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乗り物部門 第51回キヤノンフォトコンテスト

乗り物部門

ゴールド賞

『ドクターイエローを待つ人々』石原一正(愛知県)

受賞者の声

十人十色の人々を主役に後方から新幹線とともにドクターイエローとひまわりの組み合わせを撮りに訪れた会場は既に満員御礼。猛暑の中で主役の通過を待つ人々の様子を見ていると、その行動は十人十色。暑さを圧倒する期待感が溢れ、独特の雰囲気に包まれていました。普段は車両を主体とし、人物の写り込みは避けますが、その雰囲気を残そうと考えて人々の後方へ移動し、列車も直前の新幹線を狙いました。ゴールド賞という栄誉を授かった感激を今後の励みにします。ありがとうございました。

講評:鉄道を待つ人々を主役にした乗り物部門ゴールド賞

  • ルーク
    乗り物部門ゴールド賞のタイトルは「ドクターイエローを待つ人々」ですが、写真を見ると主役のドクターイエローは写っていません。ただ、そこが作品の面白いところだと思いました。
  • 横木
    ちょっとタイトルが分かりづらいような気がするのですが?
  • ルーク
    いや、ドクターイエローを“待つ人々”だから、これでいいんですよ。作者は、ドクターイエローの到着を待つ人たちが並んでいる様子を面白いと感じ、自分は一歩下がって撮ったのではないでしょうか? 礼儀正しくというか、整列具合がきれいで、そこが面白い。
  • 横木
    でも、通り過ぎている新幹線を撮っている人もいるでしょ?
  • ルーク
    それがほとんど撮っていないんです。せっかく新幹線が通っているのに、それを撮ってあげない悲しさですよね。それに、おそらくこの場所は、ドクターイエローが来なければ、こんなに人が集まるような場所じゃないんじゃないかなあ。
  • 横木
    なるほど、そういうことなんだ。
  • 竹沢
    僕は、この作品を遠くから見たとき色のラインに見えたんです。緑とか黄色、雲の白や空の青という感じで。
  • ルーク
    色のバランスがいいですよね。
  • 竹沢
    それで色のラインに目が止まって、よく見てみると、たくさんの人が待っているというディテールが見えてくる。遠くから見るのと近くで見るので印象が変わるのも面白いと思いました。
  • ルーク
    あと、この作品のもう一つよいところは、新幹線の先頭が電柱と重なっていないところです。おそらく、作者は普段から鉄道を撮り慣れている方だと思いますが、時速200㎞以上で走っている新幹線をベストポジションで撮影するには、相当なテクニックが必要だと思うんです。
  • 石橋
    構図的には、空が広すぎる印象を受けるんですよね。もう少し新幹線が上の方がいいんじゃないですか。これだと主役が人間になっているから。でも、タイトルを考えるとそれでいいのか。
  • ルーク
    そうですね。 “待っている人々”が主題の作品ですからね。この作品の面白いところは、乗り物写真でありながら、周囲の風景をうまく取り入れていることですね。今回、コンテストに向けて寄せた僕のコメントに対して、皆さんが忠実にというか、風景と絡めた作品を多く応募してくれてうれしく感じました。有名撮影地に行けば撮れる作品ではなく、そのときの光や色を取り入れながら、その場所らしさや、その季節らしさを表現した作品ばかりで、これからもそういった撮影をぜひ楽しんでください。

シルバー賞

『Light』安田豊治(岡山県)

ブロンズ賞

『帰省便』高橋宏一郎(東京都)
『光河を駆ける』松本直己(奈良県)

佳作

『Landing to The Equator』Jake Ishimura(埼玉県)
『雲をかすめて』片山研吾(熊本県)
『光る世界』阿部健樹(愛媛県)