このページの本文へ

動体部門 第53回キヤノンフォトコンテスト

動体部門

ゴールド賞

『青が散る』鈴木 啓公(東京都)

受賞者の声

景色が流れるシャッター速度 何度失敗しても通い続けた一枚 入賞通知をもらってから興奮が冷めず、今も「受賞したぞ〜」と世界に向かって叫びたい気分です。デビュー間もない特急が、ピカピカの車体を輝かせて青葉の中を駆け抜けてゆきます。1/8秒は、景色がバランスよく流れるシャッタースピード。何度も失敗し何度も通い、成功した瞬間、宮本輝さんの小説タイトルが浮かびました。嫁のみつこをはじめ、私を応援してくださるすべての皆さまに感謝! 次なるステージを目指して、これからも挑戦を続けます。

講評:森の中に溶け込む車体をとらえた動体部門ゴールド賞

  • 米屋
    動体部門のゴールド賞の「青が散る」という作品ですが、まず技術力の高さを感じました。流し撮りをしながらレンズを少し回転させているのだと思いますが、それでいて車体はピタッと止めている。この列車は西武鉄道の新型特急なのですが、窓が座席の下まであるんです。そうした車両の特徴もきれいにとらえられています。
  • 野口
    乗ったことあります?
  • 米屋
    はい(笑)。窓が大きくてビックリしました。あと、流し撮りで手前に木を入れているのもよかったですね。
  • 野口
    流し撮りで手前に何かを入れるのは鉄道写真では珍しいのですか?
  • 米屋
    そうですね。ただ、手前に木を入れたことで、より緑の中を走っている印象が強まっています。
  • 野口
    私はこういう車両があることを知らなかったので、何でこう写るのか不思議だったんです。一瞬、見たことがあるような気がしたのですが、よく見ると、やっぱりどうなっているのか分からない。そんな不思議さが面白さにつながっていると思いました。今の説明を聞いて「なるほど!」と思い、さらに面白さが増しました。
  • 中西
    僕は森の中に溶け込んでいる感じが好きですね。窓が大きいので向こう側の風景も見え、自分もこの中に飛び込んでいくような感覚に陥りました。まるでファンタジーの世界を走っている列車に見えたのも印象的です。
  • GOTO
    作者の鉄道が好きな気持ち、鉄道愛がすごく伝わってくる一枚です。流し撮りのテクニックもすごいのですが、露出の調整も素晴らしいですね。撮影後に調整したのかもしれませんが、明るく爽やかな印象で、好きなものをストレートに写したという、そんな気持ちのよさも感じました。
  • 大石
    写真を撮っているとき、これがムービーのように動いてくれたらと思うことがあるのですが、この作品を見て、その気持ちを思い出しました。流し撮りなど技術的なことは詳しくありませんが、それでも、写真でここまで動きを表現できることに驚きました。明るい日差しや、若葉が生茂る森を感じさせる色彩も素敵ですね。
  • 米屋
    先ほど、森に溶け込んでいるとおっしゃいましたが、実はこの車両のコンセプトが「都市や自然の風景に溶け込む」というものなんです。
  • 中西
    そうなんですか? でも、子どものころ西武線沿線に住んでいましたけど、こんなにかっこいい車両はなかったですよ(笑)
  • 野口
    普通に走っている車両ではなく、特別車両なんですよね。
  • 米屋
    特急です。特急ラビュー・レッドアロー号っていう列車です。
  • 野口
    鉄道の知識があると、さらに写真が楽しくなるかもしれませんね。

シルバー賞

『斜光の中で』土井 良一(東京都)
『交差点』岩見 雄次(埼玉県)

ブロンズ賞

『crossing』南端 祐希(福岡県)
『キャッチ』助川 正義(愛知県)
『轟き』杉本 嘉美(京都府)

佳作

『木もれ日』鳥越 英次郎(福岡県)
『かけっこ』安藤 宏幸(愛知県)
『旅立ち』三村 信昭(神奈川県)
『しぶき』丹羽 賢一(宮城県)
『大空へ』山崎 秀司(兵庫県)