船尾 修写真展「The Great Indus 大河インダスをめぐる人間と自然の織りなす物語」
本展は、写真家 船尾修氏による写真展です。
氏はこれまで約25年にわたって、インダス川の流れに身を任せるようにその流域を旅して撮影を行ってきました。今回は流域の中でも特徴的な11の地域に焦点を絞り、その多様性に満ちた豊かな世界を紹介することによって、大河インダスの持つ魅力を伝える集大成ともいえる写真展です。
90年代から撮影してきた数えきれないポジフィルムの中から、一年に3週間のみ凍結するザンスカール川など登山・クライミングの知識がある氏だからこそ立ち入ることができた場所や、チベット文化圏にあるラダックで年に一度行われる祭礼や仮面舞踏、アニミズムを信奉するカラーシャ民族の暮らしといった、日本ではあまり紹介されることのない地域に暮らす人の営みを撮影した作品など約100点を展示します。
展示作品は、すべて最新のキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし展示します。
会期 | 会場 |
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2022年11月26日(土)~2023年1月17日(火) | キヤノンギャラリー S |
作品・展示風景
紹介動画・対談動画
作家メッセージ
インダス川は中国チベット自治区の聖山カン・リンポチェ付近を源流とし、ラダックやザンスカールなどのチベット文化圏を通過した後、インドとパキスタンとの間で領有を争う国境地帯のカシミールへ至ります。
その後、ヒマラヤ山脈と双璧をなすカラコルム山脈からの氷河の雪解け水が大量に流れ込み、かつて仏教が誕生・隆盛したスワートのガンダーラ地方を経由。流域には、混沌とした政治状況が続くアフガニスタンや、アニミズムの少数民族カラーシャの暮らす谷などが広がっています。
やがて大河はパキスタンの膨大な人口を支える大穀倉地帯のパンジャブ、シンド地方を潤わせながら、最終的にアラビア海に注ぎ込まれるのです。
全長約3180キロ。世界を代表する大河のひとつであるインダス川は、その流域に実に多様な民族や文化、歴史、自然景観を展開しながら、今も昔も変わらず滔々と流れています。今回の写真展では、日本人にあまり知られていない地域で営まれる人々の暮らしやスケールの大きな自然を楽しんでいただけたらと思っています。
作家プロフィール
船尾 修(ふなお おさむ)
1960年神戸生まれ。筑波大学生物学類卒業。20代から30代にかけてアフリカを長期放浪したことがきっかけで写真家となる。「地球と人間との関係性」が作品を貫く大きなテーマ。
- 著書・写真集
- 「アフリカ 豊穣と混沌の大陸」(山と渓谷社)/「UJAMAA」(山と渓谷社)/「循環と共存の森から 狩猟採集民ピグミー」(新評論)/「カミサマホトケサマ国東半島」(冬青社)/「フィリピン残留日本人」(冬青社)/「世界の子どもたち⑭ 南アフリカ共和国」(偕成社)/「石が囁く 国東半島に秘められた日本人の祈りの古層」(K2 Publications)/「日本人が夢見た満洲という幻影」(新日本出版社)/近刊:「満洲国の近代建築遺産」(集広舎)/近刊:「大インダス世界への旅」(彩流社)
- 受賞歴
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第9回さがみはら写真新人奨励賞(2009年)
第25回林忠彦賞(2016年)
第16回さがみはら写真賞(2016年)
第1回江成常夫賞(2020年)
第42回土門拳賞(2023年)
第13回梅棹忠夫・山と探検文学賞(2024年)
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