アンダー30部門 第59回キヤノンフォトコンテスト
アンダー30部門
ゴールド賞

受賞者の声
私がカメラを手にして間もないころ、車の撮影直前にハンドルを忘れて慌てる私に、祖母が忘れ物を届けに来てくれたことで撮影できた一枚です。その一枚がゴールド賞を受賞したと知った瞬間、手が震えるほどの驚きでした。あの時の焦りと、祖母のおかげで生まれた奇跡的な瞬間が、永遠に残る一枚として形になったことに、深い感謝と感動を覚えます。これからも誰かの心が動く、そんな瞬間を残していきたいです。名誉ある賞をいただき、心より感謝申し上げます。
講評:さまざまな想像が膨らむ
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長島アンダー30部門ゴールド賞の「小さなレーサー」は、一瞬で強く惹かれたのですが、どういう状況なのかまったく分からないんですよね。この方が、小さな段差でもバンパーを擦ってしまいそうなこの車に乗るとは思えないし、そもそもなんでハンドルを持っているのか。ただ、彼女のおうちの匂いとか、こういう夕飯が出てきそうとか、写真に写っていないところはたくさん想像できる。それがこの作品のすごいところだと思いました。
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在本面白いとしか言えないですよね。本当になんでハンドルを持っているのか分からないし、よく見ると、おばあさんの髪の色とパンツの色が同じなど、面白いポイントが画面に散りばめられています。コメントによるとお孫さんが撮影したとのことで仲のよさが感じられ、ヤンキーカルチャーの中にあるほっこりとした幸せも伝わってきます。とにかく、いろいろな想像ができる一枚になっていますね。
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櫻井ハンドルを持っているのは、盗難防止なのかもしれませんよ。もしかしたら、スポーツカーみたいにハンドルを取り付けないと動かない車なのかもしれない(笑)。
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在本いや、単にハンドルを改造するために持っているんでしょう(笑)。
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櫻井それはそうなんですけど、想像でこのような会話を楽しめるのが、この作品の一番の魅力だと思います。
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伊奈見る人によって、いろいろな意味にとれるのが本当にすごいですよね。フロントガラスに電線が映り込んでいるのも面白くて、きれいに撮ろうと思ったら電線が映らないようにすると思うんですよね。撮影のときに気づかなかったのかもしれませんが、意識していないものが勝手に写り込んでしまう面白さが写真の特権なのだと思います。
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小澤おばあさんの表情が微妙なのもいいですよね。すごく笑顔というわけでもないし、不機嫌でもないし、なんとも言えない表情なのが、かえって魅力的に見えました。あと、「小さなレーサー」というタイトルも面白く、作者は、撮影だけでなく、タイトルの付け方とか、コンテストに応募することも含め、写真を通して思いきり楽しんでいるように感じました。そうした〝写真で遊ぶ〞という文化が根付いていることに、うれしさを覚えます。
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秦ギャップの妙ですよね。ハンドルを持っていることとか、おばあさんとシャコタンの車とか、いろいろなギャップが見る人の笑いを誘うのだと思います。スルメのように見れば見るほど楽しめるというか、写真の可能性がたくさん詰まっている一枚だと感じました。
シルバー賞


ブロンズ賞



佳作




