桃井 和馬『地球環境写真展「未来の地球へ!」』- プロジェクトG-Odyssey -
フォトジャーナリストとして、紛争や途上国の現実を切り撮り続ける桃井和馬氏。各地で起こる紛争の根底にある「限られた地球の資源と環境」。
それを守るためには、人間や国家が中心に置かれた「世界」ではなく、人間も含めた生きとし生けるものすべてを宿す「地球」規模の視座を持つことが大切と同氏は語る。本展では、そうした考えのもと、かけがえのない地球環境を冷徹に見つめて記録した作品約80点を展示。
会期 |
会場 |
---|---|
2005年7月5日~2005年8月6日 | キヤノンギャラリー S |
作品・展示風景
作家メッセージ
紛争とは、究極の「結果」です。結果には、必ず原因があり、その原因が、長いプロセス(時間)を経る中で、変容し、武装闘争へと発展します。言い換えれば「結果としての紛争だけを見続けても、本質は何も理解することができない」わけで、フォトジャーナリストとしていくつかの紛争を取材し、いくつもの途上国を訪れた経験から、このことを痛感するようになりました。
では原因は何か? 紛争における表層の理由が、たとえ「権力」や「民族・宗教」にあったとしても、多くの場合、根底では「土地所有を巡る人々の思惑」があり、地下資源の奪い合いがあります。また、生命維持に必要な「水や食糧の分配問題」も重要な基本原因でしょう。
つまるところ、それら原因の多くは「限られた地球の資源と環境」に他ならないわけです。そして人類が欲望と憎悪のためだけに戦争を繰り返す余地も、環境を破壊しながら利潤だけを追求する余裕も、わたしたちが住む「地球」という閉鎖空間にはありません。
大切なのは、人間や国家だけが中心に置かれた「世界」というの観念を越え、草や木や、海や山や、それだけでなく、人間を含めた生きとし生けるものすべてを宿す「地球」規模の視座を持つことではないでしょうか。
「プロジェクトG-Odyssey」は、ギリシャ神話に出てくる大地の女神「Gaia」と、球体を指す「Globe」という、地球を意味するふたつの「G」から命名した、地球環境を見すえるプロジェクトです。
作家プロフィール
桃井 和馬(ももい かずま)
1962年生まれ。フォトジャーナリスト。
これまで世界130カ国あまりを「紛争」「地球環境」などを主軸に取材・撮影。独自の切り口で「文明論」を展開している。第32回太陽賞受賞。
現在は、地球環境を映像として残すプロジェクト「G-Odyssey」に取り組んでいる。2005年7月末より講談社「フライデー」にて、地球環境をテーマにした連載を開始予定。JVJA(日本ビジュアル・ジャーナリスト協会)会員。
著書
『ペルー燃ゆ』(IPC)1991年
『青い緑の星』(講談社)1995年
『世紀末地球オデッセイ』(講談社)1996年
『辺境からのEメール』(求龍堂)1999年11月
『希望へ!』(大日本図書)2002年11月
『破壊される大地』(岩波書店)2003年12月
『観光コースでない アフリカ大陸西海岸』(高文研)2004年1月
写真集『もう、死なせない!』(フレーベル館)2004年7月
共著
『図説アマゾン』(河出書房新社)1992年
『地球憲法第9条』(講談社インターナショナル)1997年
絵本『くらやみでも へっちゃら』(大日本図書)2000年
『大事なことは「30代」に訊け!』(東海教育研究所)2000年
『これからどうなる21』(岩波書店)2000年
絵本『好きなのに』(東海教育研究所)2004年8月
他多数。
写真展
『ペルー燃ゆ』渋谷ドイ・フォトプラザ/91年7月
『太陽賞受賞作品展』新宿オリンパス・ギャラリー/95年7月
『青い緑の星』三鷹市役所市民ギャラリー/96年8月
『世紀末地球オデッセイ』銀座ニコンサロン/96年12月
『コラボレーション・共生の大地』東川写真ギャラリー/97年7月
『ユダの刻印 第一章1990~1997』ホカリファインアート・ギャラリー/97年7月
『家族・未来の絆・癒しの旅へ』相模原市民ギャラリー/97年8月
『21世紀・青い緑の星』立川市民ギャラリー/2000年7月
共同展『いま、世界の紛争』パルテノン多摩/94年3月
『JVJA写真展・世界の戦場から』キッドアイラックホール/東京都美術館などで2003年10月より各地にて。
著作権について
当写真展関連ページに掲載されている写真の著作権は作者に帰属します。
これらのコンテンツについて、権利者の許可なく複製、転用などする事は法律で禁止されています。
写真展の情報・作家メッセージなどは、開催当時の内容を記載しております。予めご了承ください。