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審査員メッセージ 第60回キヤノンフォトコンテスト

審査員紹介・メッセージ(50音順・敬称略)

五十嵐 顕(いがらし あきら)

航空写真家 A☆50/Akira Igarashi
​またとない瞬間を切り取ることをメインに全国を駆け巡る瞬撮の航空写真家。山下清画伯に憧れ車中泊、下道を駆使して長期全国放浪ヒコーキ撮影。JAL・スカイマーク・FDAオフィシャルカレンダー担当。雑誌、WEB、テレビなど各種メディアに作品を提供するかたわら、航空会社やカメラメーカーなどの公式撮影も担当する。ヒコーキ撮影に関する記事の執筆を担うほか、写真コンテストの審査も行う。多くのヒコーキ撮影講座にて講師を務めるほか、イベントでのトークやテレビ出演もこなす。キヤノンEOS学園講師。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。

皆さまが情熱を傾けた作品、魂をこめた作品、息を呑むような作品、パンチの効いた作品、時間をかけまくった作品、笑いながら撮った作品、真剣に撮った作品、考え抜いて撮った作品、気軽に撮った作品、うっかり撮れてしまった作品、気合を入れて撮影にのぞんだ作品、自分の想いを表現した作品、自分の好き♡を表現した作品、被写体への想いをこめた作品、被写体への愛をこめた作品、何度も何度もチャレンジしてやっと撮った作品、仲間とワイワイしながら楽しく撮った作品、ひとりでじっくり撮った作品、暑い中で汗をかきながら撮った作品、寒い中で震えながら撮った作品、早起きして撮った朝の作品、眠い目をこすりながら撮った夜の作品…すべての想いを受け止める覚悟です。どんな作品でもOK。誰でも気軽にご応募ください。お待ちしております。

須藤 絢乃(すどう あやの)

美術家/写真家
1986年大阪生まれ。京都市立芸術大学大学院修士課程修了。在学中にフランス国立高等美術学校へ交換留学。2014年キヤノン写真新世紀グランプリ受賞。実在する行方不明の少女に扮したセルフポートレート《幻影》や、時代の中で姿を失った女性像を主題とする《MISSING-鬼が栖むか蛇が栖むか》など、存在と記憶のあわいを写し取る作品を発表。国内外での展覧会に加え、自家出版や多様なサブカルチャーとの交錯を通じて、写真をめぐる文化と自己のアイデンティティを探求している。主な展覧会に「写真都市―ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち」展(21_21 design sight、東京、2018年)「愛について アジアン・コンテンポラリー」展(東京都写真美術館、東京、2018年)VITA MACHINICALIS(MEM、東京、2022年)、MISSING(MEM、東京、2024年)他多数。東京工芸大学非常勤講師

綺麗に整えられた既視感のあるものよりも、それを撮るしかなかったという切実さと必然性に惹かれます。言葉にできないからこそカメラで写した景色が、人々の目に触れることで客観的に言語化されていく過程もコンテストの魅力だと思います。あなたの内なる視点と世界を、ぜひこの世に開き、差し出してみてください。ひと目見て忘れられない写真に出会えることを楽しみにしています。

立木 義浩(たつき よしひろ)

写真家
1937年徳島県生まれ。1958年東京写真短期大学写真技術科卒業後、アドセンターに入社。1969年フリーランスとなる。女性写真の分野やスナップ・ショットで多くの作品を発表する。広告、雑誌、出版などの分野で活動し、現在に至る。1965年、第9回日本写真批評家協会新人賞、1997年、日本写真協会賞年度賞、2010年に日本写真協会賞作家賞など受賞。主な写真集に『動機なき写真』、『東寺 遍照』、『in Vitro? in Vivo!  写真家 立木義浩✕東京大学』、『禍福は糾える縄の如し』。

写真は氷山の水面上浮んだ一部分に過ぎない。その下に沈んでいるもの、これが人の心を打つ。打つこともある。一見意味が無いように見える事物にも「実は隠された意味がある」と言って貰うと私達は安心する。私達の精神が「意味が無い」ことに耐えられない。そこで無意味なものには意味がないと思い込んでいる。これこそがナンセンス。
​写真は頭の中にあるイメージを再現する写真もあれば、現場で感じたものにシンクロするスナップ・ショットのような写真もある。写真は現実を素直に切り取ったものではなくカメラの背後にいる貴方の意図や作為を反映したものです。あるいは無意識のうちに生み出した写真であったとしても作者が意識しない写真の本意を鑑賞者が見つけ出したとしても悪くない。「何を撮るか、どう撮るか、何故撮るか」からも自由に、雲のような自由、水の如き自然で御健写下さい。

鶴巻 育子(つるまき いくこ)

写真家
​1972年東京生まれ。1997年の1年間渡英し語学を学ぶ。帰国後周囲の勧めで写真を学び始めた。カメラ雑誌の執筆や写真講師など幅広く活動する一方、2019年に東京・目黒に写真ギャラリー Jam Photo Gallery を開設し、著名写真家の企画展や若い写真家への場の提供、アマチュアの育成にも力を注いでいる。国内外のストリートスナップで作品を発表しながら、視覚障害者の人々を取材し「みること」をテーマとした作品にも取り組んでいる。2025年第33回林忠彦賞受賞。

写真は目の前の光景がただ写るだけです。そこに気持ちや思いが記録されるわけではありません。それなのに、なぜか良い写真には写した人の気配のようなものを感じることがあります。写真は写す人の背景によって、見えてくるものや意味が変化するとも思っています。そうした矛盾が写真の不思議であり魅力です。だから私は写真を撮るとき、無理に抗うことなく目の前のものに反応するようにしています。写真を鑑賞するときも同じです。外から与えられる価値や新しさに惑わされず、被写体と素直に向き合った写真に惹かれます。審査では、どんな写真に出会えるのかを楽しみにしています。

三輪 薫(みわ かおる)

写真家
1948年岐阜県関ヶ原町生まれ。1973年日本デザイナー学院名古屋校写真科卒業後上京。4年間家業の塗師を継いでいたこともあり、日本的な作品表現の「カメラで日本画や墨絵を描く」作風を探求し続けている。プリントに拘った個展主体の創作活動をし、『風色』『こころの和いろ』『仏蘭西・巴里』など計37回の写真展を開催。近年は主に国内の自然風景や花に取り組んでいる。860mm幅のロール紙や五八判(1500mm×2400mm)の大型和紙プリント作品による個展『風の香り』(キヤノンギャラリー S、ミュゼふくおかカメラ館、他)など、和紙による写真展を2003年以降21回開催。

自然風景の魅力と素晴らしさは、ドラマチックで感動的な出会いに多くあり、時には神々しさを感じ、自然に畏敬の念を抱くでしょう。作品の魅力は見る側の琴線に触れ、心の奥底に響く描写にもあると思います。また、作者独自の視点や感性、美学を発揮し、五感を研ぎ澄ませて撮って創り上げた作品には新たな魅力を感じます。デジタル時代になって撮影も自由度が増し、画像処理もより細かくでき、画素数や撮影感度設定が増したことでフレーミングや露出、色調やグラデーション再現などの調整もできる利点があります。作品創りにはフレーミングが大事で、写真独自のボケ味やブレ効果を引き出し、絵画にはない世界を引き出すこともいいと思います。何気なく見える被写体でも、このような感じ方、表現の仕方があったのかというような新鮮な感覚で撮った作品も期待し、楽しみにしています。

上田 優紀(うえだ ゆうき)

写真家
大学を卒業後、24歳の時に世界一周の旅に出発し、1年半かけて45カ国を周る。帰国後、株式会社アマナに入社。2016年よりフリーランスとなり、想像もできない風景を多くの人に届けるために世界中の極地、僻地を旅しながら撮影を行なっている。近年はヒマラヤの8000m峰から水中、野生動物や南極まで活動範囲を広めており、2021年にはエベレスト(8848m)を登頂した。

写真はとても身近な存在になりました。誰でも撮影ができ、WEBを通せば世界中の誰にでも見てもらうことができます。そんな時代だからこそ、ぜひあなたの目の前に広がるあなただけの世界を記録してみてください。大きいカメラ、小さいカメラ、スマートフォン、なんでもかまいません。それはきっと誰かのこころを豊かにするものだと思います。きれいでもなくても自信がなくても大丈夫です。あなたの心が惹かれた風景と出会えることを楽しみにしています。