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アンダー30部門 第58回キヤノンフォトコンテスト

アンダー30部門

ゴールド賞

『風が呼び覚ます』楳田美優(山口県)

受賞者の声

ゴールド賞という大きな賞をいただけてとても驚きました。私は不思議な雰囲気の写真が好きで、よく家族や友達にモデルをお願いして撮影をしています。今回はひぐらしが鳴いているような夏の終わりをテーマに作品を作ろうと思い、ワンピース姿の母を撮影しました。遠い日々を思い返しているような少し曖昧で淡い雰囲気を露出で表現しました。影と光がはっきりとした夏の日差しが印象的な作品になったと思います。名誉ある賞に選んでいただき、ありがとうございました。

講評:物語性が豊かなアンダー30部門ゴールド賞

  • 望月
    アンダー30部門ゴールド賞の「風が呼び覚ます」は、説明していないところがいいですね。前後を想像させてくれるような、もっとたくさんの枚数で見てみたいと思いました。
  • 野村
    確かに、顔の部分が切れていますが、その分、見る人の想像力が掻き立てられます。また、作者がとても写真を楽しんでいることも伝わり、とてもすてきな作品になっていると思います。
  • ハービー
    作者は高校生とのことですが、母親の姿を通して、そこに何を追い求めたのか、自分の20年後の姿を想像したのか、一人の女性として母親を見たのか、作品を見る方も、いろいろな見方ができると思います。4枚の構成も素晴らしく、最後に飛行機雲を持ってきたことで、未来を感じさせてくれるような印象を抱き、音楽が聞こえてくるような気もしました。
  • 岡本
    私も家族の写真を撮ると顔を写さないでとよく言われますが、なんとなく、お母さんが顔を写さないでといったら、「大丈夫、私にはストーリーがあるから」というような会話を想像しました。1枚目は顔が見えなくても体のラインなど特徴的な部分をしっかりとらえ、2枚目は帽子が風に飛び、3枚目は帽子が飛んだけど、それでも顔が見えず、4枚目で風に流れる飛行機雲を写すことで、風を感じさせる。そうしたストーリーが4枚で見事に表現されています。
  • 藤代
    私もハービーさんと同じように音楽が聞こえてくるような気がしたんですよ。私が好きな写真って、撮影者の姿が浮かんでくるような写真なんですね。この作品も、作者がお母さんと楽しみながら撮影している姿が浮かんできて、すごく惹かれました。
  • 津留崎
    お母さんに憧れていて、お母さんになりたいと思っているんじゃないですかね。自分の理想的な姿を追っているというか、それが作品から強く伝わってきます。皆さんがおっしゃる通り、顔が見えないために想像力が働くし、どこかノスタルジックな雰囲気があるのも魅力的です。
  • 藤代
    きっと、お母さんのことが大好きですよね。二人で服装を選びながら、「帽子はどれにする」とか、そんな二人のやり取りが想像でき、少し羨ましく感じました。いつか子どもは親の元を離れていくものですが、この二人がとてもかけがえのない時間を過ごしていることが写真から伝わってきました。

シルバー賞

『鮮度』和田紗耶加(京都府)
『敗者居てこそ』江波戸 颯(東京都)

ブロンズ賞

『天空へ』金子卓人(神奈川県)
『憧れ』寿山彩華(大阪府)
『見初める』佐々木理華(埼玉県)

佳作

『はい、チーズ!』青木千夏(福岡県)
『燃える天狗』尾田旭信(愛媛県)
『白い境界線を越えて』ゆっきー(大分県)
『謎の引力』瀬名駿太(愛知県)
『天の川を目指して』斎藤優吾(千葉県)