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審査員メッセージ 第57回キヤノンフォトコンテスト

鍵井靖章

鍵井靖章

写真って、誰のために撮影しているのでしょう……。私の場合は、海の生きものの美しさを表現したい。いや、見てくれる方に、ひと時でも、私の写真で癒しを感じて欲しい。写真で生計を立てている以上、自分だけのためには撮影はしていない。本当にそう。そんな生き方は悪くないけれど、自分自身のためだけに写真を撮って、フォトコンテストで勝負する。そんな道にも憧れる。写真で生きている審査員陣が、皆さんの力ある作品を心待ちにしております。

澤田知子

澤田知子

予想を超えた写真が撮れた!きっと自分にしか撮れない写真だ!そんな写真があれば、あなただけがファインダー越しに見ている世界をぜひ私たちにも見せて下さい。街中で気を抜けば誰かの写すスマートフォンのカメラに写ってしまうような、いつでも、どこでも撮ることが当たり前の時代、上手い写真も簡単に撮れるようになりました。では上手い写真、良い写真とはどんな写真でしょう?photographの語源は「光」と「書くこと」に由来しているそうです。それはめずらしい被写体を撮らずとも、自分だけの視点で撮ることでオリジナリティが発揮できるということではないでしょうか?撮影の目的、目標は何でしょうか?もしかしたら今まで撮ったものの中に素晴らしい写真が眠っているかもしれません。新しく撮るものは期待を上回る写真になるかもしれません。とにかくたくさんの写真との出会いを楽しみにしています!まずは挑戦!ぜひ応募してみて下さい!

渋谷敦志

渋谷敦志

スワヒリ語のことわざに「山と山は出会うことができないけど、人と人は出会うことができる」というものがあります。山は動きません。でも、人は移動することができます。慣れ親しんだ場所から離れ、知らない誰かと関わろうとしたとき、「カメラ」は素晴らしい良い言い訳になってくれます。表情であれ、行為であれ、何かを見て心が揺さぶられたとき、「写真を撮らせてくれませんか?」と勇気を出して一歩踏み出してみてください。

広川泰士

広川泰士

人はそれぞれ他人とは違う、その人だけに備わるセンス、才能があります。
例えば10人が同じ花を写しても10種類の異なる写真が出来上がります。身の回りのなにげない物やことでも自分の素直な感性で捉えることで他人が感動する作品になり得るでしょう。上手い下手は関係ありません。自分の好きな写真で思う存分好きなように表現してください。
人のことは気にしないで型にハマらず自分にしか出来ないことを力いっぱい楽しんでやってください。表現することに作法や決まり事はありません。皆さんの各々の個性と才能を見せて頂くことを楽しみにしています。

水谷章人

水谷章人

撮影するとき、つい構図や色のことを考えてしまうかもしれませんが、テクニックに流される必要はありません。そういうことを意識するよりも、その一瞬を、さりげなく、気の向くまま、感じるまま写し撮ってほしいです。そうすると、自ずと良い作品が生まれてくるものです。
カメラがデジタル主流になった今、写真は写す時代から写る時代になりました。そんな時代だからこそ、写真を選ぶ力、見せる力を大切にして応募してほしいと思います。選ぶ力が特に大切なポイントで、その力があればもっと写真が上手くなります。それぞれの持つ感性を大切にして、写真を「選んで」「見せて」ください。撮る人が感動しないと、人が感動する写真は生まれません。みなさんが持っている内面性を写真を通して表現したような、人間性が豊かな写真をお待ちしています。

大和田良

大和田良

写真には、撮った本人にしか見ることができなかった、あるいは感じることができなかった世界の景色が記録されます。一枚の写真で、言葉で語るよりも深く豊かに、自らが大切にしているものを伝えられることもあるでしょう。私が写真作品を鑑賞するときに期待することも、まさにそのような、自分には見えなかった新しい世界を提示してくれる写真に出会える可能性にあります。それは、壮大な風景が描かれた写真であることも、部屋の窓から差し込む日常的な光に向けた眼差しであることもあると思います。また、写真にとって重要な瞬間やテーマは、被写体の造形や場所といった具体的に写るものにあるとも限りません。時には感情や記憶、感覚といった見えないものを、目の前の被写体に重ねることもあるでしょう。撮ることも重要ですが、何百枚何千枚と撮影した膨大なカットの中からどの写真を選ぶのか、そこに作者の視点は凝縮されると思います。審査では、みなさんそれぞれの個人的な思いや見方が拝見できるのを、楽しみにしています。