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グランプリ選考会レポート 2025年 第3回GRAPHGATE

Grand Prix Report

グランプリ選考会レポート

写真・映像作家の発掘オーディションであるGRAPHGATE。
その第3回のグランプリ選考会が11月29日(土)に開催されました。
一次選考、二次選考、そして、
選考委員の前でプレゼンテーションを行う三次選考を経て、
優秀賞に選出された大鐘愛子氏、大野咲子氏、奥田峻史氏、
kokoro氏、水島貴大氏の5名が、
グランプリをかけて最終プレゼンテーションを行うグランプリ選考会。
当日会場には、選考委員や佳作入賞者をはじめ、
多くの観客が集いました。

第3回グランプリは、
奥田峻史氏が選出

グランプリ選考会でのプレゼンテーションのテーマは、「今後の作家活動と、1年後のキヤノンギャラリー Sでの展覧会について」。三次選考で優秀賞に選出された、大鐘愛子氏、大野咲子氏、奥田峻史氏、kokoro氏、水島貴大氏の5名は、選考委員や当日来場された観客を前に、自身の思いを丁寧に伝えていました。これまで自分がどのように作品と向き合ってきたのか、そして、今後どのような作家になりたいのか。また、プレゼンテーションの中で、三次選考の際に説明しきれなかったことを改めて伝える場面や、選考委員からの言葉を受けて自分なりに考え、導き出した思いを伝える場面もあり、5人全員が三次選考の時点より、さらに自身の作品と深く向き合ってきたことが伝わってきました。一年後のキヤノンギャラリー Sでの展覧会についても、それぞれが具体的なプランを提示し、応募作品で示した世界を、より濃く、広く感じられる内容となっていました。
プレゼンテーションを聞いた選考委員は、質疑応答の時間に時に厳しく、時に賞賛を交えながら問いを投げ掛け、それに応えることで、各々が新たな気づきを得たり、今後の作品制作のヒントを受け取ったりしているようでした。
全員のプレゼンテーションが終わると、選考委員は別室に移動し、審議を開始。その中で、作品のクオリティーだけではなく、プレゼンテーションの内容や作家としての将来性などについても話し合われ、グランプリに奥田峻史氏が選出されました。

明確なメッセージがあり、
完成度と可能性を併せ持った映像作品。

奥田峻史氏の作品『ヤケグイ』は、余命宣告を受け、「おばあちゃんは、やけ食いしまーす」と朗らかに宣言した祖母を追った映像作品。起き上がるのが困難になっても、デザートを前にパワフルな姿を見せる祖母の姿を通し、人はいつでも新しく生まれ変われることを伝えてくれたと氏は言います。プレゼンテーションでは、この作品に加え、同じく余命宣告を受けた祖父の手の動きを写し撮った写真作品や、新たに制作を始めているテーマを紹介。選考委員による審議では、メッセージが明確であり、完成度、可能性を併せ持ち、今後の活躍が期待できるとともに、プレゼンテーションが秀逸だったことも、高く評価されました。
グランプリを受賞した奥田峻史氏には、賞金のほか、3年間の機材サポートやテクニカルサポートを実施。さらに、2026年にキヤノンギャラリー Sでの個展が開催される予定です。また、優秀賞の大鐘愛子氏、大野咲子氏、kokoro氏、水島貴大氏の4名はキヤノンギャラリー銀座、大阪での巡回展を開催予定。個展開催の折は、ぜひ皆様も足をお運びください。

+++ グランプリ受賞 +++

奥田 峻史オクダ シュンジ

オクダ シュンジ 奥田 峻史

グランプリをいただき、ありがとうございます。実感がまだ湧いていないのですが、まずは、祖父母と家族に感謝したいと思います。GRAPHGATEに応募してから二次選考、三次選考、そして、グランプリ選考という過程の中で、自分自身が成長できたと思うところがあり、とても感謝しています。ありがとうございました。祖母から、カメラマンの卵とか、カメラマン見習いと最後まで言われていたので、帰ったら「グランプリが獲れたよ」と報告したいと思います。作家としては、まだスタートラインに立ったところですので、これからも、もっともっとがんばっていきたいと思います。今回は、本当にありがとうございました。

選考員のコメント

  • 天野 太郎氏

    グランプリの奥田さん、そして、優秀賞の皆さん、おめでとうございます。美術のコンテストなどで選考委員を務めるとき、多くは美術関係者ばかりなのですが、GRAPHGATEはいろいろな分野のさまざまな視点で選考するので、私自身興味深く、面白く感じました。応募作品については、写真もあれば映像もあり、さらに、今はメディアが交差する時代なので、その辺りを当然のように表現されているのが印象的でした。美術の世界では、写真が登場してから互いに影響し合い、特に20世紀の美術作品で写真の影響を受けていないものはないとまで言われています。これから創作活動を続ける中で、大変なことや挫けそうなことがあると思いますが、ぜひとも、たくさんの経験を積み重ねながら、自分のテーマを掘り下げていただきたいです。皆さんのこれからの活躍を楽しみにしています。

  • 小野 泰洋氏

    選考は非常に楽しく、同時に、とても大変でした。その理由は、GRAPHGATEは伝える力を重視しており、単に作品を見るだけでなく、作品に添えられた文章をすべて読み、皆さんと心の会話をしないと評価ができなかったからです。選考委員全員がすべての応募作品と向き合い、そして、その中から選ばれたことを、受賞者の皆さんは誇りに思ってください。近年、映像の分野が世界を騒がせ、写真の文化を心配に思うこともありますが、今回、皆さんの作品を見て、まだまだ多くの可能性があると感じました。写真と映像を組み合わせるだけではなく、効果的にAIと絡めたり、カメラの性能を活用したり、さまざまな表現があることを知りました。そして、GRAPHGATEのような、新たな表現を発表できる場があることに喜びを感じつつ、今回の経験を励みに今後も頑張ってください。

  • 片岡 英子氏

    選考は非常に難しく、特に最後のグランプリ選考は本当に僅差だったと言えます。ですから、皆さんは、今回受賞したことを糧に、将来に向かって作品の制作により一層努力していただければと思います。普段、私は報道写真がメインで、ドキュメンタリー作品を中心に選考させていただいているのですが、その中で大事にしているのは、いかに社会とコミットできるかということです。皆さんの作品を拝見し、見た人の心を動かし、そして社会を動かすという、多くの力を持っている作品と多く出会えたと感じています。グランプリを受賞された奥田さんが「とりあえず動けば意欲は後からついてくる」とおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思います。今回、惜しくも受賞を逃した方は、「とりあえず動く」ということを大事に、ぜひ、何度でもGRAPHGATEに挑戦していただければと思います。

  • 齊藤 精一氏

    これまで写真の選考をしたことはなかったのですが、今日のプレゼンテーションを聞いて、マルチメディアの表現が当たり前の時代になったと感じました。そして、今はたくさんの表現手段があるからこそ、無限の可能性を感じ、グランプリを受賞された奥田さんが、来年キヤノンギャラリーSで、どのような展示を見せてくれるのか、非常に期待しています。また、優秀賞に選ばれた皆さんも、今日は悔しい思いかもしれませんが、それぞれに高いポテンシャルを秘めていると思いますので、今後の作品制作でそのポテンシャルを発揮してください。私自身、今回の選考で多くの気づきがありましたが、皆さんもたくさんの学びがあったと思います。自身がこれからどこを目指すのか。そこに向かうのに遠回りをしても、時に進み方を変えても構いません。大事なのは、自分の哲学を信じ、進み続けることだと思います。

  • 藤森 三奈氏

    グランプリ選考でポイントになったのは、本日のプレゼンテーションでした。作品では甲乙が付け難く、5人全員がここに立つべくして立っている印象でしたので、本当にわずかな差だったと思います。その中で、グランプリの奥田さんは、愛のある眼差しで写真や映像を撮られ、映像と写真をシームレスに扱う作家として、GRAPHGATEのグランプリに相応しい方だと感じています。ぜひ、今後もその視点を忘れずに活動を続けていただけたらと思います。また、優秀賞の皆さんも、今日のグランプリ選考に備え、プレゼンテーションを準備するのは大変だったと思います。ただ、この期間で自分と向き合ったことが、必ず今後の作家活動にプラスになりますし、決して無駄ではなかったと思います。奥田さんのキヤノンギャラリー Sでの展示、そして、優秀賞の皆さんの銀座、大阪での展示を楽しみにしています。

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