プラモデル・フィギュア撮影が上達する!自宅でできるマクロ撮影&深度合成テクニック
公開日:2026年3月13日
プラモデルやフィギュアを「自宅で綺麗に撮影できない」と感じたことはありませんか?
特に小さなホビー撮影は、ピント合わせやライティングが難しく、撮影に悩みを抱えている方も少なくないはず。
この記事では、EOS R6 Mark IIとRF35mm F1.8 MACRO IS STM、RF100mm F2.8 L MACRO IS USMの2本のRFレンズを使用し、実際の作例として「メカトロウィーゴ」を撮影しながら、誰でも自宅で再現できるマクロ撮影のコツ・深度合成の方法・撮影環境づくりのヒントを解説します。
PHOTO:久保田 憲
被写体協力:メカトロウィーゴ/小林和史
PROFILE
久保田 憲
1978年、東京都生まれ。写真家。
写真家だった父の影響でカメラに興味を持ち、21歳の時に広告や出版物の物撮りに特化した撮影スタジオに入社。入社当時はフィルムカメラが主流で、デジタルとの移行期でもあったため、同スタジオでフィルム、デジタル両方の経験を積む事ができた。27歳で独立後、東京都台東区のスタジオ「Hotlens」を拠点に、ホビーや釣具を中心とした広告・出版・Web向けの物撮りを手がける。2023年には東京都国立市に「Hotlens-Kstudio」を設立し、現在もホビー、釣具分野を中心に多くの撮影案件に携わっている。
ホビー撮影では、フィルム時代に培った特撮技術も取り入れながら、加工に頼らない実写表現を大切にし、ユーザーに響く「魅せ方」を意識している。
プラモデル・フィギュア撮影におすすめのレンズ
プラモデル・フィギュア撮影では、被写体が小さいので、接写のできるマクロレンズがおすすめです。
今回の撮影でも使用したおすすめのRFレンズは、
・RF35mm F1.8 MACRO IS STM
・RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
の2本です。

レンズ焦点距離による見え方の違い
35mmは、手前が大きく、奥が小さく写るため、遠近感が強調されて迫力のある描写ができます。ダイナミックな表現をしたいときにおすすめです。一方、100mmは圧縮効果によって被写体の形が整って見え、被写体そのものを美しく描写できます。
どちらにも魅力があるため、撮影したいシーンや表現したい印象に合わせて使い分けるのがおすすめです。


ライティングにチャレンジ
物撮りでは、光の当て方で被写体の見え方が大きく変わります。
まずは、影をコントロールして立体感を出すことを意識してみましょう。


レフ版の活用
ご自宅では、スタジオのようにたくさんの光源はなかなかありませんが、少ない光源でもレフ板を使うことで、光をコントロールして立体感を出したり、暗い部分を明るくすることができます。左右に置くだけなので、ご自宅でもかんたんに再現できます。



面光源を作る
ライトと被写体の間にトレーシングペーパーを入れると、光が柔らかくなり、一気にプロっぽい写真になります。自然光でも簡易的なライトでも大丈夫です。今回、以下の写真で使っているライトも専用のものではなく、観葉植物用のライトを使用しました。


晴れた日に太陽の光が直接当たっているようにはっきり影が出るのが点光源、曇り空で雲を通って光がふんわり当たっているのが面光源のイメージです。撮影したい雰囲気や状況に合わせて使い分けます。
面光源と先ほどのレフ版を組み合わせて撮ると、以下のようにきれいに光が回り製品写真のような撮影ができます。

被写界深度をコントロールする ー フォーカスBKT&深度合成
以下は、後述の深度合成と背景写真を使って撮影した作品です。
深度合成を使うことで被写体のある範囲のみにピントを合わせることができています。

被写界深度とは、レンズの絞りによるピントの合う範囲のことです。
マクロレンズでは被写界深度が浅くボケが非常に大きくなります。
下の写真は絞りによる見え方の違いです。F値が小さいほどボケが大きく(ピントが合う範囲が狭く)なり、F値が大きいとボケが小さく(ピントが合う範囲が広く)なります。

被写界深度が浅くボケが大きすぎると、何を見せたい写真なのかわかりづらくなってしまいます。逆に深度を広くするために絞りすぎると、回折現象といって画像が荒くなっていきます。
絞りを絞りすぎない状態で思っている部分にピントを合わせたいときに便利なのが、フォーカスブラケットと深度合成という機能です。
フォーカスブラケットと深度合成の仕組み

フォーカスブラケットとは、カメラが自動でピントの位置を変えながら複数枚の写真を撮影してくれる機能です。撮った複数枚の写真を1枚の写真に合成することを「深度合成」といいます。
カメラによっては、カメラ内で深度合成までを完結できる機能がある機種や、フォーカスブラケットで撮影した画像を「Digital Photo Professional」を使用して後で合成することもできます。
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対象機種は使用説明書をご確認ください。
今回の作例は、カメラ内で深度合成もできるEOS R6 Mark IIで撮影しています。
深度合成の作例紹介


今回のシーンでは17枚の合成で手前から奥までピントが合いましたが、枚数がわからない場合には少し多めに撮影しておくのが安心です。ただし、あまり多く設定しすぎるとデータ容量が大きくなり、合成に時間がかかってしまうので、まずは多くても30枚程度で設定してみましょう。
また、撮影中にカメラや被写体が微妙に動かないよう、三脚やセルフタイマーを使いましょう。
カメラ内深度合成のおすすめの設定(EOS R6 Mark IIの場合)
深度合成の設定内で、撮影枚数やピントの幅の調整が可能です。
枚数は初期設定では「100枚」になっていますが、今回のような作例撮影では「10~30枚」がおすすめです。

深度合成した画像を修正するには?
「Digital Photo Professional」を使うと、うまくいかなかった合成部分を、元の素材画像から選んで、良いカットからコピーをして、深度合成画像を修正することができます。
深度合成(フォーカスBKT撮影)でストロボは使える?
今回の作例ではEOS R6 Mark IIで撮影しているため、ストロボ撮影は対象外ですが、機種によってフォーカスBKT撮影時に[ストロボ撮影の間隔]を設定することで対応の純正ストロボ、またはシンクロ端子で発光させる汎用ストロボを使用できる機種もあります。
フォーカスBKT撮影時のストロボ対応機種(2026/03/02時点):EOS R1、EOS R3、EOS R5 Mark II
背景に写真を使ってみよう
背景を使うと一気に雑誌などに掲載されているような商品写真にぐっと近づきます。
背景素材は自分で撮影してきた写真をプリントして背景にすると、よりオリジナル感が増します。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMは、接写だけでなく背景素材の撮影にも向いています。
どんな背景写真がおすすめ?
- プリントサイズ:プリントの大きさは家庭用プリンターで出せるものであればA3が使いやすいですがA4でも構図次第で使用できます。
- 用紙:光沢紙は反射してしまうので、マット紙(反射がないもの)で印刷しましょう。
- 構図:撮りたいイメージによりますが、より自然に外で撮影したように見せるのであれば、地面に近い構図の方が違和感が少ないです。
- ピント位置:今回の背景写真はしっかりピントがあったものを用意しています。ホビーとの組み合わせ撮影時に背景を置く位置や絞り値で背景のぼかし具合を調整しています。


ホビー撮影は自宅でも十分クオリティを高めることができます。ご紹介した撮影環境の工夫や、深度合成の活用を組み合わせれば、プラモデルやフィギュアなどの魅力を最大限引き出せます。今日紹介したポイントを実践しながら、自分らしい撮影をさらに楽しんでみてください。