このページの本文へ

佐藤 健寿 写真展「U.F.O.」

公開日:2025年4月7日

世界各地の〝奇妙なもの〞を対象に、博物学的・美学的視点から撮影を続けている写真家、佐藤健寿氏。およそ20年もの長きにわたり、世界を旅しながら、多様な文化や民俗、そして、その土地土地に生きる人々の姿を見つめてきました。
摩訶不思議な世界だけでない、ニュートラルな視線で撮影された作品140点を展示いたします。2003年の初期作品から2025年の新作まで氏の旅の軌跡を辿っていくうちに、何か見えてくるものがあるかもしれません。

作品は、すべてキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし展示します。

開催日程 会場
2025年5月15日(木)~2025年6月24日(火)
10時~17時30分(日曜・祝日休館)
キヤノンギャラリー S(品川)

作家メッセージ

 唐突に、ある光景を思い出すことがある。
 およそ20年近くも世界をうろうろしていると、旅の中で見た膨大な光景が、いつしか記憶の中で混ざり合って、突然、頭の中でフラッシュバックするのだ。記憶の彼方から現れる光景は、いつも支離滅裂で、限りなく未知に近い。
 引き出しの奥から突然出てきた古い写真のように、本来の場所から切り離されて、意味を失くした光景。ここはポンペイ島の蒸し暑いホテルか、ペルーのうら寒い安宿か、極寒のヒマラヤの山小屋か、ポルトガルの小さな教会か、薄汚れた西安の食堂か、あるいはネバダの砂漠、エリア51近くのモーテルだったか。
 映画を見た夜、何気ないワンシーンがふいに蘇るように、フラッシュバックするのは、旅の最中は意識すらしなかった、名前も知らない景色ばかりだ。そして次には、それが果たしてどこに属すべきものだったかをしばし考える。自分は本当に、ここにいたのだろうか。
 旅から帰って写真を眺めるたび、撮ることができたものよりも、撮れなかったもののことを考える。写真に写せなかったもの、あるいは写らなかったもの。何かを撮影するということは、それ以外の何かを切り捨てることと同義だ。
 未知のもの/ Unknown、忘却したもの/ Forgotten、見過ごしたもの/ Overlookedーーー写真が世界のネガとしてあるように、見えるものとは、常に見えないものの反照にすぎない。

佐藤健寿

作家プロフィール

佐藤 健寿 (さとう けんじ)

写真家。『奇界遺産』シリーズ(エクスナレッジ)は写真集として異例のベストセラーに。ほか著書に『世界』『PYRAMIDEN』、『CARGO CULT』など。TBS系「クレイジージャーニー」ほか出演多数。写真展は過去、ライカギャラリー東京/京都、高知県立美術館、山口県立美術館、群馬県立館林美術館などで開催。「佐藤健寿展奇界/世界」は全国で巡回し13万人を動員。

著作権について

当写真展関連ページに掲載されている写真の著作権は作者に帰属します。
これらのコンテンツについて、権利者の許可なく複製、転用などする事は法律で禁止されています。