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人物部門 第59回キヤノンフォトコンテスト

人物部門

ゴールド賞

『海女像』大和 啓子(兵庫県)

受賞者の声

思いがけない受賞のお知らせに接し、喜びいっぱいです。深く感謝を申し上げます。
このたびの作品は、働く海女の日常の姿を角度を変えて撮ったものです。漁に向かう姿、休憩でくつろぐ姿、漁を終えたばかりの様子などなど。素潜りで海に入り、アワビやサザエ、海藻の漁を生き甲斐として生活する、美しい姿でした。

講評:海女さんの魅力を引き出した

  • 在本
    人物部門のゴールド賞「海女像」は海女さんを写した作品ですが、作者が80代の女性とのことで、まず日本の写真を撮る人の層の厚さを感じました。もちろん、一枚一枚の質も高く、特に左下の写真は海女さんの肉体的な美しさをとらえた生命感を感じる一枚で、それを女性が撮っていることが素敵だと感じました。本当に人物を魅力的にとらえていて、この作者なら、きっと海女さんの装束を着ていなくても素敵な作品になっていたと思います。
  • 長島
    無防備なところまでしっかりと撮れていることが素晴らしいです。写真を見るとき、作者の身体的条件を想像したりするのですが、自分がこの方の年齢に近づいたとき、大きな一眼レフカメラで撮影に出向くことの意味がまた違うだろうと思います。それでも海女さんの写真を撮りたいとこの場に足を運んだ作者の行動力に敬意を表したいと感じました。
  • 何よりも被写体が魅力的ですよね。ただ、だからといって誰にでも撮れるわけではなく、特に無防備な姿などは僕が行っても撮れないでしょう。きちんとコミュニケーションをとり、海女さんたちの魅力を引き出した作者の人間力があってこそ、この素晴らしい作品が生まれたのだと思います。
  • 小澤
    画像調整によるものなのか、このときの光の条件がそうだったのか分かりませんが、背景が暗く落ちてシンプルなのがいいですね。そのため海女さんの装束が印象的に浮かび上がっています。また、海女さんの表情から心を開いていることが伝わり、素敵なポートレートになっていると感じました。
  • 伊奈
    この作品を見たとき、最初は技術的なうまさが目立ったのですが、皆さんの話を伺っていると、ひょっとしたら、この作者が元海女さんで同僚だった人たちを撮ったのかもしれないと思ってしまいました。秦さんがおっしゃったように、私にもこの表情を引き出すことはできないと思いますし、元同僚くらいの関係性がないと撮れない写真のような気がします。
  • 櫻井
    私は小澤さんと同じで背景の処理が素晴らしいと思いました。しかも、たまたまこのような黒バックになるなんてありえないので、きちんと狙って撮影したのでしょう。だから、作者は元海女さんではなく、カメラの熟練者だと私は思いました。年齢など関係なく、いくつになっても楽しめるのが写真の素晴らしいところでしょう。

シルバー賞

『フェイス』安藤 宏幸(愛知県)
『豆腐職人の音色』内田 啓貴(東京都)

ブロンズ賞

『笑顔が一番』東 輝(大阪府)
『庭花を愛でる』井口 絵理香(大分県)
『民宿のおかみさん』萩原 由紀夫(神奈川県)

佳作

『祭りの少女』宮田 典彦(愛知県)
『顔変わり』渡辺 克実(滋賀県)
『雨上がり』西山 樹(東京都)
『再会』山崎 勝範(兵庫県)
『双子ちゃん元気でね』吉村 省二(長崎県)