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上田 義彦「Materia 2015」

本展は、写真家、上田義彦氏による写真展です。 上田氏は、アメリカのワシントン州の木々や森をとらえた写真集「Quinault」から、屋久島の木々や森を記録した近作「Materia」に至るまで、約30年にわたり、写真を通じて地球上の生命の根源について考察を続け、巡礼の旅を続けてきました。 本展では、新作を中心に「Materia 2015」のタイトルのもと、海中や木々や台地など地球上の『生命を生む力』を表した作品約30点を展示します。今夏以降、インドネシアとパタゴニアにおいて、約5,060万画素のセンサーを搭載する一眼レフカメラEOS 5Dsで撮影した新作も含み、最大約2メートルの大型パネルで展示します。

会期 会場
2015年11月14日~2015年12月12日 キヤノンギャラリー S

作品・展示風景

作家メッセージ

『QuinaultからMateriaまでの道』
北アメリカの森、Quinaultを撮ることから始まり、Materiaに至る地球上の生命の根源の姿を撮ろうとしてから30年がすでに経とうとしている。
ディアドルフ8×10を担いで森をさまよったあの日から、やっと徐々に見え始めた写真の姿。
その目指すものを見失わないようMateriaという言葉を名付けた、『生命を生む力』という意味を持つこのラテン語に出会い、それまで霧につつまれたようにぼんやりとしていた写真の姿がこの言葉によって私の中ではっきりと形をもつようになった瞬間だった。
日本にも同じような意味を持つ言葉がある、山川草木国土悉皆成仏(さんせんそうもくこくどしっかいじょうぶつ)物事の姿、

そのおおもとの成り立ちに気づいたとき、その意味にたどり着き、たちまちそれまでの姿とは全く違う姿に気づく、
この言葉も同様にたどるべき道を見失いかけた時、私を助けてくれる。
古代の人は長い時をかけ、この世の成り立ちの原理に気づき、発見し定義付け、言葉を生みだした。
写真もまたこの偉大な言葉同様に、世界の成り立ち、その根源、おおもとに気づき、それを定義付け、表せると信じている。
この地球のおおもとの姿、生命の根源にたどり着くよう、今一度、世界を自分の目を通して撮って行きたいと願っています。

作家プロフィール

上田 義彦(うえだ よしひこ)

1982年に独立。写真家、多摩美術大学教授。
東京ADC賞最高賞、ニューヨークADC賞、カンヌグラフィック銀賞、朝日広告賞、日本写真協会 作家賞など国内外のさまざまな賞を受賞。
代表作として、ネイティブアメリカンの神聖な森を撮影した『QUINAULT』(京都書院、1993)、「山海塾」を主宰する前衛舞踏家・天児牛大のポートレート集『AMAGATSU』(光琳社、1995)、自身の家族に寄り添うようにカメラを向けた『at Home』(リトルモア、2006)。屋久島で撮り下ろした森の写真『Materia』(求龍堂、2012)。ガンジス川の人々を撮った『M.Ganges』(赤々舎、916Press、2014)。
2015年4月には数多くのポートレートや自然、スナップ、広告などを撮りつづけてきた自身の30有余年の活動を集大成した写真集『A Life with Camera』(羽鳥書店、2015)を発表。現在Gallery916にて『A Life with Camera』展を開催中(2015年12月27日まで)。
また作品は、Kemper Museum of Contemporary Art (Kansas City)、New Mexico Arts (Santa Fe)、Hermès International (Paris)、Stichting Art & Theatre (Amsterdam)、Bibliothèque nationale de France (Paris)などにそれぞれ収蔵されている。

著作権について

当写真展関連ページに掲載されている写真の著作権は作者に帰属します。
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