私の愛すべきもの #01 時間 写真・鶴巻 育子
公開日:2020年7月9日
まだあまり知られていない場所に出かけたい。
人気の場所では物足りない、というわけではない。
よく知らない場所のほうが、
たくさんの初めてに出逢えそうだから。
キレイな景色は
素直にうれしい。
ガイドブックにない
素敵な景色を
見つけると
もっとうれしい。
自分の目で、耳で、足で。
一つでも多くのものを
〝私アンテナ〟で受けとめたい。
街に少し慣れてきたら、
地元の人と触れ合いたい。
彼らと同じものを見て、
同じものを食べて
この国の人たちが
大切にしているものが
何かを知りたい。
薦められた品は
躊躇なくオーダー。
口に合わない料理こそ
強烈な記憶となる。
最近、古いものに惹かれる。
若い頃はなんとも思わなかったのに。
好みが変わっていくのは面白い。
そのきっかけを与えてくれるのも
旅だったりする。
私が生まれる前も
いなくなった後も
ずっとそこにある。
積み重なった時間が
愛おしい。
時間とか
形のないものは
写真に写るのだろうか。
旅に出ると、とにかく写真を撮りたくなる。
それは、お店では買うことのできない、
私だけのおみやげだから。
あちこちに潜む宝物を、
たくさん見つけて持って帰ろう。
写真は料理と似ている。
シンプルに仕上げるか。
アレンジを加えるか。
素敵な素材を見つけたら
調理法を考える。
そんな時間も
たまらなく楽しい。
私の想いに
応えてくれるのは
フルサイズ。
- 鶴巻 育子Ikuko Tsurumaki
- 1972年東京生まれ。広告代理店在職中に写真を学び始め、カメラマンアシスタントを経て独立。現在、広告撮影、写真雑誌の執筆、講師など幅広く活動。世界のさまざまな街や人々を撮影し精力的に発表している。2013~2015年までBS朝日〝ニッポン絶景街道~女流写真家が写す絶世の1枚~〟に出演。主な写真展に、2018年〝THE BUS〟、2017年アルファロメオ企画展 La meccanica della emozioniの他、個展・グループ展多数開催。