小澤 太一 写真展「回」
本展は写真家・小澤 太一氏による写真展です。これまで長年、海外のユニークな場所を舞台に多くの作品を発表してきた氏による、はじめて日本を扱った写真展に選んだ撮影地は、北海道の最果て。その地に魅了され、2024年は200日以上を北海道に滞在。季節の移り変わりや命の循環、そして土地の歴史の変遷など、さまざまなシーンをモノクロならではの表現にこだわって撮影を続けてきました。静謐で美しいモノクロプリントの中に宿る、さまざまな「回」を感じ取ってみてください。
展示作品は、すべてキヤノンのプリンターimagePROGRAF PROシリーズでプリントし展示します。
| 会期 | 会場 |
|---|---|
| 2025年10月2日(木)~2025年11月10日(月) | キヤノンギャラリー S |
作品・展示風景
紹介動画・対談動画
作家メッセージ
コロナ禍をきっかけに、これまで海外を撮り続けていたぼくは被写体を見失った。時間だけはあったので、すべての都道府県を旅した末にひとつの魅力的な場所を見つけた。それは北海道の最果ての地だった。荒々しく何もない……そんな無垢な場所で、太陽より早く起き、星の軌跡を追う日々。自然は二週間も空けると次の季節へと変化してしまう。すべてを見逃さないために、最果てに拠点を構え、ゆっくり自然と向き合う決意をした。海や森をあてもなく歩くと、たくさんの命が生まれ消えていく瞬間を何度も目の当たりにした。
二拠点生活をする中で、次第に最果ての文化や歴史にも視野が広がっていった。北海道は寒冷な気候だったため、稲作が始まる弥生時代が無い。その代わり縄文時代から一万年以上にわたって人々の食を支えていたのは、鮭をはじめとした自然からの恵みであり、それは今もしっかり継承されている。またアイヌの人々が自分たちのことを指して使っていた「加伊」という言葉があり、「この地に生まれた者」という意味がある。それはやがて「北海道」という名前の一部へと受け継がれていく。本州からの和人たちが最果ての地へと移り住み、幾重もの歴史を重ねてきた軌跡の先に、今の風景がある。ぼくはその裏に潜む無数の想いに思考を巡らせながら、シャッターを切る毎日……それは日本にも魅力的な被写体がまだ無数にあることを再発見する時間でもあった。
作家プロフィール
小澤 太一(こざわ たいち)
1975年、名古屋生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、アシスタントを経て独立。人物撮影をメインに、写真雑誌での執筆や撮影会の講師・講演など、活動の範囲は多岐にわたる。ライフワークは「世界中の子どもたちの撮影」で写真展も多数開催。主な写真集に『ナウル日和』『SAHARA』『赤道白書』『HEROES』など。身長156cm 体重39kgの小さな写真家である。キヤノンEOS学園東京校講師。日本写真家協会会員。
著作権について
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