プロの活用術 CASE 02
プロフェッショナルのポインター活用術をご紹介
日々のプレゼンや会議、教育現場における講義や学会発表などで、
ポインターをどう活用されているのか、実際のお客様にお話を伺いました。
ビジネス現場
株式会社i-plug 代表取締役社長 中野智哉氏
人材獲得競争が激しさを増すなか、企業と学生の双方から人気を集めて急成長しているのが、新卒者向け就活支援サービス「OfferBox」だ。2012年10月のサービス開始からわずか5年で、2900社を超える企業と7万人近い学生が利用するに至っている。この成功の背景にあるのが、サービスを展開するi-plugの中野智哉代表取締役社長が自ら行ってきた地道なプレゼンテーション活動だ。全国各地に出向いては300回を超えるプレゼンを行い、自分たちの“思い”を伝え、聞き手の心をつかんできた。ここでは中野氏が実践してきたプレゼンの極意と、それを陰で支える“相棒”について検証しよう。
サービス開始時には
上場企業15社から契約を獲得
昨今、優れた人材の争奪戦は激しさを増しており、多くの企業にとって喫緊の課題となっている。そうしたなかでひときわ注目され、企業と学生の双方の利用者を急拡大させている新卒者向け就活支援サービスが、ベンチャー企業i-plugが開発したOfferBoxである。
既存の新卒者向け就活サービスのほとんどは、自社を志望する学生をできるだけ多くWeb上のナビサイトに呼び集めて選考する「エントリー型」の採用手法を基本としている。これに対してOfferBoxは、欲しい人材に対して逆に企業側から直接アプローチする「オファー型」の採用手法をとっているのが最大の特徴だ。
i-plugの中野社長は「多くの企業において事業環境の変化などから求める人材像に変化が生じており、従来の就活サービスではそうした需要を満たせなくなっています。その点、OfferBoxではこれまで接点を持てなかった学生に出会える、学生の志望と実際の仕事のミスマッチを防ぐことができるといった特徴があり、採用担当者をはじめとした企業から高い評価をいただいています。利用企業数は毎年2倍近いペースで伸びており、すでに2900社を超えています」と話す。
しかし、従来になかった画期的な就活サービスだからという理由だけで、多くの企業に飛びついてもらえたわけではない。OfferBoxの急伸の背景には、自らエバンジェリストとして活動している中野氏の“プレゼン力”もあるのだ。
「創業して間もなく、OfferBoxの形もできていない企画書段階から採用担当者向けの営業活動を開始したところ、ある著名な企業の人事責任者がその場で採用を決めてくれました。その理由としてOfferBoxが持つサービス内容のおもしろさに加え、私のプレゼンによって理想の就活市場の実現を目指すという当社の思いが伝わり、それに共感したからだと言われました。この言葉に力をもらいながら、その後も数多くの企業の採用担当者に積極的なプレゼン活動を行い、サービス開始時には15社の上場企業の契約をいただくことができました」と中野氏は語る。
聞き手の心をつかむプレゼンには
“理由”がある
成功を呼び寄せる中野氏のプレゼンには、どんな秘訣があるのだろうか。一つひとつ解き明かしていこう。
まずプレゼンの大前提となる心構えとして、中野氏が強調するのが「自分たちの思いを伝える」ことである。
「わかってもらいたいのはサービス内容ではなく、『企業と新卒人材のミスマッチを今後の3年間で3割なくしたい』という目標を掲げ、本気で取り組んでいる私たちの思いそのものです。それが伝わらないことには、何の実績もないスタートアップ企業の話など、だれも耳を傾けてくれるはずがありません」
そして、この思いを伝えるプレゼンを実践するために、必ず守っているのが次のようなストーリー展開である。
① 課題のフック:「いまの就活は課題が多くないですか?」と、聞き手のだれもが共感するポイントを投げかける。
② 目標の提示:課題について、どのような解決を目指すのか、ファクトとなる数字を示す。
③ 解決策の提示:②で示した目標を達成するために、何をするのか、どういう方法をとるのか、具体的な施策を示す。
④ まとめ:聞き手に考えてほしいことを整理して伝える。
プレゼン時の立ち位置や話し方も重要なポイントだ。演壇に設置されたPCのそばに立ってプレゼンを行う人が多いが、これは避けるべき。立ち位置はスクリーンのそばがよい。
「聞き手の目線は常にスクリーンに集中しがちで、離れた場所に立っている話し手には向きません。聞き手は思いを伝えようとする人の顔を見て共感するため、PCからは離れてスクリーンの近くに立つべきです」
また与えられた時間をフルに使い切ることも重要である。時間オーバーは論外だが、時間を余らせるのも大きなマイナスだ。せっかくのアピールの機会を無駄にしてしまっては何よりも熱意が伝わらない。
「時間ちょうどに終わらせることで、プレゼン自体の説得力や印象も格段にアップします」
プレゼンの締めくくり用として、企業・サービスのロゴや『ご静聴ありがとうございました』といった、終了用のスライドを数枚用意しておけば、時間調整をスムーズに行うことができる。
当然のことながら、プレゼンのスライド資料づくりにも配慮すべきである。スライド資料はモノトーンの地に要点を赤色やエンジ色で強調するのが基本形となる。逆に緑色や黄色は極力使わないほうがよい。
「私の経験上、緑や黄は会場のプロジェクターのコンディションによって大きく見え方が変わってしまう色です。したがって私は極力、これらの色は資料で使わないようにしています」
加えて、プレゼン時間に応じてスライド資料の枚数や密度も変えたほうがよい。
「プレゼンの持ち時間が3~5分程度しかない場合、スライド資料の内容を視覚的にしか捉えてもらえない傾向があるため、1スライド1メッセージの簡潔なものを用意します。一方で20~30分の時間が与えられている場合は落ち着いて説明することが可能なので、1スライドに多くの内容を盛り込むことができます」
1枚のスライドを4分割して“比較”や“推移”を示す際、いま話している箇所をわかりやすく指示することが必要になる。指し棒では聞き手に高圧的な印象を与えてしまう。レーザーポインターであれば聞き手に違和感を与えることなく、質疑応答などにもスマートに対応できる。
レーザー光の色は重視したい。中野氏によれば一般的な赤色よりも緑色(グリーン)がはるかに使い勝手がよい。重要な箇所は赤色やエンジ色で記述されることが多く、グリーンであればかぶらずにわかりやすい。「PR11-GC」のグリーンレーザーは光量も十分で、広くて明るい会場でも遠くからしっかり視認できるという。
プレゼンを効果的に演出する
必須アイテム
上記のような効果的なプレゼンを実践するために、中野氏が常に欠かさず持ち歩いているのが「レーザーポインター」だ。さまざまな物事や出来事の“比較”や“推移”を示す際、中野氏は1枚のスライドを大きく4分割して内容をまとめることが多い。こうした多くの情報を含んだスライドを聞き手に正しく理解してもらうため、いま話している箇所をわかりやすく指示する必要がある。指し棒を使うといったアナログ的な方法もあるが、聞き手に対して高圧的な印象を与えてしまう恐れがある。これに対してレーザーポインターであれば、聞き手に違和感を与えることなくスマートにポイントを指し示すことができる。
中野氏が現在愛用しているのがキヤノンの「PR11-GC」だ。
「レーザーポインターは便利な道具ですが、操作ミスひとつで慌てふためくなど、特に短時間のプレゼンでは致命的なノイズにもなりかねません。したがって会場で用意されたものを使うのではなく、使い慣れた“マイポインター”を必ず持ち歩き、限られた時間内で最高のパフォーマンスを発揮できるように心がけています」
中野氏は具体的にレーザーポインターのどんな点にこだわりを持ち、PR11-GCを選んだのだろうか。
まずレーザーポインターの必須機能として、中野氏が挙げるのが「スライド送り機能」である。先述したようにスクリーンのそばに立ってプレゼンを行うとなれば、必然的にPCの操作はできない。スライド送り機能が備わっていれば、聞き手にそうした動作を意識させることなく、常に聞き手の状況も確認しながらスムーズにスライド資料を進めることができる。
この時に求められるのが、スライド送りボタンの操作性だ。中野氏が以前使用していたポインターでは、ボタンを1回押したつもりが、何枚ものスライド資料が一気に送られてしまう失敗もよくあったという。プレゼンのシナリオは台無しになり、手戻りにも無駄な時間を使うはめになった。
「その点、PR11-GCのスライド送り機能のボタンはとても使い勝手が良く、安心してプレゼンに集中することができます」
さらに気に入っているのがレーザー光の色だ。中野氏は「一般的な赤色よりも緑色(グリーン)のほうがはるかに使い勝手がよい」という。先述のように中野氏のスライド資料の重要な箇所は赤色やエンジ色で記述しており、レーザー光がグリーンであればそれらの色とかぶらずにわかりやすい。
「多くの内容を詰め込んだスライド資料を説明する際、注目してほしい箇所をレーザーポインターで指し示すことが不可欠ですが、PR11-GCのグリーンレーザーは光量も十分で、広くて明るい会場でも遠くからしっかり視認することができます。また本体が持ちやすいフォルムになっており、手の震えなどによるブレがほとんど目立たないので、話し手の緊張を感じさせることなく堂々としたプレゼンを行うことができます。私が以前使っていたレッドレーザーのモデルと比べ、これらの点も非常に気に入っているポイントですね」
さらにレーザーポインター本体に備わっているタイマー(カウント)も、重宝している機能のひとつである。PR11-GCは設定時間のカウントダウンやカウントアップが可能で、設定時間の経過を振動で知らせてくれるバイブレーション機能まで備わっている。さらにバックライト付液晶なので、暗い会議室での視認性も十分だ。
「時間を気にする素振りを見せないのもプロですから、プレゼン途中で腕時計を見るのは好ましくありません。あたかも体感によって制限時間ちょうどにプレゼンを終えたように演出できれば、聞き手の話し手への印象はさらに高まります」
強い信念と細やかな気配り、そしてプレゼンツールへの徹底したこだわりなど、さまざまなビジネスシーンで成功を勝ち取ってきた中野氏から学ぶ点は多い。
学生の抱くイメージと企業の実情の乖離(かいり)という社会課題は、OfferBoxなどの登場によって減りつつはあるものの依然として残っている。中野社長は今後もPR11-GCをプレゼンの“相棒”に、さらなる啓蒙活動に励みながら若い人財の可能性を広げる「新卒市場のイノベーション」に挑戦し続ける。
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