知ればすぐにオシャレに撮れる。身近な人にも活かせる、自然体が引き立つ「ポートレート」
公開日:2025年9月1日
写真家のFujikawa hinanoさんが、さまざまな距離感で『身近な人のポートレート』をテーマに撮影。この記事では、作例とともに、Fujikawaさんのようなオシャレなポートレートを撮るためのポイントを紹介します。使用機材は、軽量でコンパクトながら、その高性能ぶりが話題のフルサイズミラーレスカメラ「EOS R8」、マクロ撮影も可能な単焦点レンズ「RF85mm F2 MACRO IS STM」、ズームレンズ「RF28-70mm F2 L USM」です。被写体の雰囲気やその場の空気感をそのまま写し取るポートレート撮影を、もっと楽しんでみませんか?
PROFILE
Fujikawa hinano
写真家 東京都出身。雑誌、広告、映画のスチール、ブランドのルックブックやWEBメディアでの撮影など、表現できる場を大切にしながら幅広く活躍中。日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現することを心がけている。
1.シンプルな中に色と光で遊ぶ

シンプルな室内で、オシャレなポートレートを撮ってみましょう。あえてシンプルな背景を選び、ちょっとしたアクセントとして色を加えるのがポイント。画面がまとまりやすいよう、加える色は3色程度に抑えて。今回は、壁の白色の部分を多めに取り入れて、その余白を活かしつつ、オレンジ・ピンク・服のネイビーの3色を加えました。ただし、主役は人物とそこにかかる光にしたかったので、強い色味はオレンジの1色だけにしています。
光の入り方にも注目です。窓から自然光が美しく差し込む空間の、光の当たる位置に椅子を置き、被写体には窓側を向いて座ってもらいました。左側が殺風景にならないよう、新聞のようなプロップを配置して空間のバランスを工夫しています。顔に影をつけたい場合は、光が差し込む方向とは反対側に顔を向けてもらいましょう。
撮影の手順
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あらかじめ光の入り方や色味を活かして、どのような写真にしたいかをイメージする
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アクセントとなる色は3色程度にする
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窓からの光の入り方を確認し、人物の体や顔の向きを調整
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寄りも引きも撮れ、バランスの調整がしやすいズームレンズを使用
2.ナチュラルで自然なしぐさを狙う


自然な表情を撮りたいときは、「無邪気でリラックスした雰囲気で撮りたい」と伝えてみて。もし、自然な表情がなかなか出てこない場合は、「伸びをしてみて」「寝転んでみて」など、簡単な動きだけを提案するだけで、ナチュラルな表現を引き出しやすくなります。細かいポーズまで指定すると、不自然になってしまうので注意です。
いい表情や瞬間を逃さないよう、動きに合わせてたくさんシャッターを切っておくことも大事です。
撮影の手順
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撮影前に、ナチュラルなシーンを撮りたいと共有しておく
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自然な雰囲気が出るよう、簡単な動きだけ提案する
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被写体の動きに合わせて、チャンスを逃さないようにシャッターをたくさん切る
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臨機応変に対応できるよう、ズームレンズの使用がおすすめ
3.寄りはドラマチックな要素を加えて


寄りで撮るときは、ワンポイントで小物を活用すると、写真にドラマチックな印象を与えることができます。花は、モチーフになることはもちろん、前ボケにして立体感を出したり、色味を加えたりなど画づくりのアクセントにもなる、万能アイテム。ガラス越しに撮ると、ガラスに映る反射を活かした、幻想的な雰囲気のポートレートを撮ることができます。花とガラスは、どちらも身近で取り入れやすい、おすすめアイテムです。
さらに、感情が乗った写真にするには、決めすぎていない、ふとした表情を押さえること。モデルに目を一旦閉じてからゆっくり開けてもらったり、遠くを見つめてもらったりする方法を試してみてください。
使用するレンズは、綺麗にボケやすいF値の低いものを。背景ボケや前ボケを効果的に使うことで、被写体が引き立ち、寄りの写真にも奥行きが生まれます。
撮影の手順
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小物を活用して、写真にドラマチックな印象やアクセントを加える
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ナチュラルな表情の瞬間を狙ってシャッターを切る
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背景ボケ・前ボケを活かしやすい、F値の低い単焦点レンズを使用
4.その人らしいパーツを撮って物語性を追加


人物の目や手など、パーツだけを切り取ったポートレートは、見る人の想像力を刺激する写真表現のひとつ。どのパーツを主役にするかは、撮る相手の印象的な部分を選んだり、複数枚の作品にしたい場合は前後の写真と組み合わせたときに物語が生まれる部分を意識して選んだりするとよいでしょう。
主役のパーツはしっかりとピントを合わせて現実感を残し、その他は前ボケや背景ボケ、ガラスの反射などでぼかして非現実的な雰囲気を演出すると、メインとなるパーツが際立つだけでなく、相反する要素の対比が見る人の心を惹きつけます。
撮影の手順
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被写体に近づいて大きく撮影できるマクロレンズを使用
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被写体の中で印象的な部分や、前後の写真で物語性が出そうなパーツを選ぶ
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前ボケ・背景ボケ・ガラスの反射を活用
5.Fujikawa hinanoが使って実感したEOS R8の魅力

私が思う、ポートレート撮影の魅力は“人を知ることができる”ということ。目の動きや手のしぐさ、表情から、その人の表現が伝わってくる瞬間、人間の美しさに心が震えます。EOS R8は、コンパクトなボディーかつ、どんなシーンでも素早く正確にピントを合わせてくれるAF性能が魅力。そんな“心が震える瞬間”をしっかりと捉えてくれるので、思い通りの表現がしやすくなります。
今回は『身近な人のポートレート』をテーマに、寄りと引きを織り交ぜながら“距離感”を遊ぶような撮影をしましたが、EOS R8は距離や構図、アングルを自由に変えても、フレキシブルに応えてくれました。柔らかなボケと描写、自然で美しい肌の色。人物の魅力や空気感までもそのまま写し取ってくれるEOS R8は、ポートレート撮影において頼もしい一台です。