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グランプリ 第54回キヤノンフォトコンテスト

グランプリ

『希望の光』平松 健太郎(愛知県)

受賞者の声

この度はグランプリという栄えある賞をいただきありがとうございます。目標としていたこのコンテストでの受賞に大きな喜びを感じつつ、今でも信じられない気持ちでいっぱいです。この作品は2018年岐阜基地航空祭での一コマです。ブルーインパルスの演目で一番好きなワイド・トゥー・デルタ・ループの航跡を中心でとらえるため、場所決めには最後まで悩みました。正午近くのフライト条件と相まって、二度と巡り合えないと思えるような印象的なシーンを収めることができました。

講評:未来への希望を感じさせたグランプリ作品

  • 長根
    今回、グランプリに輝いたのは『希望の光』という作品でしたが、従来の航空ショーの写真とは少し違った切り口がよかったですね。おそらく、ブルーインパルスの曲技飛行だと思いますが、通常、白煙がきれいに揃っているシーンや、機体と白煙が美しいフォルムをしているシーンを狙うところ、この作品は乱れた白煙を主題にしながら、太陽をポイントに置いています。
  • 榎並
    これまでたくさんの航空ショーの写真を見ているはずなのに、初めて見るような、新鮮な視点を感じました。航空ショーというと、隊列を組んでいるものがほとんどなのに、作者ならではの視点がよかったと思います。
  • 佐藤
    もっと望遠レンズで寄ったり、機体にフォーカスしたりする作品が多い中、これは言われなければブルーインパルスだと分からないくらいの大きさで写していますよね。飛行機写真というよりも、変わった風景の一部をとらえたような、ジャンルを超えた作品という印象を抱きました。
  • 前川
    確かに被写体は飛行機なのですが、あまり飛行機を撮ったという写真ではないような感じがします。写真にはさまざまなジャンルや被写体がありますが、そのジャンルや被写体を超えるというか、さらに深くまで表現しているような写真の強さがあります。
  • 瀬戸
    コンテストで入賞するには、見た瞬間に引き寄せられる強さが大切。青空と太陽と幾筋もの白煙をうまくまとめた構図も見事です。偶然なのか、立ち位置も絶妙でしたね。
  • 榎並
    真後ろから飛行機のジェット音が聞こえてきて、あっという間に太陽に向かって遠くに飛んでいった感じがします。それに太陽が雲に隠れていたのもよかったですね。雲がなかったら眩しくて何も見えなかった。こういう航空ショーって飛行機が飛ぶコースは決まっているものですよね?
  • 長根
    決まっていますけど、おおよそのコースではないですか?だから立ち位置は偶然の要素も大きいかと。
  • 前川
    ひょっとしたら、すべて計算した強者かもしれませんよ。狙っていなければ撮れないような気もします。
  • 瀬戸
    縦位置で難しい構図なのに、瞬時によく撮っていますよね。
  • 前川
    飛行機と白煙が太陽に向かっていく姿を象徴するかのようなタイトルもいいですね。未来への思いを託すような強い意志も感じられます。
  • 長根
    乱れている白煙が最後はひとつにまとまって太陽に向かっていくというのが感動的ですし、まさに太陽の光に希望を感じました。
  • 佐藤
    あとで振り返ったとき、今年のグランプリが希望を感じさせる作品になったというのは、コロナ禍とか今の状況とまったく無関係だとは考えないと思うんです。そういう時代的な意味合いも含めて、グランプリにふさわしい一枚だったと思います。