グランプリ 第59回キヤノンフォトコンテスト
グランプリ

受賞者の声
このたびは、グランプリという素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。モデルは中学からの友人で、気の合う私たちは、共に悩み、共に成長してきました。私たちだからこそ表現できた世界を、写真を通して皆様に届けられたことが心から嬉しいです。
いつもモデルをしてくれるあなたへ。あなたらしい姿が一番です。愛を込めて。
講評:新しい感性が光る
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小澤グランプリを受賞した「溢れる」は、アンダー30部門ということで僕とは世代が違い、表現に対して全部理解できるとは思っていません。でも、その理解できないところが作品の魅力になっていて、写真を見た人が考える余白がすごくあるのも、この作品を輝かせる一因になっていると感じました。
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秦やっぱりキーワードとして「若さ」というものがありますよね。抑えきれないエネルギーが溢れているというか、どこに向けてよいのか分からない衝動がにじみ出ているような、僕もすべて理解できたわけではないですが、そういったものがとらえられているような印象をこの作品から抱きました。
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長島作者は10代の方ですね。私も20歳でコンペの受賞をきっかけにデビューしたので、頑張ってほしいですね。この先どのような作品が生まれてくるのか、期待しています。
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在本確かにこれからが楽しみですね。いろいろなものに興味を傾け、面白いと思ったことに素直にカメラを向けていることが伝わってきます。特に手のイラストは道端に落ちているのを見つけたと思うのですが、それを写真に撮ろうと思う着眼点がユニークだと思いますし、赤いものに反応するのも撮影の初期衝動のように感じました。作品から生命力が感じられるのも素晴らしいです。
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櫻井10代の作者で、全応募者の中でもかなり若いですよね。自分が10代のときにどんな写真を撮っていたかと考えると、やっぱりすごいですよね。エネルギーを感じますし、ポートレートの一枚だけでも強く惹き付けられました。今後に大いに期待できますね。
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伊奈審査のときにどなたかがおっしゃったと思うのですが、「グランプリ作品はみんなが参考にしたり、同じような作品を撮りたいと思わせるものであるべきだから、そこに新しい感性を取り入れたい」と。写真は時代を映す鏡のようなもので、この作品はまさにそれをよく表しています。旧態依然とした写真コンテストの作品とは異なる価値観で選ばれたという点においても、興味深いというか、まさにグランプリにふさわしい作品だと思います。
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秦自分も含めて、作者が若いということをクローズアップしてしまいましたが、仮に40代、50代の方が撮っていてもグランプリに選ばれていたと思います。それだけ魅力的で、人を惹き付ける作品になっています。
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小澤年代など関係なく、この作品を見た人が新しい感性を感じ、自分も変わらなければ、と考えてもらえたらうれしいですね。これまで自分がやってきた文脈に沿っていれば心地よさを感じるものですが、このような表現もあるということを知り、もっと自由に写真表現を楽しんでもらいたいです。