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生きもの部門 第50回キヤノンフォトコンテスト

生きもの部門

ゴールド賞

『バードサークル』見方 浩(兵庫県)

受賞者の声

急に飛び立ったカモをとっさに撮影した一枚
わが家の近くに国内最南端の白鳥飛来地があります。北帰行が近いとの情報で撮影に行ったところ、待ち時間にカモが急に飛び立ち、慌ててレリーズを押しました。モニターを見てびっくり、その場でタイトルが浮かびました。地元の有志が餌付けをしたり、池の土手の手入れなどをされていますが、異常気象、マナーの悪さ、自治体が誘致する熱気球などの影響で、年々白鳥の飛来数が減ってきています。私は自然や動物との共存を願ってやみません。

講評:日本人の美意識を感じさせる生きもの部門のゴールド賞

  • 嶋田
    ゴールド賞の「バードサークル」という作品は、ブルーの色調と水面への映り込みのバランスがとてもいいですね。全体として、日本画的な印象というか、独特の美しさがあります。それに1/200秒で撮ったブレ感が丁度いい。最近デジタルカメラの性能が上がって、1/5000秒とか高速で撮った写真が多いのですが、作者はそのあたりを試算して撮っているような気がします。
  • 福田(幸)
    そうですね。部門全体を見てみると色味をかなりいじっている作品が多くて、見たままナチュラルに撮った写真は意外と少なかったですね。その中で、この写真は、ストレートに撮った感じがあってよかったです。僕も和風のテイストが好きなので、この作品は気に入っているんですが、嶋田さんが言うように、動感が非常にいいですね。絶妙なシャッター速度だと思います。
  • 嶋田
    しかも、露出補正もマイナス2/3で、ISO1600。ちゃんと計算していますね。速いシャッター速度で撮るならISO6400くらいまでいっちゃう(笑)。上手な人ですよ。
  • 福田(幸)
    しかも、ただ瞬間を止めるだけじゃなく、構図の美しさにも気を配って撮っていますね。
  • 嶋田
    構図の美しさは、やはり絵画からきていますよね。それに、写真でも、日本画の水墨画のような空気感があると、日本人は見ていてなぜかホッとするんですね。生きもののいる風景を見ている感じがすると、人の心に深く触れてくる。
  • 福田(幸)
    カメラの性能は飛躍的に上がっているので、衝撃の瞬間が、偶然、撮れてしまうこともあります。ただ、構図と画づくりを意識して撮ると、もっといい作品になると思います。
  • 嶋田
    確かに「瞬間を撮った」という同じような写真も多かったですね。
  • 福田(幸)
    やっぱり、自分たちが見ている世界で、場所や時間帯を選んでしっかり観察していくと、撮れるものがあるのでしょう。
  • 嶋田
    はい、それに、人を含めすべての生きものが、自然に生かされていることを思い起こし、生きものに対して畏敬の念を持って向き合うことで、作品に深みが増すのではないでしょうか。

シルバー賞

『ヤイロチョウ』中西和夫(高知県)
『子リスの季節』吉田雄二(北海道)

ブロンズ賞

『疾走(冬への備え)赤ネズミ』栗原九十郎(茨城県)
『雪の日』IKESHO(滋賀県)
『興味津々』淳子(神奈川県)

佳作

『オオタルマワシの子育て』今井寛治(岐阜県)
『見つめる』平山 弘(和歌山県)
『デュエット』村上和子(北海道)
『暮色騒然』松本昭子(京都府)
『上下関係』稲沢敏夫(栃木県)