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初心者から上級者まで あなたの写真が変わるプリント講座 解説:岡嶋和幸

初心者から上級者まで あなたの写真が変わるプリント講座 解説:岡嶋和幸

フォトコンテストで写真力をレベルアップ

フォトコンテスト
魅力とは

撮影だけが写真ではありません。悪天候のときなど撮影に出かけられないときも、セレクト、画像処理、プリントなど室内で取り組める要素はいろいろあります。過去に撮影した写真を見返すことも大切な作業で、さまざまな課題が見えてくるなどレベルアップに効果的です。そこに「フォトコンテストに応募する」という目的があれば、それらを総合的に実践できます。募集テーマが設けられている場合もあるので、それを意識しながら写真を選んだり、新たに撮影したりするのも有効です。そのためにもまずは応募するフォトコンテストを決めましょう。

2022年のキャノンフォトコンテスト 2022年のキヤノンフォトコンテスト

キヤノンが主催するフォトコンテストは、1953年に始まった歴史の長い「キヤノンフォトコンテスト」のほか、会員制のフォトコミュニティ「キヤノンフォトサークル」の「マンスリーフォトコン」などがあります。入賞すれば賞金や賞品等がもらえますが、たくさんの人に作品を見てもらったり、審査員にコメントをもらったりするなどの魅力があります。応募することで写真との向き合い方が変わり、たとえ落選しても、ほかの人の入賞作品から受ける刺激や学びの質が違ってきます。コンスタントに応募を続けることで、撮影に出かける機会も増えるでしょう。セレクト、画像処理、プリントも並行して行うため、写真力アップにつなげることができるのです。

フォトコンテスト
フォトコンテストは応募締切日が設定されています。撮影、セレクト、画像処理、プリントなどをどのように進めるのか、そこから逆算して計画を立てます。同時に複数のフォトコンテストに挑戦する場合は特に重要です。同じ写真を複数のフォトコンテストに同時に応募するのは規定違反となることもあるため、応募する作品の管理をきちんと行う必要があります。落選した作品をほかのフォトコンテストに応募するのは基本的に問題ありませんが、その履歴を記録しておくことも大切です。

応募の資格や条件などはフォトコンテストによって異なります。1度に応募できる作品の数、組写真の場合は1作品の構成枚数に制限があったり、応募形態もプリントまたは画像データであったりなどいろいろです。参加費が必要となるケースもあるため、応募要項に記載されている内容を隅々まできちんと読んでおきましょう。締切間際になって混乱しないよう、特に複数のフォトコンテストに同時に挑戦する場合には、応募条件などを整理して表にまとめておくと便利です。

応募する写真

フォトコンテストに入賞できるかどうかはセレクトで決まります。応募された写真だけが選考の対象となるため、撮影と同じくらい、あるいはもっと重要です。入賞の可能性がある写真が撮れていても、それを選んで応募しなければ結果にはつながらないからです。フォトコンテストはどの写真を選んで応募するのか、その目利きが試されているといっても良いでしょう。

入賞作品のどのような点を評価したのかなどが書かれた「選評」が多くのフォトコンテストで公開されています。落選した作品には触れられませんが、どこが良くなかったのか、どのように改善すれば選ばれるようになるのかなど、次につながるアドバイスがほしいはずです。選評や総評などの文字情報にそのヒントが隠されています。どのような驚きや発見、感動があったのかなど、審査員の興味や求めているものを読み取ることができるのです。

キヤノンフォトサークル・マンスリーフォトコン・スタンダードクラスの例
(2022年9月号 選者:吉村和敏氏)

キヤノンフォトサークル・マンスリーフォトコン・ネイチャークラスの例
(2022年9月号 選者:米 美知子氏)

たくさん撮影した写真の中からベストショットを選ぶとき、多くの人がパソコン画面で画像を原寸表示し、ブレやボケが生じているカットをまず最初に外すようです。フォトコンテストの応募作品は写真全体を見て選ぶと良いでしょう。原寸表示でブレやボケが少し気になっても、プリントでは問題ないことがあるからです。魅力的な写真なのに、一部分だけで判断するのはもったいないです。実はこのような消去法でのセレクトで、入賞の可能性のある写真が外されているケースは少なくありません。ブレやボケの確認は後回しで、応募するプリントで気になるときに検討することをお勧めします。

パソコン画面はスペースに限りがあるため写真が選びづらいです。複数の写真を並べて比較するとき、数が多くなるほど表示が小さくなってよく見えなくなります。目が疲れやすく、長時間集中して見ていられないため適当な判断を下しやすいです。その点、プリントはたくさんの枚数をテーブルに広げて見比べたり、気になる写真を手に取って細部を確認できるなどセレクトに向いています。この手軽さ、快適さこそが写真を選ぶ作業でとても重要です。目が疲れにくく、長時間集中して選んだり、写真の組み合わせを考えたりするなど作業を難なく続けられます。組写真はセレクトや構成で作品の表現力が大きく変わります。その組み合わせは無限なので、まずは作品のテーマやコンセプトを決め、それに沿って選んだりまとめたりすると良いでしょう。

パソコン、インデックスプリント

訴求力のある写真は、インデックスプリントの小さなサムネイルでも瞬時に目に飛び込んできます。撮影者は自分が体験した時間や現場の様子など、さまざまな情報を持っています。それらを通して写真を見るため、客観的な判断が下しづらいです。フォトコンテストの審査員はそれらの情報を一切持っていないので、写真だけを見て判断することになります。そのため自分だけが知っている情報をできるだけ排除して選ぶことも必要です。写真を選ぶときは小さめのプリントや、離れた位置から見ると客観視できて効果的です。たくさん候補があるときは、全部の写真が視野に入るよう床などに並べて高い位置から見て選ぶと良いでしょう。

画像処理ヒント

デジタルカメラで撮影した写真は後から容易に手を加えることができます。しかしそのおかげで入賞のチャンスを逃しているケースは少なくありません。落選の理由を知ることはできませんが、そうとは知らずに撮影やセレクトが良くなかったんだと自信をなくすと、ますます入賞から遠ざかってしまいます。特に何も手を加えず、そのままプリントして応募したほうが好結果が期待できるかもしれないのです。

フィルム写真が主流のころは、多くの人がそのままプリントして応募していました。プロラボ(※1)を利用して細かく指示を出したり、暗室に入って自分の手でプリントを仕上げたりする人ももちろんいますが、DPEショップ(※2)に全てお任せのケースがほとんどです。ところが、色や明るさが思うように仕上がらないなどの不満を誰もが一度は経験しています。

  • ※1 フィルムの現像やプリントなどを行う現像所のことです。プロカメラマンのためのショップのイメージがありますが、写真愛好家に向けてプロ品質のサービスを提供しています。近年はデジタルプリントにも対応しています。
  • ※2 「DPE」とは「Development」(現像)、「Printing」(焼き付け)、「Enlargement」(引き伸ばし)の略で、それらのサービスを提供しているお店のことです。

その点、デジタル写真はパソコンとプリンターがあれば自分で好きなように調整してプリントできるので便利ですが、フォトコンテストの審査ではフィルム写真の応募作品のほうが安心して見られる傾向です。RAW現像やフォトレタッチで使用する画像処理ソフトでは際限なく調整ができてしまうことが災いしているようです。

カメラ内RAW現像のススメ

デジタルカメラの多くは、RAW形式のデータファイルをカメラの中で現像できます。この「カメラ内RAW現像」機能は、デジタルカメラに搭載されている画像処理エンジンで現像を行うため、撮影時に記録されるJPEG形式の画像データと基本的に同じクオリティーです。カメラ内RAW現像の操作はとても簡単で、RAW現像ソフトを使ってパソコンで行うより処理速度も速く快適です。ただし、RAW現像ができるのはそのカメラで撮影したRAWデータだけで、同じメーカーでも機種が違えばカメラ内でのRAW現像はできません。

カメラ内RAW現像
パソコンのRAW現像ソフトは際限なくいろいろな調整ができてしまい、これが不自然さや画質低下につながります。これに対しカメラ内RAW現像ではできることが一部のカメラ設定に限定されるため、そのような心配は基本的にありません。自由度の低さこそが魅力であり、この機能をお勧めする理由です。

カメラ内RAW現像は、カメラに搭載されている電子ビューファインダーや背面モニターで効果を確認しながら設定を決めていくことになります。撮影時の各種設定と同じような感覚で行うため、操作はすぐに慣れるはずです。カメラの使いこなしにもつながる作業なので、撮影の帰りの移動中など、いつでもどこでも気軽に試してみると良いでしょう。1枚の写真をいろいろな設定を組み合わせて現像し、それらを1枚ずつ印刷してプリントでチョイスするのです。

ホワイトバランス:オート(雰囲気優先) ピクチャースタイル:スタンダード ホワイトバランス:太陽光 ピクチャースタイル:風景
  • ホワイトバランス:
    オート
    (雰囲気優先)
    ピクチャースタイル:
    スタンダード
  • ホワイトバランス:太陽光
    ピクチャースタイル:風景

パソコン画面でちょうど良く感じても、プリントではコントラストや彩度、シャープネスなどが強すぎることがあります。しかしカメラ内RAW現像でピクチャースタイル(仕上がり設定)を変えるくらいでは、ある意味「これくらいがちょうど良い」という制限がかかっているわけなので、基本的に不自然な仕上がりにはなりづらいです。RAW現像やフォトレタッチで使用する画像処理ソフトではその制限がなくなり、調整の自由度は増しますが、どれくらいで良しとするかは自分で判断することになります。

作品制作のプロセスにこだわることはとても大切ですが、撮影したままのJPEGの画像でも、RAW現像ソフトでいろいろと設定を変えても、フォトレタッチソフトで細かい調整を行っても、フォトコンテストの審査結果にはあまり影響しないでしょう。評価されるのは過程ではなく結果だからです。もちろんその判断は審査員によって異なります。過度な調整でも効果的だと感じられれば選ばれるし、一方で必要な調整が行われていないからと評価が下がるケースもあります。作品作りの考え方は人それぞれですが、画像処理を前提とした表現方法もあります。

応募作品のクオリティーには個人差があります。やはり一番多いのは画像処理による失敗です。それはソフトを使いこなせていないなどRAW現像やフォトレタッチの「腕」が未熟なわけではありません。画像処理により全体のバランスを悪くしたり、過度な調整で不自然な感じにしてしまったりしているのは、写真のクオリティーの観察や判断に必要な「目」が備わっていないからだと考えます。そのような目が備わっていないうちは写真にあまり手を加えないほうが良いでしょう。画像処理に必要不可欠な目は、撮影、セレクト、プリント、フォトコンテストへの応募を繰り返しているうちに着実に養われていきます。

露出ミスなどうまく撮れていない写真を画像処理でごまかしても評価は上がりません。本当にドラマチックなシーンは特に手を加えなくても十分に魅力的で、審査員はそのような写真に目が慣れているので、それほどでもないシーンを画像処理で誇張するのは逆効果です。すごく魅力的なシーンをうまく撮っているのに、余計な調整で台無しにしてしまっているケースもよく見られます。これは本当にもったいないことです。

彩度やコントラストは控えめにする

日常で見慣れた事物の色の印象として、多くの人が記憶している色調のことを「記憶色」と呼んでいます。空や海は青、草木は緑など標準的に思い浮かべる色でもあります。人間は実際の色より鮮やかに記憶する傾向があり「印象色」ともいわれます。彩度やコントラストなどが強調された仕上がり設定を選んだり、RAW現像やフォトレタッチで記憶の中で美化された期待色にしてしまったりするケースもあります。現実とかけ離れた理想の色を追求し過ぎると不自然な印象になりやすいので注意しましょう。

過度な画像処理で一番多いのが彩度の上げ過ぎです。見た目の印象が不自然であるほか、色の階調がなくなりディテールがつぶれてしまうこともあります。ハイライトの白飛びやシャドウの黒つぶれと同じように、色にもこれ以上表現できないリミットがあり、それを超えると鮮やかであっても絵の具でベタッと色を塗ったような平坦な描写になります。これが「色飽和」です。もともと鮮やかな被写体で起こりやすいため、彩度やコントラストを上げるときは注意しましょう。画像データは問題なくても、マット系の用紙で印刷したときなどプリントでつぶれてしまうこともあります。

適正 高彩度
  • 適正
  • 高彩度

極端なホワイトバランスは避ける

パソコンのモニターは発光して画像を表示しますが、プリントは光を当てて見るため色や調子の感じ方が違う傾向です。透過光で見るモニターでちょうど良くても、反射光で見るプリントでは色が強く感じられることがあります。フォトコンテストに応募するとき、画像データとプリントでは仕上がりの判断が違ってくるでしょう。プリントでは少しもの足りないくらいのほうがちょうど良く、客観的に見て自然で好ましいケースは少なくありません。

ホワイトバランスの特性を利用して、意図的に[日陰]モードで夕景の赤みを強調したり、[白熱電球]モードで青みを加えて涼しげな印象に見せることができます。しかし条件によっては効果が強過ぎるなど不自然に感じられることがあります。色温度指定やホワイトバランス補正でうまく調整すれば効果的に見せることが可能ですが、雰囲気優先の[オートホワイトバランス](AWB)や[太陽光]など控えめの設定のほうが違和感は少ない傾向です。

太陽光 日陰
  • 太陽光
  • 日陰

安易なモノクロ化に注意

色がポイントとなるカラー写真を後からモノクロ写真に変換すると、撮影者が何に興味を持って撮影したのか分かりにくくなることがあります。カラー写真は色で区別できますが、モノクロ写真では同じ濃度だと同化してしまうからです。これにより主題が埋もれてしまうなどの理由から伝わりにくい写真になるわけです。カラーだといまひとつだからとモノクロにしたところで写真が良くなるわけではありません。後付けで安易にモノクロ変換しないほうが良いでしょう。

カラー モノクロ
  • カラー
  • モノクロ

適正露出でないなどきちんと撮れていない写真を画像処理で何とかしようとするのは逆効果です。ハイライトの白飛びやシャドウの黒つぶれなど後処理ではカバーできない要素もあります。画像処理やプリントに必要な情報がしっかり写し込まれていないと、RAWで撮影してもそのポテンシャルを引き出すことはできないのです。そもそもいまのデジタルカメラは高画質なので、フォトコンテストの応募作品は撮ったままのJPEGで十分でしょう。画像処理に頼らない撮影が実践できていれば、何もしないでそのままプリントしたほうがきれいです。

パソコンのモニターの表示が正しくないと、画像処理のこだわりが審査員には伝わりにくいです。画像データでの応募作品の審査はきちんとキャリブレーションしたモニターで行われているので、自分のパソコン環境もその基準に揃えることが必要です。とはいえ全く同じ見え方にはできないので、色や調子など細かいこだわりを見てほしいのであればプリントで応募したほうが良いでしょう。

Professional Print & Layoutで仕上げる

Professional Print & Layoutの[色設定]シートでは、画像データに手を加えずに色や調子を調整してプリントを仕上げることができます。部分的な調整はできませんが、プリントの色あいを確認できるパターン印刷機能と組み合わせると作業効率が良くなります。パターン印刷は客観視しやすく、プリントで確認しながら無理なく調整を進められます。Professional Print & Layoutの機能や操作方法などについては初級編の「Professional Print & Layoutの基本」と「Professional Print & Layoutの実践」のレッスンで解説しているので参考にしてください。

パターン印刷 ①応募作品で使用する用紙でパターン印刷を行います。[基本設定]シートの[印刷設定][カラーマネジメント]など必要な設定を行った後、[色設定]シートで[パターン印刷]ウィンドウを表示します。まずは[カラー]を選んで印刷します。補正したい方向が特に分からない場合は[全方向]で、パターンの大きさや変化量は初期設定から始めてみると良いでしょう。

好みや目的の色あいに近いサムネイルを選ぶ ②好みや目的の色あいに近いサムネイルを選びます。そのCMYの値を[補正]の[シアン][マゼンタ][イエロー]にそれぞれ適用すると、そのサムネイルが真ん中に表示されます。次はパターンを大きめ、変化量を小さめにして印刷します。

C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の値を適用 ③好みや目的の色あいに最も近いサムネイルを選び、そのC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の値を適用します。必要に応じて少し値を変えても良いでしょう。今度は[明るさ/コントラスト]を選んで印刷します。適正露出の画像であれば、パターンは大きめ、変化量は小さめで大丈夫です。

B(明るさ)とC(コントラスト)の値を適用 ④好みや目的の明るさとコントラストのサムネイルを選び、そのB(明るさ)とC(コントラスト)の値を適用します。必要に応じて少し値を変えても良いでしょう。

適用した値が[色設定]シートの[補正]に反映 ⑤[OK]をクリックすると[パターン印刷]ウィンドウが閉じ、適用した値が[色設定]シートの[補正]に反映されます。

調整前 調整後
  • 調整前
  • 調整後

⑥応募作品を印刷します。画像が大きくなるため、パターン印刷のサムネイルとは少し印象が違うかもしれません。その場合は[色設定]シートの[補正]で微調整すると良いでしょう。これまで行ったパターン印刷で、どれくらい変更すれば良いのか的確な判断ができるはずです。ほかの画像にも同じ補正値が適用されないよう、印刷が終わったら[標準に戻す]ボタンを忘れずにクリックしましょう。

画像の一部分をパターン印刷

パターン印刷のサムネイルは画像全体ではなく、被写体など画像の一部分で色あいなどを判断したいときに確認しづらいです。画像の一部分のみをパターン印刷したい場合は、メイン画面で画像を一時的にトリミングすると良いでしょう。

[トリミング]ボタンをクリック
①プレビューエリアの画像をクリックすると表示されるウィンドウで[トリミング]ボタンをクリックします。
[OK]をクリック
②[トリミング]ウィンドウの画像の上をドラッグし、表示された白枠でトリミング範囲の位置や大きさを調整します。[OK]をクリックすると画像がトリミングされます。
パターン印刷
③画像がトリミングされた状態でパターン印刷を行います。
[OK]をクリック
④パターン印刷を繰り返しながらイメージする色あいや明るさになる補正値を見つけます。適用する値が決まったら[OK]をクリックします。
[トリミング]ボタンをクリック
⑤適用した値が[色設定]シートの[補正]に反映されます。画像をクリックすると表示されるウィンドウで[トリミング]ボタンをクリックします。
[OK]をクリック
⑥[トリミング]ウィンドウの[クリア]をクリックすると、表示されていたトリミング範囲の白枠が消えます。[OK]をクリックします。
[標準に戻す]ボタンをクリック
⑦トリミングがクリアされても[色設定]シートの[補正]に反映された値はそのまま残ります。ほかの画像にも同じ補正値が適用されないよう、印刷が終わったら[標準に戻す]ボタンを忘れずにクリックしましょう。

鮮明な写真を自然に印刷

[コントラストリプロダクション]
[コントラストリプロダクション]は細部の鮮鋭度が低下する、印刷時に起きる現象を防ぐ機能です。一般的なシャープネス処理とは異なり、使用する用紙の特性に合わせて最適な補正を行い、画像本来の鮮鋭度を忠実に再現します。被写体によって効果が分かりにくい場合がありますが、鮮明な写真を自然な印象で印刷できます。[奥行き情報を使用する]にチェックマークを付けると奥行き情報を使用し、奥行きや立体感を最適に反映して印刷します。デュアルピクセルRAWの場合は、画像に付加された奥行き情報を使用します。

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オフ オン
  • オフ
  • オン

プリント応募しよう

画像データで応募できるフォトコンテストが増えていますが、プリントのみというところもまだまだ多い印象です。プリントでの応募となると印刷だけでなく郵送のコストや手間がかかりますが、画像データより作品への思いやこだわりを審査員に伝えやすくなります。プリントはモニターよりじっくり見ることができるので、作品の制作過程での学びも多いでしょう。自分の写真としっかり向き合えるなど、さまざまな効果が期待できます。

RAW現像やフォトレタッチなど画像処理でのがんばりをプリントにきちんと反映させるために、使用するプリンターや用紙は大事です。しかしフォトコンテストの応募作品に限っていえば、どちらもそれほど高価なものでなくて大丈夫です。カメラやレンズと同じく、プリンターも上位クラスの最新モデルのほうが高性能で高画質ですが、家庭用インクジェット複合機でも十分なクオリティーのプリント作品に仕上がります。

色や階調の再現性を重視するなど、よりクオリティーの高いプリントを実践するには、もちろんキヤノンのPRO LINE PRINTERが有利です。キヤノン純正紙のほか、種類が豊富な他社製用紙も選べます。画材紙やバライタ紙などのファインアート紙にも対応できるなど、プリントでの表現の幅が広がります。ICCプロファイルが用意されているインクジェット用紙も多いです。

PRO-G1とPRO-S1

使用するインクジェット用紙がいまひとつだと、プリンターの性能を十分に発揮することができません。フォトコンテストの応募作品の大半がプリンターメーカー純正の光沢系の用紙(光沢紙や半光沢紙)ですが、近年は用紙メーカーのインクジェット用紙も増えています。それらに目を向けると選択肢が一気に100種類以上になりますが、フォトコンテストの応募作品でそれほど高価な用紙を使う必要はないでしょう。普通にきれいであれば十分です。

写真の観察力や判断力が高まるなど、いろいろな用紙を使うことでたくさんの学びがあります。プリントは審美眼を養うのに効果的なのです。また、用紙によって色や階調の再現性が異なるため、それにより写真のコントラストや彩度などが微妙に変化します。特に手を加えなくても、用紙を使い分けるだけで写真をより魅力的に見せることができるのです。

マット系の用紙は写真を選ぶ傾向があります。光沢系の用紙に比べて色や階調の再現域が狭い傾向です。コントラストや彩度が高めの写真は色や階調がつぶれやすく、安易に選ばないほうが良いでしょう。しかも応募の際、プリントをスリーブに入れるとマット紙も光沢紙のような見え方になります。審査員がプリントをスリーブから取り出して見るケースもありますが、入れたままで確認するほうが多く、その場合はこだわって選んだマット紙の風合いなどは伝わりません。

画像データとプリント

画像データとプリントのどちらも、審査員は膨大な応募作品を連続して見続けます。その過程で画像処理をやり過ぎた写真があればマイナス評価となります。控えめな仕上がりだと見劣りしたり、ほかの応募作品に埋もれたりしてしまうのではないかと思われるかもしれませんが、そのほうが安心感があり作品にしっかりと目を向けられます。

次々に応募作品を見ていると、クオリティーの差がはっきり分かります。気を付けたいのはプリントに横すじが入る現象で、応募作品で多く見られます。がんばってプリントしたのにもったいないと思うのですが、それがほんのわずかだと気づきにくいものです。そこで必ず行いたいのがノズルチェックです。プリントの横すじの主な原因であるノズルの目詰まりの有無は、ノズルチェックパターンを印刷すれば一目瞭然で分かります。

ノズルチェックパターン

ノズルチェックパターンの印刷をプリントを始める前の習慣にしましょう。ノズルの目詰まりが確認できたら、プリントヘッドのクリーニングを行います。プリントヘッドが用紙の表面で擦れて横すじが入るケースもあります。この場合は印刷設定などを見直しましょう。

プリントのレイアウト

フォトコンテストはある意味でプレゼンテーションです。写真の内容はもちろん、その見せ方もとても大事です。画像データでの応募だと基本的に関係ありませんが、プリントでは写真のレイアウト、つまり余白の付け方にもこだわってみましょう。しかし実際のところ、フォトコンテストの応募作品はフチなし印刷や余白が数mmといったプリントが圧倒的に多く、用紙の縦横比に合うようにトリミングされています。できるだけ用紙いっぱいに印刷して大きく見せたいという思いがあるのかもしれませんが、写真の細部を見たいとき、審査員はプリントに顔を近づけるので大丈夫です。それよりも写真に目を留めやすくしたほうが効果的です。

フチなし フチ細め フチ広め
  • フチなし
  • フチ細め
  • フチ広め

写真展の展示作品では、裁ち落としのパネルにするか、額装にするか。額装の場合はマットの幅はどうするかなど、それらが写真の見え方に大きく影響するため、いろいろと検討を重ねます。フォトコンテストの応募作品も基本的には同じだと思います。プリントは余白があったほうが写真に集中しやすい傾向です。あまり広過ぎるのもバランスが悪くなって逆効果ですが、余白により視線がプリントの中央に集まりやすくなります。余白が全くないと視線がプリントの外側へ流れ出ていく印象です。組写真の場合、1枚1枚をじっくり見てほしいときは余白は広め、テンポ良く流れで見せたいときは狭めにすると良いでしょう。トリミングを行うときは画面の縦横比を統一しないと、プリントによってレイアウトが不揃いになってしまいます。

3:2 4:3
  • 3:2
  • 4:3

プリントのレイアウトはいろいろなパターンが考えられますが、フォトコンテストの応募作品の場合、余白の幅は25mm(約1inch)を目安に調整します。A4サイズの用紙では、縦横比が「3:2」の画像は短辺を164mm、「4:3」の画像は174mmに設定するのがお勧めです。もちろん余白がこれより狭くても問題ありませんが、ファインアート紙などの印刷設定では25mm以上の余白が必要になるので注意しましょう。

フォトコンテストによって応募できるプリントの大きさは異なります。キヤノンフォトコンテストは「2L」から「ワイド四切」となっています。審査員にしっかり写真を見てもらいたいのなら「六切」(むつぎり)以上を選ぶと良いでしょう。A4が標準的なサイズといえますが、もう少し大きめの「四切」(よつぎり)もお勧めです。「キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]」「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」「キヤノン写真用紙・絹目調」には四切がラインアップされています。

応募作品

多くのフォトコンテストで、プリントと一緒に応募票や作品データ票を提出します。画像データでインターネットで応募できるフォトコンテストの場合はパソコン画面で入力することになりますが、必要事項を漏れなくきちんと記入する必要があります。タイトル(作品名、画題)やコメント(作品の説明)、撮影データなどは、記入しながら考えたり調べたりするのではなく、あらかじめきちんと整理しておくことが大切です。

応募票を記入する

応募票はフォトコンテストの募集チラシに印刷されていたり、ウェブサイトからダウンロードできたりする場合があります。特に用意がなければ、必要事項が記入できるものを自作すると良いでしょう。応募票を印刷し、黒のボールペンなどで読みやすい文字で正確に記入します。応募票がPDF形式の場合は、Adobe Acrobatのフォーム入力を利用することも可能です。キヤノンフォトコンテストの場合は応募票と作品データ票が必要です。

プリントに応募票を貼る

プリントの裏面の中央に、テープなどで1枚ずつ応募票を貼り付けます。入賞作品は誌面やウェブサイトなどに掲載するため、応募票を外す場合があるので、両面テープや糊などは使用しないほうが良いでしょう。キヤノンフォトコンテストの場合、プリントに貼り付けるのは作品データ票です。応募票はプリントに貼り付けずに同封します。作品の天地も明記します。記入欄が設けられていない場合は、分かりやすい場所に矢印を書き込んでおきましょう。作品の天地の指示が何もなければ、貼り付けた応募票の向きで判断されることになります。組写真の場合は順番が分かるように番号を付けます。キヤノンフォトコンテストの場合、組写真は順番通りに並べて裏面からテープでしっかり留めて、組んだ状態で応募します。フォトコンテストによって応募方法が異なるので、きちんと確認して準備を進めましょう。

プリントをスリーブに入れる

1枚ずつスリーブ(写真袋)に入れる
プリントは24時間しっかりと乾燥させましょう。応募の際は1枚ずつスリーブ(写真袋)に入れます。スリーブが薄めだとプリントが折れたり傷付きやすいので、厚めのものがお勧めです。審査員は基本的にスリーブに入れた状態でプリントを見るため、乳白のものは避けて、できるだけ透明度の高いものを選びます。スリーブからプリントを取り出して見ることもあるため、粘着テープで留めるふた付きのものは避けたほうが良いです。テープで留めた組写真は折りたたんで入れることになるため、大きさに余裕のあるスリーブを用意すると良いでしょう。

厚紙に挟んで送付する

厚紙に挟んで梱包する
スリーブに入れていても、配送中にプリントが折れてしまうことがあります。必ず厚紙に挟んで梱包します。返却用の封筒が必要であれば同封し、送付先の住所や宛名などをよく確かめて投函します。応募作品の枚数が多い場合は日本郵便のレターパックを利用すると良いでしょう。

再応募するときは

落選した作品がほかのフォトコンテストで入賞することもあります。入賞するまで応募し続けるのも良いでしょう。再応募の際に注意したいのがプリントのコンディションです。作品の返却が可能なフォトコンテストもあり、プリントの裏面の応募票を貼り替えて再応募するケースは少なくありません。しかし審査会では複数の人の手に触れるため、慎重に取り扱っていてもプリントが傷んでしまうことがあります。また応募を繰り返すほど応募票を貼り替えた跡も目立つようになり、審査員にあまり良い印象を持たれなくなります。写真の内容は入賞レベルなのに、プリントの状態が良くないために選外となることもあります。用紙代やインク代がもったいないとはいえ、再応募するときはできるだけプリントをやり直したほうが良いでしょう。

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あなたの写真が変わるプリント講座【中級編】Lesson 16 フォトコンテストに応募する
https://personal.canon.jp/ja-JP/articles/tips/print-howto/lesson16
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https://personal.canon.jp/-/media/Project/Canon/CanonJP/Personal/articles/tips/print-howto/image/1.png?la=ja-JP&hash=0A7FFD82FECAE1787B196782EB84DD05
2023-10-20