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竹内 敏信「悠久の列島 - 日本人の原風景」キヤノンギャラリー S 10周年記念展 第2部

「キヤノンギャラリー S 10周年記念展」の第2部、竹内敏信氏の写真展。
日本の風景写真のあり方を大きく変え、今なお後進に影響を与え続ける竹内氏。本展では、氏が日本人の原風景を追い求め、40年もの歳月にわたって撮影してきた膨大な作品群の中から、自身で厳選した約70点の作品を展示。富士山を頂点とする山々が作り出す雄大な光景や、桜をはじめとする豊かな木々が織りなす繊細な美など、日本の自然美を余すところなく紹介する。

会期 会場
2013年10月17日~2013年11月18日 キヤノンギャラリー S

作品・展示風景

作家メッセージ

日本人の心の水脈を探るような思いでこの国の風景を撮り始めてから、もう40年になります。その撮影意図の根底にあるのは、「日本人は太古から、どのような思いで自然を見つめてきたのであろうか」という疑問です。アジア大陸の一端を弓形に縁どるこの国は、海に囲まれた山岳列島であるがゆえに複雑で繊細な地形と気候に恵まれ、細やかな四季の変化が多彩な生物相を生み出しました。そうした豊かな列島の自然風土に育まれ、生きてきた先人たちは、一木一草にも神が宿ると考え、荘厳なまでに美しい風景や魂を揺さぶるような恐ろしい天変地異に、深い畏敬の念を抱き続けてきたことでしょう。
この「日本人の原風景」というテーマは、撮影を重ねるごとに自分の中で重みと深さを増していきました。日本の自然が魅せる表情は非常にデリケートで、しかも美しく輝く瞬間はほんの一瞬です。

毎年同じ場所に咲く花も、山野を染める紅葉でさえ、翌年また同じ姿を見せてくれるとは限らず、風景との出合いはまさに一期一会です。
人間性や文化が自然風景によって育まれるならば、海外から高く評価される日本の繊細な美術や文芸、音楽、意匠などは、独特の自然と風土をベースに醸成されたものといえるでしょう。日本人としてのアイデンティティが失われつつある今、われわれは、この美しい悠久の列島の姿を、もう一度しっかりと見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

作家プロフィール

竹内 敏信(たけうち としのぶ)

1943年、愛知県生まれ。名城大学理工学部卒業。愛知県庁勤務後、フリーランスの写真家となる。さまざまな写真コンテストの審査員を務めるほか、写真展、講演会を多数行う。日本写真芸術専門学校校長。日本写真家協会会員。

主な写真集、著書、CD-ROM、ビデオ

1975年
『海はいのち(I・II)』(海の博物館)
1983年
『日本の野生馬』(新峰社)、『花祭』(誠文堂新光社)
1984年
『LOVE』『PEACE』『SPILIT』(共著 小学館)しゃしんえほん『うみ』『かわ』『だいち』『やま』『そら』(共著 誠文堂新光社)
1985年
『天地聲聞』(講談社)
1987年
『光と風のヨーロッパ』(玄光社)
1988年
『天地光響』(講談社)、『つくる』(竹書房)
1989年
『欧羅巴 ―EUROPE―』(小学館)、『素晴らしい自然を写す』(朝日新聞社)
1990年
『山頭火文庫』全12巻(共著 春陽堂書店)、『水の変幻』(文一総合出版)『写真・山頭火』(春陽堂書店)
1991年
『エーゲ海の誘惑』(玄光社)、『ヨーロッパを撮る』(朝日新聞社)『色想う時間の旅』(共著 世界文化社)
1992年
『櫻』(出版芸術社)
1993年
『自然風貌』(日本カメラ社)、『芭蕉 百吟』(春陽堂書店)『日本を撮る』(朝日新聞社)、『風景写真術1』(学研)ビデオ『風景撮影のプロテクニック』(TDKコア)
1994年
『風景写真術2』(学研)、『雪月花』(トーキョーセブン)CD-ROM『雪月花』(トーキョーセブン)、『竹内敏信集』(新日本企画)
1995年
『天地聲聞(復刻新版)』(出版芸術社)
1996年
『竹内敏信の新・風景写真術』(JTB出版事業部)、『新風景講座』(朝日新聞社)CD-ROM『Ambient Color』(デジタローグ)CD-ROM『デジタル歳時記交響詩』(イメージライブラリー)
1997年
『竹内敏信集完全版』(新日本企画)、『風景の撮影現場』(学研)
1998年
『天地風韻』(日本芸術出版社)、『山櫻』(出版芸術社)『おもちゃが奏でる日本の音』(共著 音楽之友社)
1999年
『櫻暦』(出版芸術社)
2000年
『樹の風景』(日本カメラ社)、『桜を撮る』(小学館)『風景のフレーミング』(学研)、CD-ROM『風景遺産』(シンフォレスト)
2001年
『燦 ―きらめき―』(春陽堂書店)、『日本の滝1000 遊楽の滝』(学研)『日本の滝1000 和みの滝』(学研)、『日本の滝1000 幽遠の滝』(学研)
2002年
『竹内敏信の風景写真入門』(小学館)、『新・風景写真術』(学研)
2003年
『花風景』(日本カメラ社)、『天地』(出版芸術社)『四季のカメラワーク』(双葉社)
CD-ROM『竹内敏信フォトテクニック作品集』(玄光社)
CD-ROM『風景歳時記』(シンフォレスト)
2006年
『一本櫻百本』(出版芸術社)、『風景の創作』(学研)『風景撮影テクニック』(日本カメラ社)
2007年
『竹内敏信の熊野古道』(出版芸術社)『digiscape 日本列島』(ソフトバンク クリエイティブ)
2008年
『大欧羅巴 ―Grand Europe―』(出版芸術社)
2010年
『心で撮る風景写真』(双葉社)
2011年
『山河照抄』(出版芸術社)
2013年
『富士山』(出版芸術社)

著作権について

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