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初心者から上級者まで あなたの写真が変わるプリント講座 解説:岡嶋和幸

初心者から上級者まで あなたの写真が変わるプリント講座 解説:岡嶋和幸

Lesson 21 写真をプリントする意味 いろいろな用途でプリントを活用する

プリント目的
つける

いろいろな場面で写真をプリントという「形あるもの」にする必要があります。でも特に目的がないと写真を紙に印刷する意味を見出すことはできないでしょう。自分のためのプリント、誰かに何かを伝えるためのプリントなどその目的はさまざまです。作品としてのプリントもあれば、その制作過程でのツールとしてのプリントもあります。写真プリントの活用例を6つ挙げてみました。

写真プリントの活用例

①写真のセレクトや作品の構成

インデックスプリントは写真を選ぶときに便利です。Lesson 16「フォトコンテストに応募する」でも紹介していますが、小さなサムネイルでまずは粗選びし、今度はそれらをL判に印刷、さらに絞り込んで2L判、そしてA4でベストショットを判断と、少しずつサイズを大きくしながらセレクトを進めていくと良いでしょう。

写真のセレクトや作品の構成 画像1

写真展やポートフォリオのための作品を選んだりまとめるとき、インデックスプリントを1コマずつカットしてバラバラにすると、コマが離れた写真を見比べたり、デスクの上に並べて順番やレイアウトなどを考えたりしやすくなります。パソコン画面で行うよりも手軽で、この快適さこそがセレクトや構成の作業でとても重要です。インデックスプリントで使用する用紙はハイグレードなものである必要はありませんが、光沢紙のほうが写っているものが鮮明に見えて、色などもある程度正確に再現できるのでお勧めです。

写真のセレクトや作品の構成 画像2

②プリント注文や商業印刷での色見本

雑誌や広告などの仕事では、インクジェットプリンターで色見本用のプリントを作成することがあります。写真集を作るときにも必要になりますが、印刷機、紙やインクなど商業印刷で使われるシステムとは異なるため、色見本を用意しても完全に同じになるわけではありません。撮影して仕上げた写真の色や明るさ、コントラストなどを編集者、デザイナー、印刷所の技術者など制作に携わる人たちと共有することが目的です。

プリント注文や商業印刷での色見本 画像1

写真展のプリント制作でプロラボなど外部に依頼する場合も、色見本があると効果的です。自分とプロラボのモニター環境が全く同じであればズレが生じる心配はなさそうですが、実際には違う場合がほとんどです。使用するプリンターや用紙なども異なるため、色見本のプリントを用意することで技術者にイメージが伝わりやすくなります。色見本のためのインクジェット用紙は実際に使用するものと同じ、もしくはそれに近い面質やグレードのものを選ぶのがベストです。

③フォトコンテストの応募作品

フォトコンテストの応募作品 画像1
写真をプリントする目的で最も一般的なのがフォトコンテストの応募作品でしょう。近年はインターネットで応募できるフォトコンテストが増えましたが、それでもまだプリントが多い傾向です。撮影した写真をコンスタントにプリントするきっかけになり、プリントヘッドのノズルが目詰まりしないようインクジェットプリンターを動かすことにもつながるので、フォトコンテストへの応募を目標にするのは効果的でしょう。応募経験のない人は、中級編のLesson 16「フォトコンテストに応募する」を参考にしてください。

④ポートフォリオ

ポートフォリオ 画像1
ポートフォリオとは、写真をプリントしたものをひとまとめにした作品集のことです。作品のプレゼンテーションのためのツールとして、多くの写真家がその制作に取り組んでいます。作品を出版社などに持ち込んだり、ポートフォリオレビューに参加したり、ギャラリーの公募などに挑戦するときにも必要になります。作品の内容はもちろん、プリントのクオリティーも評価の対象となるので、見せ方などをしっかりとこだわることが大切です。ポートフォリオを作りたい人は、上級編のLesson 18「ポートフォリオを作る」を参考にしてください。

⑤写真展

写真展 画像1
個展やグループ展など写真展を開催するとき、基本的にプリントを展示して来場者に見てもらいます。所有するインクジェットプリンターで印刷するほか、大きいサイズのプリントはプロラボなど外部の業者に依頼することもあるでしょう。使用するインクジェット用紙にこだわるのはもちろん、展示された状態のものが作品となるため、額装やパネル加工などどのような見せ方にするのかもとても重要です。いろいろな展示方法がありますが、基材や面質が合っているのかどうかなども用紙選びのポイントになります。写真展を開催したい人は、上級編のLesson 19「写真展を開く」を参考にしてください。

⑥プリント作品の販売

プリント作品の販売 画像1
写真作品の売買の対象となるのは基本的にプリントです。写真展では展示している作品を販売している場合もあります。写真家が自分の作品と認め、サインが入れられたものを「オリジナル・プリント」と呼びます。作者本人でなく第三者がプリントしたものでも大丈夫です。オリジナル・プリントを購入したとき、また販売しなくても自分の作品を誰かにプレゼントすることもあるでしょう。そこで知っておきたいのがプリントの保存についてです。長期保存に適した環境や保管方法などを知りたい人は、上級編のLesson 20「プリントの保存」を参考にしてください。

プリント実践必要
審美眼

撮影した写真のプリントを実践していくうえで重要となるのがクオリティーを見極める目です。撮影、セレクト、構成、画像処理、プリントといった作品制作においてそれらの技術力はもちろん大切ですが、その良し悪しの判断で必要となるのが「審美眼」です。鑑賞者が目にするのは撮影や画像処理など過程ではなく完成したプリントです。美を見分けることのできる眼識こそが重要で、そのような厳しい目があれば、撮影や画像処理などで不足している部分を自覚でき、技術力の向上につなげられるのです。

プリントの実践で必要な審美眼を養う

料理を作ったり食べたりするときに大切なのが味覚でしょう。嗅覚も必要になりますが、味の良し悪しは舌で判断します。音楽を聞いたり楽器を演奏するときは聴覚、そして写真では視覚です。撮影、セレクト、画像処理、プリントなど全て目で見て判断します。

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あなたの写真が変わるプリント講座【実践編】Lesson 21 写真をプリントする意味
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/tips/print-howto/lesson21
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/tips/print-howto/image/1.png?la=ja-JP&hash=0A7FFD82FECAE1787B196782EB84DD05
2025-03-13