桜井 秀『「ノスタルジックな道」 =ルート66=』
アメリカ・イリノイ州シカゴとカリフォルニア州サンタモニカを結ぶ幹線「ルート66」。
アメリカ西部の経済や産業の発展に大きく寄与したこの道も、州間高速道路の新設によって廃線となり、現在は途切れている箇所もある。本展は、「ルート66」を旅した桜井秀氏の作品約60点を展示。それらの作品には、街道に廃墟となって残るモーテルやガソリンスタンドなど、かつては西部への憧れの象徴だった「ルート66」の今の姿が情緒豊かに写し出されている。
会期 | 会場 |
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2011年11月11日~2011年12月19日 | キヤノンギャラリー S |
作品・展示風景
作家メッセージ
国道ルート66はシカゴから8つの州を通過し西海岸のサンタモニカまで3700kmの道のりである。国道40号の開通により国道66号線は廃線となったがHISTORIC・ROUTE 66として途切れてはいるが生き残った。50年代には西海岸を目指す観光客のためにモーテル、ガソリンスタンド、ドライブスルーなどが繁盛しアメリカ近代文化の縮図へと変貌した。近年やや衰退気味だが古くはスタインベックの小説『怒りの葡萄』に見る様に西への憧れはアメリカ人の心に潜在しTHE MOTHER ROADとして頑なにウエスタン・スピリットを守り抜いている。
今回の写真展に当たっては昨年シカゴからサンタモニカまで完走し、今年はサンタモニカとオクラホマシティの往復を取材した。
点在するルート66は国道40号に接近しており、大型トラックが昼夜を問わず疾走し、モーテルに泊まると騒音やルート66を集団で走る事が夢の一つでもあるハーレーダビットソン群団のエンジン音にも悩まされる。随所にある廃墟と化したモーテルやガソリンスタンドなど見ると「兵どもが夢の跡」の感は拭えないが、それらを超越したよき時代のアメリカ文化の魅力がルート66にはあり、それがHISTORIC・ROUTE 66である。
作家プロフィール
桜井 秀(さくらい しゅう)
- 1959年
- 東京写真短期大学(現東京工芸大学)卒業。写真家集団VIVOに入社。川田喜久治、丹野章、東松照明、奈良原一高、細江英公、佐藤明(故)各氏に師事。
- 1963年
- 広告代理店博報堂写真部に入社、主に企業広告などに従事。
- 1997年
- フリーとしてモノクロ写真の魅力について大学やカメラ雑誌などで講義、発表。男性化粧品のCMでチャールズ・ブロンソンを撮影以来アメリカ西部にとりつかれ、20年間にわたりアメリカ西部を撮り続け写真展やカメラ雑誌に発表。写真集『American West 西へ向かう』(日本写真企画 2008年)にまとめる。
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