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グランプリ 第56回キヤノンフォトコンテスト

グランプリ

『川漁師』芝﨑 静雄(愛媛県)

受賞者の声

このたびは、グランプリという素晴らしい賞をいただき誠にありがとうございます。作品は日本最後の清流といわれる四万十川で落ち鮎漁の川漁師さんを撮影したものです。四万十川流域の写真を撮り始めて二十余年になります。この受賞は今後の写真活動に大きな励みとなります。「清流・四万十川」の美しさを写真の役目の一つである今を正確に記録することも含め、いつまでも残していきたい風景や伝統的な暮らし、祭りを中心にこれからも撮影を続けてまいります。

講評:高いクオリティーで物語を編んだグランプリ作品

  • 齋藤
    グランプリの「川漁師」は、光の使い方がすごく上手な作品だと感じました。2枚目だけ光が違うのですが、あとはすべて逆光でドラマチックな瞬間が写し止められています。一枚一枚のクオリティーが非常に高いですね。
  • 岩木
    確かに一点一点の写真に強く惹かれますね。特に投網を打った瞬間の写真は、光の美しさもさることながら、網の空中に浮かんでいる形など、一枚写真としても面白いです。2枚目の人物をとらえた写真も、非常にいい瞬間を抑えていますし、総合的にほかの作品より抜きん出ていると感じました。
  • 中村
    投網を打った瞬間のキラキラと輝く光は、じっくりと観察していないと撮れないような気がします。だから、この位置でこの光の状態のときに撮ろうと、あらかじめ狙いが明確にあったのでしょう。組み方も寄り引きがしっかりとあり、最初から何枚組でどのような瞬間を写すか、ある程度は計算されていたのかもしれません。だからこそ、非常に完成度の高い作品にまとまっていて、一枚一枚から漁師の生きざまのようなものまで伝わってきます。
  • 齋藤
    すごく説得力がありますよね。組写真だからこそのストーリー性もしっかりと感じられます。
  • 岩木
    写真のことをよく分かっている、センスの高さを感じますね。組写真の中には写真を組み合わせる意味があまり分かっていないのか、ただ並べているだけの作品も少なくない中、きちんと理解して4枚を組んでいます。
  • 小林
    4枚で本当に一つのストーリーを作り上げていますよね。それぞれがとてもクオリティーが高く、これだけ強い写真を並べて一つにまとめているのが素晴らしいと思いました。通常、強い写真が並ぶと、どうしても潰し合ったり、ぶつかり合ったりしてしまうものですが、この作品は並び順も含め、非常に計算されていると思います。
  • 田尾
    私も組写真としてすごく完成度の高い作品だと思いました。光も美しく、網の糸一本一本に臨場感があるのも作品の魅力になっています。
  • 中村
    通っていなければ撮れないですよね。ポイントをしばらく見ていないと、行ってすぐに撮れる写真ではない。
  • 小林
    写真は被写体を理解していないといけない部分があり、被写体のことをよく観察し、分かっているからこそ撮れた作品だと思います。
  • 岩木
    おそらく何百枚と撮っているんでしょうね。その中できちんとセレクションしている。そうしたうまさもこの作品から感じられます。