RF100-300mm F2.8 L IS USM 開発者インタビュー01
公開日:2023年5月18日
RF100-300mm F2.8 L IS USM 開発者インタビュー
01|開発の背景
300mm F2.8を今までにない
望遠ズームレンズに生まれ変わらせる
撮影領域の拡大を開発のポイントに
開発のきっかけについてお話し願います。
浅見●従来機種のEF300mm F2.8L IS II USMはスポーツ撮影をはじめ多彩なシーンで活躍してきました。そこでEOS Rシステムの進化に伴い、300mm F2.8ならではの明るさ、独特の浅い被写界深度(ボケ)と強い圧縮効果を活かしたレンズの検討を開始しました。その結果、室内/屋外スポーツ、ポートレート、野生動物等、さまざまな撮影に対応した望遠ズームレンズで撮影領域を拡大しようとの構想が生まれたのです。
早川●RF70-200mm F2.8 L IS USMより焦点距離が欲しい、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMより明るさが欲しいといった要望に応えるズームレンズをとの思いもありました。単焦点レンズに迫る光学性能、機動力を発揮できる小型軽量の観点から絞り込んだのが100-300mm F2.8でした。
撮影領域の拡大のために、技術的に困難が予想されましたが、広角端100mmからの3倍ズームを実現することは妥協できませんでした。ほかにもエクステンダー内蔵タイプなども検討しましたが、サイズや性能、スペックのバランスが最も良いことから、「エクステンダー内蔵なしで3倍のズーム倍率を達成する」という方針を固めました。
F2.8で100-300mmはキヤノン初
RFマウントのユーザーには、
本商品はどのような位置づけとなりますか。
浅見●RFマウントの「F2.8 Lズームレンズシリーズ」において、焦点距離15mmから300mmまでが隙間なくつながりました。F2.8で100-300mmはキヤノンとしては初めてのレンズです。
カメラが高速連写・高精度な被写体検出といった進化を遂げる中、それにふさわしい大口径望遠Lズームレンズの投入となります。本商品は100-300mmズーム全域F2.8の単焦点レンズに迫る高画質と小型軽量を両立し、カメラボディー内IS(手ブレ補正機構)との協調制御にも対応するなど、RFマウント大口径望遠Lズームレンズのフラッグシップとして位置づけています。
オンラインでのチーム結束に手応え
開発にあたっては、
COVID-19の影響はありましたか。
早川●開発環境は大きく変わりました。対面に加え、オンラインのコミュニケーションも増えました。しかし、メリットもあって、今までは開発メンバーを毎回会議室に集めるための調整が大変でしたが、オンライン化により課題があれば図面を画面共有して即座にコミュニケーションがとれるようになりました。仕事のやりやすさには手応えを感じ、各メンバーが一体感をもって開発できたと思います。
※本インタビューの実施においては、
COVID-19感染防止対策を徹底して行いました。