のガンマ色空間設定が必要な場合はStd 709をお使いください。

ビューアシストガンマ CMT709

 Canon Log 2/Log 3をそのまま表示すると、俗に言う「眠たい」白っぽい見た目になりますが、キヤノンではLog撮影など撮影設定時のモニタリングに適した表示ができるビューアシスト用としてCMT 709という、キヤノン独自のビューアシストガンマが用意されています。

RAW撮影やLog撮影でのモニタリング用にCMT 709を用いることにより、見やすいコントラストや彩度を持ちながら、Logの広いダイナミックレンジ全体を確認することが可能です。  
またCMT 709は、カラーグレーディングを行う際の開始点としても使いやすいルックとなっております。編集工程においてCMT 709をCanon Log 2/Log 3のクリップに適用しカラーコレクションやカラーグレーディングを行うような使い方もおすすめできます。CMT 709はLUTファイルとして以下のリンクからダウンロードできます。

  • CMT:Canon Monitor Transformの略。
BC1BE7774892469BAD94F294410DFF03
技術解説②|Canon 709/CMT 709/Std 709
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/tips/movie-tech/709
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/tips/movie-tech/709/image/thum-709.jpg?la=ja-JP&hash=7FC3E7E455A216A6C344DC94F61AB21E
2025-07-31