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諸河 久『「電車道」 - 日本の路面電車今昔(いまむかし) -』

かつて日本全国のさまざまな都市を走っていた路面電車。
鉄道写真家である諸河久氏は、幼少のころからその魅力に惹かれ、今なお路面電車を愛し続けている。本展では、北は北海道から南は鹿児島まで、諸河氏が50年もの歳月をかけて撮り続けてきた路面電車のモノクロ作品と最新の作品を展示。高度経済成長期の最中にあった街や人々の暮らしの中を走る路面電車。今となっては貴重な記録であるそれらの作品は、見る者の郷愁を誘う。

会期 会場
2012年7月5日~2012年8月9日 キヤノンギャラリー S

作品・展示風景

作家メッセージ

私が鉄道写真を撮り始めたのは小学校高学年の頃であったが、被写体として一番頻繁に写していたのが自宅付近を走っていた「都電」であった。高校生になると「路面電車ファン」を自認して、カメラを携えて各地の路面電車を探訪した。魅力があった関西圏への撮影旅行はアルバイトをしてやっと達成したが、北海道や九州・四国となると、今日の欧米旅行に匹敵する遠隔感があった。大学に進学して、東北旅行を皮切りに、中国、中部・北陸、北海道、九州、四国の順で全国を巡り、1968年10月、未踏だった福井鉄道・軌道線を最後に全国路面電車撮影の旅を終えた。

今回の写真展は、アマチュア時代に撮影したモノクロ作品を中心に構成した。電車、街、人々の暮らしぶりなど、高度経済成長のただなかにあった各地の情景は貴重な記録となった。幸いなことに、半世紀近く経過したモノクロネガの保存状態が極めて良好で、近年のデジタルデータ作成技術の進歩が、当時の様子を現代に伝える大きな力となってくれた。若い情熱に任せて撮影した路面電車のアフターイメージを、ご来場者の皆さまに味わっていただけるものと確信している。

作家プロフィール

諸河 久(もろかわ ひさし)

1947(昭和22)年東京都生まれ。
日本大学経済学部、東京写真専門学校(現:東京ビジュアルアーツ)卒業。
鉄道雑誌「鉄道ファン」のスタッフを経て、フリーカメラマンに。
「諸河 久フォト・オフィス」を主宰。国内外の鉄道写真を雑誌、単行本に発表。
「鉄道ファン/CANON鉄道写真コンクール」「日本貨物鉄道カレンダー」「2012年 小田急ロマンスカーカレンダー」などの審査員を歴任。
公益社団法人 日本写真家協会会員 桜門鉄遊会代表幹事

著書に『オリエント・エクスプレス』(保育社 1991年)、『都電の消えた街』(大正出版 1983年)、『総天然色のタイムマシーン』(ネコ・パブリッシング 1998年)、『昭和の地方私鉄カメラハイク』(イカロス出版 2012年)、『小田急ロマンスカー』(JTBパブリシング 2012年)など多数がある。
東京オリンピックの時代に撮影した全国の路面電車写真集『1960年代 路面電車散歩』(リブロアルテ 2011年)は好評を博している。

著作権について

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