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プロの活用術 CASE 03

プロフェッショナルのポインター活用術をご紹介

日々のプレゼンや会議、教育現場における講義や学会発表などで、
ポインターをどう活用されているのか、実際のお客様にお話を伺いました。

プレゼンは聴衆の視点誘導がカギ。壁を打ち破る“伝え方”とは マイクロソフト伝説マネジャー澤円(さわ・まどか)の「ポインター活用術」

CASE 03 ビジネス現場
日本マイクロソフトテクノロジーセンター
センター長
澤円

普段のビジネスシーンで欠かせないプレゼンテーション。大舞台でのスピーチだけでなく、日々の会議やクライアントとの商談など、その機会は多い。しかし、人前で話すのが得意だという人はほとんどいないだろう。その苦手意識を克服し、プレゼンを成功に導くためにはどうすればいいのか。
日本マイクロソフトで年間100回以上のプレゼンをこなし、ビル・ゲイツが卓越した社員にのみ授与する「Chairman’s Award」を受賞した澤円氏に、ポインターというツールを活用した日々のプレゼンパフォーマンスをアップするポイントを語ってもらった。

USER VOICE

プレゼンが苦手なのは世界共通。
贈り物をする場と捉える

まず、プレゼンに苦手意識を持つ人にお伝えしたいのは、プレゼンが得意そうなアメリカでも、「怖いものランキング」の1位にパブリックスピーキング、いわゆるプレゼンが選ばれていることです。
だから、人前で話すことが苦手でも、まったく気にする必要はありません(笑)。

もともとプレゼンテーションという言葉は、「プレゼント」から派生して生まれました。誰かにプレゼント、たとえば旅行のお土産を渡すとき、苦手だなと思いながら緊張して渡す人はほとんどいないと思います。
渡された側も、そのお土産を食べたり使ったりする行動によって、不幸にならないですよね。
だから、プレゼンに挑む際、うまく喋ろうとしてガチガチに緊張するのではなく、「聴衆に喜んでもらえるプレゼントを渡すんだ」と考えると、精神的なハードルは下がると思います。

ただ、プレゼンをする際に日本人がよく陥りがちなのが、スライドや資料に書いてある文字をそのまま読んで説明してしまうことです。これは、取扱説明書を朗読しているのと同じなので、聞く側は楽しくないですし、聞きたい人もほとんどいないでしょう。
記憶に残る、感動して誰かに伝えたくなるプレゼンに共通しているのは、スピーカーが何かを説明するのではなく、時間と空間をクリエイトして聴衆に何かしらのメッセージや感動を与えていること。
演劇やライブが楽しいのは、同じように何かを説明するものではないからなんですね。これがまさに、演者から聴衆へのプレゼント。
プレゼンは、限られた時間で相手の人生が変わるような行動を促したり、感動を与えたりする手段です。
スライドに書いてあることを読み上げるなら、そのスライドをメールに添付したり、資料として配布したりすれば十分で、プレゼンは不要だと考えてください。

澤氏が常に持ち歩くプレゼンアイテム。いかなる環境にも対応できるよう、ケーブル各種を用意

日常での会話や挨拶は、すべてプレゼン

では、具体的にプレゼン力を向上させるにはどうしたらいいのか。プレゼンのゴールは、相手に伝えたいことがちゃんと伝わり、行動を起こしてもらうことなので、その擬似的な成功体験を積むために、人との会話すべてをプレゼンだと考えることです。
たとえば、朝起きて家族に「おはよう」と挨拶するのもプレゼンのひとつ。家族だけでなく、電車に乗る人なら駅員さんや、会社やビルの守衛さん、同僚などにどんどん挨拶をしてください。その挨拶に笑顔で返してもらえれば、プレゼン成功です。
こうして日常生活での小さな成功体験を積んでいくと、生活に対してのマインドセットが変わり、相手をいい気分にさせるために必要な笑顔が鍛えられます。
実は、笑顔は普段から鏡を見る機会の少ない男性ほど下手なんですね。
でも、意識的に普段の会話のすべてをプレゼンだと考えたら、笑顔はおのずと増えていくはず。一流の経営者の表情が生き生きしているのは、何気ない会話で人の行動に影響を与えてしまうことや、会社の評価につながることを知っているから。
「プレゼンの練習をしよう」と意気込むのではなく、日常会話や挨拶がプレゼンだと考えて、笑顔の総量を増やしてください。そしてぜひ、自分がどんな顔をしているか、鏡を見る回数を増やすのをおすすめします。

プレゼンに対する考え方が変わり、いざ挑もうとしたときにネックとなるのが、スライドの資料作りとポインターの使い方だ。文字ばかりのスライドで、読むのも話を聞くのも大変だったり、上下左右に揺れ動くレーザー光にストレスを感じたりした経験のある人は少なくないだろう。
プレゼンは贈り物だと考えたとき、スライドやツールはいかに効果的に使うべきか。10月19日に発売されたキヤノンのプレゼンターPR1-HYを題材に、引き続き澤氏とひも解く。

これが澤氏が実際に手にとったPR1-HY。「これ、滑りづらくていいですね」(澤氏)。カーソルは液晶モニター上に直接表示できるので、TV会議など複数モニターでの共有も可能。また、色・大きさ・形も変更可能で、動く速さもコントロールできる。写真やイラストなどお気に入りの画像をはめ込んだオリジナルのアイコンも作成可能

ポインター操作に振り回されるのは
本末転倒

立ち姿でのプレゼンに欠かせないのは、スライドを遠隔で操作するポインター。澤氏も「動きが生き生きとするため、プレゼン時には欠かせないツール」と言う。
特にレーザー光を放つレーザーポインターは、手の動きと連動するため自分がどう動いているのか、動画などを撮ってきちんと把握して使うのがいい、とアドバイスしている。

「ポインターを使うことが目的になって、ポインターに振り回されている人をよく見ます。そもそも、ポインターでスライドを指すためには、聴衆に背中を向けることになる。
背中を向けた上でレーザー光を振り回されたら、見ている人はどこを見たらいいのかわからないし、話を集中して聞けません」(澤氏)
ポインターによるポインティングは適切な使い方をしないと視覚のノイズになってしまう。だが、キヤノンの新しいポインターはカーソルを表示する事ができるため、ノイズを感じさせにくいポインティングが可能になった、とメーカー担当者は語る。

「プレゼンで一番大切なのは“視点誘導”です。人は視覚から8割以上の情報を得ていると言われているので、視覚情報をどうコントロールするかがプレゼンの良し悪しを決めると言っても過言でありません。
プレゼンを成功させたいなら、視線は終始自分に向くことを徹底させるべき。ポインターを使うなら、話している内容と一致させる必要があります」(澤氏)

澤氏によると、ダメなプレゼンの典型例が、自分が話しているところ以外を見られてしまうこと。
スライドは話している内容だけが映るよう、文字を最小限まで削ぎ落とし、アニメーションを駆使して作るのが理想だが、実際には、内容や状況により1枚あたりの情報量が多いスライドでプレゼンせざるを得ないケースも多いだろう。
「どうしても資料を事前に配らないといけないなら、プレゼンはQ&Aの場にするといいでしょう。内容は全部把握した前提で、質問を受け付ける。その際、どこに書かれている質問なのかを指し示す役割として、ポインターは有効です」(澤氏)
澤氏が有効と指摘した「スライド送り」「カーソル」「拡大鏡」とはどのようなものなのかを見てみよう。

「スライド」「カーソル表示」「拡大鏡」のイメージ

シートに合わせて最適なカーソルを選べる「カーソル表示」、資料の一部を虫メガネのように拡大できる「拡大鏡」など次世代のための機能が搭載

プレゼン力がアップするPowerPointの
小技

ポインターを活用したプレゼン術の次は、視点誘導のために普段から澤氏が行っている、PowerPointの小技について聞いた。
「話を聞いてほしいときは『B』を押すとスライドが暗転します。戻すときは『Enter』を。3ページ目に行きたいなら『3』『Enter』。時間がなくてスライドを飛ばしたい時はスライドを一覧表示にして飛びたいスライドをクリック。
これらはプレゼンテーションモードですぐに実践できるのでオススメです。
それから、スライドに仕込むアニメーションは、文字なら読む方向から、図形なら図形が意味するものに合った方向から出るようにしてください。矢印ならその方向に合わせて。
いずれにしても、プレゼン中はパソコンもスライドも見ないように。聴衆を見ながらポインターでスライドを操作し、必要に応じてパソコンを操作するのが良いでしょう」(澤氏)
最後に、日本企業に多い「報告のためのプレゼンや会議」におけるアドバイスを聞いた。
「プレゼンにおいても『報・連・相』は全部大事なのですが、報告は過去の話なので資料などを配れば済みます。連絡は現在の話なので、チャットなどのツールを使えば十分。唯一、Face to Faceでやるべきは相談。これだけが未来の話なんです。
だから、報告や連絡をする会議が設定されてプレゼンすることになったら、最後の1分でもいいのでぜひ未来の提案を入れてみてください。それだけで、プレゼンの内容はぐっと良くなるはずです」(澤氏)

(執筆:田村朋美 編集:奈良岡崇子 撮影:大畑陽子 デザイン:星野美緒)

PR1-HY

使用した商品PR1-HY

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竹内光悦氏

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