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高画質 EOS-1D X Mark III

撮像システム

映像の表現力を革新する、20.1M 35mmフルサイズCMOSセンサー。

35mmフルサイズCMOSセンサー
写真:CMOSセンサー

精細かつ低ノイズ、そしてリアリティ。そのすべてを妥協なく追求した自社開発・自社生産、有効画素数約2010万画素の35mmフルサイズCMOSセンサー(約35.9×23.9mm)を搭載しました。優れたS/N比とダイナミックレンジを備えるほか、駆動と読み出し速度の大幅アップを実現。これにより常用で最高ISO102400(静止画撮影時)、最高約20コマ/秒の高速連続撮影、5.5K RAW動画、4K 60p動画などに対応。画質と機能を向上させています。

EFレンズの解像力を活かす、GDローパスフィルター。

EFレンズの優れた解像力をより引き出すため、ローパスフィルターを新開発しました。センサーに届く光を16点に分離させることで、ガウス曲線に近いMTF形状を実現。偽色や輝度モアレを効果的に抑制しつつ、従来のローパスフィルターより高い解像感を達成しています。

  • GD:Gaussian Distribution
写真:ローパスフィルター

GDローパスフィルターの特長

写真:光強度分布表

イメージセンサーには、画素ピッチより細かい高周波数の成分のデータを得られないという、サンプリング上の基本原理があります。それを超える高周波数の成分がノイズとなって、本来のデータをひずませた結果が偽解像です。このノイズは本来のデータと区別ができないため、除去することができません。そこでサンプリング前での対策=ローパスフィルターが不可欠となります。画像処理や電気信号処理の分野において、広く用いられるローパスフィルターがガウスフィルターです。GDローパスフィルターは、その特性を光学的に再現したもの。ノイズの原因となる高周波数の成分を、これまでよりも自然にぼかすことができます。

次元の違う処理性能を獲得した映像エンジン、DIGIC X。

写真:センサークリーニング

新開発の映像エンジン、DIGIC Xを搭載。シングル構成でありながら、EOS-1D X Mark IIのデュアルDIGIC 6+をはるかに凌ぐパフォーマンスを発揮します。ノイズの抑制や解像感の向上、撮影時のデジタルレンズオプティマイザ処理などで画質向上を図りつつ、最高約20コマ/秒(ライブビュー撮影時)の画像処理やHEIF記録に、ひとつのエンジンで対応。デュアルピクセルCMOS AFの大幅な機能アップや、膨大なデータの即時処理が求められる5.5K RAW動画も実現しました。また、デュアル構成のエンジンに対して、電力消費と発熱量を抑制できるという利点も備えています。

  • High Efficiency Image File format

画像処理

常用でも最高ISO102400、拡張時ISO819200相当の高感度。

ISO25600
写真:画像処理

新開発CMOSセンサーとDIGIC Xによる強力なノイズリダクションにより、さらにノイズの少ない高画質を実現しました。これにより、常用ISO感度を1段拡張(EOS-1D X Mark II比)。最高ISO102400の高感度設定を可能としています。感度拡張はL(ISO50相当)、上限はH1(ISO204800相当)、H2(ISO409600相当)、H3(ISO819200相当)まで。露出設定の自由度がさらに広がるほか、エクステンダーをより積極的に活用できることもメリットです。

  • 記載のISO感度はすべて推奨露光指数です。静止画撮影時。
  • 動画撮影時はISO100~25600、H1(ISO204800相当)まで上限の拡張が可能です。

解像感の高い画像を生む、高度なシャープネス処理。

DIGIC Xの優れた処理能力により、ノイズを抑えつつ高周波領域の解像感アップを実現。GDローパスフィルターとの相乗効果により、EOS-1D X Mark IIを超える高精細な描写が得られます。また、描写力の向上に合わせ、シャープネスの初期値を従来の[強さ、細かさ、しきい値]=[3、4、4]から[4、2、3]に変更し、細部の描写力をさらに高めています。

メリハリ感をコントロールできる、明瞭度。

[明瞭度]は画像エッジ部のコントラストを調整できる新しい画像調整機能です。たとえば遠景をくっきりさせたいときや、人物をソフトに表現したいときなどに有効。画像全体のコントラストを調整するピクチャースタイルの[コントラスト]と異なり、白とびや黒つぶれが気になるシーンでも、メリハリ感をコントロールできます。

  • 設定内容はライブビュー映像には反映されません。

レンズ光学補正

デジタルレンズオプティマイザが撮影時から適用可能に。

これまでRAW現像にのみ対応していたカメラ内デジタルレンズオプティマイザが、撮影時から使用できます。連続撮影時の撮影速度や連続撮影可能枚数への影響がないため、常用することも可能です。撮影後に処理を行うプロセスを省けるほか、速報性が求められる撮影においては、高度な補正を施した画像を即時転送・活用することができます。

  • 主要なEFレンズの光学補正データ、デジタルレンズオプティマイザ用データはカメラに登録されています(一部、補正用データが用意されていないレンズもあります)。
  • 光学補正データを内蔵したEFレンズであれば、新たにカメラに登録する必要はありません。

デジタルレンズオプティマイザの効果

図:画像全体で立体感・細部の精細感が向上

レンズ光学補正で対応できない各種収差(コマ収差、サジタルハロ、非点収差、球面収差など)や、ローパスフィルターが画像に与える影響などを、詳細な光学設計値に基づいて厳密に補正。解像感に加え、質感や立体感の表現力を向上させます。また、画質向上により、これまで控えていた開放や小絞り領域が使用できるようになり、撮影領域も拡大します。

  • すべての画像で効果を保証するものではありません。
図:画像全体で立体感・細部の精細感が向上

静止画HDR

リアリティある画像を生む、撮影時のHDR PQ HEIF 10bit記録。

明暗のメリハリがあり、目で見た感覚に近い画像が得られるHDR撮影。EOS-1D X Mark IIIは、ITU-R BT.2100が定義するPQ※1規格に準拠したHDR画像を、HEIF※2で10bit記録することが可能です。高速連続撮影時も使用できるため、さまざまな分野でHDR撮影を行い、臨場感や感動をいっそうリアルに伝えられます。記録したHEIF画像は、HDR対応ディスプレイにHDMI出力することにより、本来の階調で再生・鑑賞できます。

  • ※1
    Perceptual Quantization。緻密な階調、広い色域で人間の視覚に沿った画作りを行うガンマカーブのことを指します。
  • ※2
    現像後の画像を格納するファイルコンテナ。JPEGのYCbCr 4:2:2 8bitに対して、 YCbCr 4:2:2 10bitでHEVC圧縮されます。
  • より高い効果を得るため、高輝度側・階調優先[D+]と併用することをおすすめします。
  • RAW画像を現像し、HEIF画像として記録することも可能です。

画像活用の幅を広げる、HEIF→JPEG変換。

HEIF画像からJPEG画像を生成することが可能です。HDR対応ディスプレイで表示したときと印象が近づくように変換、新規保存。変換後のJPEG画像は、通常撮影で得た画像と同様に、SDRディスプレイでの再生やプリントなどに活用できます。

  • シーンによっては、元画像と変換した画像を比べたときに、印象が異なることがあります。
JPEG(SDR)
図:RAW画像を現像し、HEIF画像として記録することも可能です。
JPEG(HDR PQライク)
図:より高い効果を得るため、高輝度諧調優先[D+]と併用することをおすすめします。

直感的な露出確認・調整を可能にする、撮影時HDRアシスト表示。

ライブビュー撮影時、HDR対応ディスプレイ表示時と印象が近づくように変換した画像をモニターに表示。撮影結果をイメージしながら露出調整が行えます。アシスト表示は[中間輝度露出確認用][高輝度描画確認用]を用意。被写体や表現意図に応じて選択することにより、ヒストグラムを確認するよりも直感的な撮影が可能です。また、撮影した画像をモニターで確認するときや、SDRディスプレイで再生するときのために、再生時アシスト表示を適用することもできます。

[中間輝度露出確認用]中間輝度の被写体(人物など)の露出を優先した表示を確認できます。

[高輝度描画確認用]高輝度の被写体(空など)の階調を優先した表示を確認できます。

記録形式

RAW、JPEG、HEIF、3つの形式に対応。

RAW(14bit)、JPEG(8bit)に加え、EOSカメラとしてはじめてHEIF(10bit)に対応。これにより3種類のビット深度による静止画記録を選択可能としました。HEIFもJPEGと同様にRAWとの同時記録が可能。また、「ワンタッチ記録画質切り換え」により、瞬時に記録画質を変更することができます。

  • JPEGとHEIFは画質(圧縮)を10段階で設定できます。
記録画質 記録画素数(画素)
JPEG L 約2,000万
(5,472×3,648)
M1 約1,270万
(4,368×2,912)
M2 約890万
(3,648×2,432)
S 約500万
(2,736×1,824)
HEIF L 約2,000万
(5,472×3,648)
RAW RAW/C-RAW 約2,000万
(5,472×3,648)
  • 1万の位を四捨五入
記録画質 ファイルサイズ [約・MB]
L 7.6
M1 5.4
M2 4.1
S 2.8
HEIF 7.6
RAW※1 22.1
C RAW※1 13.1
RAW + L 22.1 + 7.6
C RAW + L 13.1 + 7.6
RAW + M1 22.1 + 5.4
C RAW + M1 13.1 + 5.4
RAW + M2 22.1 + 4.1
C RAW + M2 13.1 + 4.1
RAW + S 22.1 + 2.8
C RAW + S 13.1 + 2.8
RAW + HEIF 24.3 + 7.6
C RAW + HEIF 13.7 + 7.6
  • ※1
    [HDR PQ] [OFF] の時
  • ファイルサイズは、撮影条件(JPEG/HEIF 画質:8、被写体、メモリーカードの銘柄、ISO 感度、ピクチャースタイル、カスタム機能など)により異なる

新RAWフォーマットであるC-RAWを採用。

RAWとC-RAWの、2種類のRAWを搭載。C-RAWはRAWと同じ約2000万画素の情報を、より小さなファイルサイズで記録できる新RAWフォートマットです。従来のM-RAWやS-RAWに対して同等以上の扱いやすさでありながら、より精細な高画質が得られます。

  • [C-RAW]と比べ、画質は[RAW]が優れています。
  • RAWからC-RAW、C-RAWからRAWへの変換はできません。