自然部門 第59回キヤノンフォトコンテスト
自然部門
ゴールド賞

受賞者の声
このたびはゴールド賞をいただき、ありがとうございます。応募したのも忘れていたころに通知が届き、ビックリしました。
この作品は雨が降る夜に、ホタルの幼虫が水中から地上に出て光を点滅させながら岩壁を登る様子を長時間撮影したものです。まずはこの写真を撮るまでに場所を見つけ、試行錯誤しながら10年以上かかりました。
この作品を選んでくださった審査員の方々に感謝しています。
講評:ホタルの生態を写した
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秦自然部門ゴールド賞の「ミステリーライン」は、ホタルの幼虫をとらえた作品です。ホタルというと光を放ちながら飛び回るイメージだと思いますが、この作品は光を放ちながら幼虫が壁をよじ登っています。おそらく、作者がこのような現象があることを知った上で撮影し、その観察力が素晴らしいですね。長時間露光の多重合成による光の描き方も美しく、完成度の高い一枚に仕上がっています。
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長島単純に美しい光景ですよね。ホタルの幼虫がどのようなところに生息しているかなどまったく知らなかったので、写真を見たときに何が起こっているのか分かりませんでした。でも、見ているうちにだんだんと興味が湧いてきました。普段、接することのない生きものの生態を伝え、見る人の好奇心を刺激する力のある一枚だと思います。
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在本今回の審査でたくさんのネイチャー写真を拝見しましたが、この作品のように引いた構図で主役を小さくとらえている作品は多くなく、新鮮な印象を抱きました。暗闇の中に黄色く伸びる光の筋がとにかく印象的で、なんとも言えない魅力がありますね。
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櫻井ホタルが発光するのはもちろん知っていますが、幼虫も光りながら壁を登るなんて知らなかったので、勉強になりました。あまり知られていない自然の営みを多くの人に伝えられるのも写真が持つ力の一つですね。
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伊奈私も、最初に見たとき、何が写っているのかよく分からなかったんです。写真は現実にあるものを写せると信じられていますが、実際には写せないものがたくさんありますよね。匂いとか、冷たいといった感触とか。それでも、写真は現実を写すという幻想を抱く人にとって、この作品は、いい意味で裏切ってくれる作品だと思うんです。私もホタルの幼虫が壁を登るのを知りませんでしたし、この作品から多くのことを学ばせてもらいました。
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小澤ホタルの写真の中で、この作品は、いわゆる「映え」とは距離のある作品だと思います。大きいサイズなら美しさとかに気づけると思いますが、小さいと見過ごされてしまう可能性もあります。そういった意味では、コンテスト向きの写真とは言えないかもしれませんが、あえて、そのような作品を応募したチャレンジ精神を評価したいと思いました。それに、「映え」ではなくても人の心を動かす写真があることを教えてもらえたような気がします。
シルバー賞


ブロンズ賞



佳作




