富山 治夫『キヤノンフォトコレクション写真展「富山治夫の佐渡島」』
豊かな表情を見せる人々の暮らしや、古くからの伝統や風習が途絶えることなく息づく佐渡の風土に魅せられ、1976年から1977年にわたって記録した、富山治夫の「佐渡島」。
本展では、キヤノンフォトコレクションに収蔵されている同作品から、富山氏自らが焼いたオリジナルプリント30点に加え、佐渡博物館に眠っていたものを富山氏が発掘、復元した、近藤福雄氏の作品「佐渡万華鏡」も併せて展示。
会期 |
会場 |
---|---|
2003年11月11日~2003年12月22日 | キヤノンギャラリー S |
作品・展示風景
作家メッセージ
佐渡の思い出
佐渡ヶ島の暮らしのリズムは、お盆まで、祭りまでと、四季を通じて展開している。そこには、失われつつある純日本的な村々の風情がある。祭りは季節の節目に行われ、祭りが季節を運んでくる。初めて佐渡を訪れたのは1967年の小木祭りの日だった。その夜は、深い透明な空に浮かんだ満月が、静かな小木湾を水鏡として滑っていた。小さな和船を岸辺に沿って流しながら、竿に感じる黒鯛の引きと、遠くに聞こえる小木太鼓の祭りと囃子との出会いは、とても印象的で、鮮やかに記憶に残っている。もう30年を過ぎた。
佐渡博物館の薄暗い廊下の片隅に、近藤福雄が1917年から1945年まで、暗箱カメラで撮影した8800枚の膨大なガラス乾板写真が眠っていた。その内、5500枚の紙焼きをして「佐渡万華鏡」にまとめた。今回、キヤノンサロン Sでは、コレクションとして収蔵された写真と、デジタルプリントにより新たな息吹を込められた「佐渡島」を展示し、改めて映像記録の大切さに思い至り私にとって有意義なものとなった。
作家プロフィール
富山 治夫(とみやま はるお)
1935年 東京神田に生まれる。「女性自身」「朝日新聞社出版写真部」を経て1966年よりフリー。
主な受賞
- 1965年
-
日本写真批評家協会新人賞。
- 1978年
-
講談社出版文化賞。
- 1980年
-
日本写真協会年度賞。
- 1981年
-
芸術選奨文部大臣新人賞。
- 1989年
-
写真百五十年マスター顕彰。
- 1995年
-
日本写真協会文化振興賞。
- 2003年
-
平成十五年度 紫綬褒章受章。
主な写真展
- 1978年
-
NEW YORK I・C・P JAPAN TODAY「現代語感」
- 1999年
-
中国建国五十周年記念デジタル写真展・北京美術館
- 2002年
-
東京・銀座 和光「禅修業」
主な著書
現代語感(中央公論社)、佐渡島(朝日新聞社)、日本の挽歌(角川書店)、中国全3巻(交通公社)、京劇1・2(平凡社)、市川団十郎(平凡社)、佐渡万華鏡(郷土出版)、三国志(TOW企画)、禅修業(曹洞宗出版部) その他多数
著作権について
当写真展関連ページに掲載されている写真の著作権は作者に帰属します。
これらのコンテンツについて、権利者の許可なく複製、転用などする事は法律で禁止されています。
写真展の情報・作家メッセージなどは、開催当時の内容を記載しております。予めご了承ください。