自由部門 第59回キヤノンフォトコンテスト
自由部門
ゴールド賞

受賞者の声
このたびは、栄えある賞を賜り誠にありがとうございます。組写真『嵐の記憶』は、あの日家族で体験したできごとを紡いだ作品です。雷鳴とともに窓を揺らす稲妻、不安な夜、停電による暑さからの避難、そして嵐が過ぎ去った後の空。これらは私一人で撮れたのではなく、家族全員で作り上げた合作であり、その点が評価されたことを大変嬉しく思います。
子供の成長とともに写真から遠ざかりかけていた私にとって、挑戦であった組写真での受賞は大きな光明となりました。
講評:非日常の様子をとらえた
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伊奈自由部門ゴールド賞の「嵐の記憶」は、嵐で停電してしまったときの気持ちを表した作品で、きっとお母さんかお父さんが撮影したと思いますが、上の3点に不安な気持ちがよく出ています。稲妻が落ちた瞬間もよくとらえましたね。
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櫻井この作品を見てまず思ったのは、嵐のときによく写真を撮ったなということでした。それに驚いたのと、どのような状況のときでもカメラを構えられるのも一つの写真力ですよね。
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在本普段なら、会社にいたり、家事をしていたりする時間かもしれないですよね。だけど、嵐だから家にいて、非日常の光景を写し止めることができた。普段は一緒にいない時間帯かもしれないけれど、このときは家族みんなが暗闇の中にいたことで生まれた光景ということを興味深く思いました。
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長島今年の夏は突発的な豪雨が本当に多く、地球環境についてより真剣に考えさせられたのですが、2枚目の写真の娘さんと思しき子の表情が、こういう状況に慣れているかのように冷静なのが心に残りました。4枚目の空がすごく赤いのも印象的です。
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在本嵐の後は空が異様な色になるので、それを撮ったのでしょうね。
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長島そうですね。3人の女性が傘に入った後ろ姿と合わせると、少し演出過多にも見えました。
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秦写真の役割には、今起こっている出来事を伝えるというものがありますが、この作品も、雨の災害が増えているということを伝える作品になっています。2枚目の女の子は停電した中でパソコンやスマートフォンを見ているのか写真それぞれからいろいろな想像が膨らむ作品になっています。
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小澤全体的にドキュメンタリータッチで統一されていますが、4枚目だけは少し演出されたような印象を受けます。ただ、それがむしろ作品の魅力となっており、リアルとフィクションが融合して一つのストーリーを形作っているように感じました。だからこそ、まるで一本の映画を見終えたような心地よさがあり、読後感のよい作品だと思いました。
シルバー賞


ブロンズ賞



佳作




