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風景部門 第51回キヤノンフォトコンテスト

風景部門

ゴールド賞

『阿蘇の朝』大野義人(山口県)

受賞者の声

霧に包まれた草千里を馬とともに一枚の写真で描くこの度は、このような賞をいただきありがとうございました。ゴールド賞の受賞を大変光栄に思っております。熊本県の阿蘇山には、月に2~3回ほど撮影に行っています。中でも草千里ヶ浜は、大草原や放牧された馬などの風景がとても美しい場所です。なかなか霧がかかることがありませんが、今回は運よく霧がかかった中にちょうど馬がおり、このような写真を撮影することができました。これからも、馬を撮影しに、阿蘇に足を運びたいと思います。

講評:絵画のような見事な画面構成 風景部門のゴールド賞

  • 石橋
    風景部門のゴールド賞「阿蘇の朝」は、絵画のような画面構成が一番の魅力です。阿蘇の馬は有名ですが、霧が立ち込めて噴煙も上がり、雲のグラデーションも美しい。
  • 立木
    ドラマチックな絵を描き上げた、という感じの情景ですね。
  • 石橋
    そう。やっぱり画面構成の完成度が高いから、そう感じるのでしょう。
  • 立木
    もしカラーだったら違う印象になっていましたよね。情報量を少なくしたことで名作に近づくことができた。
  • 前川
    モノクロで仕上げたことで、この情景のよさが引き出されていますね。
  • 立木
    この情景はもちろん今のものですけど、かつての時代から続く、昔ながらのよさみたいなものがないですか?
  • 石橋
    ノスタルジックな感じですね。
  • 立木
    作者はきっとベテランの方なのでしょう。長く培われてきた経験にのっとって撮っているから、うまさがこの一枚に表われています。
  • 石橋
    こういう風景って、若い人には想像できないような気がするんです。ある程度、その時代時代の風景というものがあるから、現代の風景と私たちが育った時代の風景は違うと思うんです。かつて過ごした風景の記憶があり、それを写真の中に投影している印象を受けました。
  • 立木
    だから普遍的なよさみたいなものがあるのでしょう。若い人も年配の人も認めざるを得ないというか。さらに、フレーミングも計算されている。
  • 前川
    確かに構図が素晴らしいですよ。一番目立つ馬は端の方にいますが、全体としてバランスがとれている。見せたいところをしっかり見せながら、少しだけ崩した、そのバランス感覚が絶妙です。
  • 立木
    馬のポーズもよかったね。もし、これが豚だったらまずいよね(笑)。
  • 石橋
    それはそれでシュールかも(笑)。ただ、本当に馬がいい格好をしていて、たとえこの情景を狙いにいったとしても、そうそう撮れる作品ではないです。きっと、何度もロケハンを重ねたのでしょう。
  • 立木
    何度も通っているだろうね。一発で撮れたら、ものすごく幸運だよ。
  • 石橋
    この作品はプリントがきれいなところも素晴らしかったです。今回、風景写真の応募が多かったのですが、一次審査でプリントが悪いのをすべて外したんです。やはり写真を表現するときの大事な要素の一つがプリントで、適切な色がきちんと出せているかどうかが重要なので、そこをしっかり意識してプリントを仕上げてほしいと感じました。

シルバー賞

『祈りの刻』川口重一(京都府)
『森の掟』窪田 隆(神奈川県)

ブロンズ賞

『終わりし春を見つめて』田村祐二(滋賀県)
『巡礼の朝』豊田郁夫(愛媛県)
『神宮の森』宮崎正秀(三重県)

佳作

『異世界』山本昂輝(福岡県)
『霧の森の銀河』吉田美穂(高知県)
『夏のおわり』野島俊介(新潟県)
『陽光輝く』山田道也(埼玉県)
『夜城が燃える』河本武子(愛媛県)