このページの本文へ

自然部門 第57回キヤノンフォトコンテスト

自然部門

ゴールド賞

『終焉のかたち』伊藤 良一(神奈川県)
朽ちていく柿のアップ

受賞者の声

ゴールド賞受賞者近影

小生は普段スナップ写真を主に撮っているのですが、今回受賞させていただいた作品はコロナ禍で過ごす中、家から30分圏内の散歩コースの中で偶然見つけた被写体です。よく探すと、さまざまな形があり、特に左から2番目のものは珍しく見つけたときはときめきました。被写体は探してみると、いろいろあることに気づかされたのが最大の収穫でした。

講評:身近にある命に目を止めた自然部門ゴールド賞作品

  • 水谷
    自然部門ゴールド賞の「終焉のかたち」は、タイトルの通り本当に終焉の世界が見事に表現されていますね。一枚一枚しっかりととらえられていて、柿が朽ちていく様子を、なんだか自分の人生に置き換えて見てしまいました。私もしわくちゃになっていつかは終焉のときを迎えるのかと、ちょっと心にくるものがありましたね。
  • 大和田
    僕も自分自身の記憶を刺激され、実家にあった柿の木を思い出したんです。毎年秋になると柿がなるのですが、全部とらずに何個か残していて、その柿が鳥についばまれたり、萎んだりしながら朽ちていく。そんな少年時代の記憶が不思議とよみがえりました。
  • 広川
    たぶん、一本の木になっている柿ではなく、いろいろな場所の柿を時間をかけて撮っていますよね。背景のぼかし方や色のコントロールの仕方がすごく上手で、しっとりとした雰囲気の美しい作品だと思います。
  • 渋谷
    柿が朽ちていく姿というとネガティブな印象を抱き、そんなにじっくり見ることはないと思いますが、こうして写真として美しさが加味されると、じっくりと見入ってしまいますね。そのため、審査しているとき、たくさんある作品の中でこの作品が強烈に浮き立って見えました。
  • 鍵井
    自然部門のゴールド賞というと、大自然とか見たこともないような美しい景色などを選びがちですが、この作品は身近な自然をとらえているところがいいですね。作者の身近にある命へのまなざしが素晴らしく、とても好きな作品です。
  • 澤田
    確かに自然部門では、大自然や動物たちの作品が多かったですよね。その中で、この作品は身近な自然ですが、ある意味、手付かずの自然というか、柿が自然と朽ちていく様子をそのまま写し撮っていると感じました。また、最初は定点観測なのかと思ったのですが、よく見ると違っていて、そこに気づいた瞬間、より興味を惹かれました。

シルバー賞

『まるで宝石のよう』岩波 正行(京都府)
宝石のような色をした虫たち
『恐怖との戦い』水谷 洋子(京都府)
窓際で絡まり合っている蛇

ブロンズ賞

『神秘の鳥居』古沢 大輔(新潟県)
霧が立ち込める鳥居のある風景
『バンザイ』那須 裕一朗(福岡県)
テーブルの上でバンザイしている猫
『微笑み』佐々木 美智子(愛知県)
水の波紋が人の笑顔に見えるアメンボ

佳作

『わびさび』岸本 聡(兵庫県)
水面に映る大樹の根本
『小さな宇宙』村田 一史(山梨県)
様々な色や形を見せる氷
『夜明けの高原』大野 義人(山口県)
高原で疾走する馬の群れ
『争奪戦』坂本 良雄(兵庫県)
みかんを奪い合う猿の群れ
『まどろみ』森垣 雅則(兵庫県)
霧深い海と幻想的な島影