私の愛すべきもの #05 ファンタジー 写真・鵜川 真由子
公開日:2020年7月9日
頭の中は自由だ。
映画の主人公にもなれるし、
空だって飛べる。
妄想じゃない。
これはファンタジー。
想像力の翼を羽ばたかせれば、
映えスポットに行かなくても
目の前の世界は輝き始める。
若い頃に着ていた服が
似合わなくなってきた。
女性としてのステージが上がった、
ということにしておこう。
それでも、
可愛いものにときめく
感覚は変わらない。
鞄にしのばせた
ピンクのポーチ。
お花がどんどん
好きになる不思議。
私の中の乙女心は
いつだって
ファンタジーを求めている。
幸せそうに歩く人々。
街を彩るイルミネーション。
先週までなかったレストラン。
都会はときどき、
街そのものがファンタジーだ。
光が影を合わせ持つことを
私はもう知っている。
だからこそ、
輝きを輝きのままに
受け入れる。
真実だけが
正解じゃない。
大人の女性たるもの
〝いいもの〟を見極める眼は
磨いておきたい。
でも、それだけでなく
〝いいところ〟を見つける眼も
持っておきたい。
その眼差しこそ、ファンタジー。
カメラを持っていると
変化に敏感になる。
相手のいいところを
探すようになる。
それはカメラの
幸せな副作用。
鋭くやさしい
大人の感性に、
深みのあるフルサイズ。
- 鵜川 真由子Mayuko Ukawa
- 株式会社松濤スタジオを退社後、アシスタントを経て独立。広告や雑誌などでポートレートを中心に活動するかたわら、作品制作を続けている。またアパレルメーカーとのコラボ展企画など、写真を通じて幅広く表現活動を行っている。東京ビジュアルアーツ非常勤講師。2017年、キヤノンギャラリーでの「Rhapsody in Blue」ほか、個展・グループ展多数。テレビ出演にBS朝日「ニッポン絶景街道」がある。