vol.02 光芒
公開日:2020年7月9日
喧騒に溢れる雑踏、複雑に絡み合う色彩、
息苦しいほどの熱気。
印度の強烈なエネルギーに触れるとき、
不思議と落ち着く。
それは猛烈な混沌の中心に、
「熱情」を見出すからかもしれない。
砂漠の荒野に埋もれる村で、混沌が渦巻く街角で、
夜明けの大地を走る夜行列車で。
印度の熱情は心の奥底へと浸透し、
私に写真を撮らせた。
写真は、熱情なのだ。
一筋の光が差し込み、暗闇から輪郭を浮かび上がらせる。
古びた人力車の車輪や、市場に積まれた祈りの花々。
その奥に見え隠れする混沌、熱情、喧騒。
光は闇に埋もれていたものたちを、目に見える形に置き換えていく。
同時に、私は自身の心に浮かび上がるものを見る。
それはときに孤独であり、諦観であり、希望であったりする。
私は印度の光芒を写すことによって、
自分自身を知ろうとしているのかもしれなかった。
- 沖縄の海の世界に驚き、自身が見て感じたことを記憶に残そうと写真をはじめる。「大地と人の繋がり」を求めて世界中の国々を旅し、これまで訪れた国と地域は140を超す。2010年3月から世界一周の旅を敢行。北米、南米、アフリカ、ユーラシアなど、1021日で103カ国を巡る。