グランプリ 第55回キヤノンフォトコンテスト
グランプリ
受賞者の声
このたびは、グランプリという素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。驚きすぎて、いまだに信じられないのが正直なところです。コロナ禍は私の大学生活を激変させました。一年以上も友人と会えず、ひたすらオンラインで授業を受ける日々です。この作品では、このような状況において、大切な友人の存在が段々と遠くなってしまった様子を表現しました。
講評:今の時代を象徴するグランプリ作品
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浅田今回、グランプリに選ばれた「Who are you ?」。アンダー30部門からグランプリが選ばれるのは初ということで、よいことだと感じました。スタジオでしっかりとライティングをして、撮る前から撮りたいイメージに沿って準備をする作品は全体の中では少なかったと思いますが、この作品は、コロナ禍でこういう作品を撮りたいという作者のイメージが伝わり、コロナ禍で大変なことも多いけど、その中でも作品を撮ろうという意思や、写真を通して作品に昇華させたいといった気概を感じ、素晴らしく思いました。
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かくたきっとコロナ禍でないと作れないイメージですよね。それに今の時代を象徴しているようにも感じました。マスクをしている人を撮った作品はほかにもありましたが、この作品は、自分にしか撮れない世界観が構築されていて、そこがすごいと感じました。
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豊田感性が若いですよね。しかも、研ぎ澄まされた感覚というだけでなく、新しい表現にチャレンジしている意思も見受けられ、非常に斬新な作品になっています。タイトルが「Who are you ?」ですが、はっきりと顔を見せないことで、むしろその顔を見たくなるといった印象があります。
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長倉確かに「Who are you ?」に象徴されるように、今はみんなマスクをして、なかなか相手の表情が見えない、読めない状況じゃないですか。そういう時代にあって、この女性も「マスクをしている人」と見られてしまいがちですが、それでもすごいのは、自己主張というか、みんな同じに見えるけど「私は私よ」という印象も受けることです。それは、やはり手前にアクリルのようなものを置いて、作者の個性を強く出しているからだと思うんです。
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高橋この作品を最初はそれほど意識していなかったんですよ。でも、見ているうちに徐々に惹きつけられていきました。やはり、手前のアクリルに塗っているものの模様にインパクトがあり、見ているうちにどんどん魅力的になっていきました。ライティングも素晴らしく、この光のおかげで手前の模様が浮き立ち、二度見三度見してしまうような強さを持ったと感じました。
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古賀コロナ禍という状況において、若いときほど活発に動きたいと思うものだから、きっとそれができない辛さを抱えている人が多い世代だと思うんです。でも、そうした状況に冷静に向き合い、自分のイメージをしっかり作品にしているところが素晴らしいです。人に会いたいけど会えない、恋人に触れたいけど触れられない。そういった葛藤みたいなものを表現しているところも素晴らしく、グランプリに相応しい一枚だと思いました。