RF100-300mm F2.8 L IS USM 開発者インタビュー05
公開日:2023年5月18日
RF100-300mm F2.8 L IS USM 開発者インタビュー
05|高画質
全焦点域・撮影距離において
単焦点に迫る
高画質を実現。
安定した高い光学性能を追求
蛍石、UDレンズ、GMo(ガラスモールド)
非球面レンズの配置を最適化
全焦点域・撮影距離で
高画質を実現したポイントは何でしょうか。
片寄●本商品は特に望遠端の高画質化を実現するために、1群で発生する色収差を極小に抑えられる蛍石と、UDレンズの接合レンズを採用しました。比重が小さい蛍石は軽量化にも寄与しています。UDレンズは絞り近傍でも3枚使用し、画面中心部の色収差を抑えています。もう1つのポイントとしては、最後方のレンズ群に大口径GMo非球面レンズを配置しています。レンズ枚数の削減と共に高画質達成に大きくかかわっています。また、300mm F2.8では明るさだけでなく、ボケの美しさにこだわる方も多いと思います。色収差抑制を徹底しながら、ボケ味の柔らかさについても配慮した設計を行っています。さらにゴースト抑制については特殊コーティングASC(Air Sphere Coating)を採用して、高い反射防止効果を発揮させました。
浦波●製造部門では工場が有している光学技術を駆使して光学調整を行い、設計時の理想とする品質に極限まで近づけるように努め、安定して高い光学性能を達成することができました。
メカ設計で高画質に配慮されたポイントは
何でしょうか。
長岡●メカ設計でもゴースト抑制のシミュレーションは徹底して行いました。特にレンズ後方に配置されたフォーカスレンズ/フローティングレンズは複雑な駆動部品が集中しているため、ゴースト抑制の難易度は高かったのですが、最少限になるように設計しています。
早川●さらにメカ設計では新しく、ズームレンズ群のカム環の保持にボール保持構造を搭載しました。これはフォーカスレンズ群のカム環保持で採用実績がある技術です。ズーム時に前後に可動するズームレンズ群は、縦位置撮影等の姿勢変動でレンズ位置が不安定になりますが、ボール保持構造の採用でガタを抑制することでレンズ位置を安定化しました。これにより、ズームレンズでありながら単焦点に迫る光学性能を確保できました。
エクステンダーを装着した場合の画質は
どうでしょうか。
片寄●エクステンダーを装着すると、各収差が増幅されます。収差の少ない高画質を維持するには、レンズ本体の光学性能を極限まで上げる必要があります。本商品では特に色収差補正を重視して設計を行っており、エクステンダー装着時でも、Lレンズに相応しい高画質を実現できたと考えています。
※本インタビューの実施においては、
COVID-19感染防止対策を徹底して行いました。