高橋 宣之写真展:神々の水系
本展は、写真家 高橋宣之氏による写真展です。
高知県在住の氏は、県内の森や川、海など自然風景を中心に撮影活動を行っており、特に「仁淀川水系」の美しい水の源流である森の姿を中心に撮影を続けています。
海の水が蒸発して雲を作り森に雨を降らせる。雨水が森の土に染み込みやがて地上に湧き出て川を作る。この水の循環のいたるところに宿る「神々」を感じながら撮影してきた氏の作品の中から、厳選した約50点を展示します。
作品はすべてキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントし、展示します。
開催日程 | 会場 |
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2021年6月21日(月)~6月29日(火) | キヤノンギャラリー S |
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当初5月8日~6月12日での開催を予定していましたが、該当期間が新型コロナウイルス感染症拡大の影響により臨時休館となったため、会期を変更・短縮し開催しました。
作品・展示風景
紹介動画・対談動画
作家メッセージ
神々の水系
引き込まれそうな海の青も、眼前に迫った巻き波の形も、圧倒されそうな怒涛の音も私は好きである。水平線に落ちる稲妻にも、天頂にのびる夏の銀河にも、できれば毎日のように会いたいと思っている。海が好きになると海の方から様々なドラマを見せてくれるようになるので、楽しくてしかたがない。風に向かって立ち上がった波頭が虹の飛沫をなびかせているのもいい。入り日の瞬間に太陽が青や緑に光るグリーンフラッシュ現象も、ゾクッとするほど美しい・・・。二十歳代の半ば、私が写真家を志したころの手帳に記した文章である。
毎日のように海にレンズを向けていたあのころを思い出すと、なつかしさとともに数々の海のシーンが脳裏にうかぶ。そんな時代が15年ほど続いただろうか。ある日私は海に背を向け、遥かな山脈を目指して川をさかのぼることになる。海に流れ込む淡水の姿に興味を持ちはじめたのである。そして、無限に変貌する水に感動し、清冽な青い水に心をうばわれるようになっていった。美しい水を探せば、行き着く先はいつも決まって原生林であった。そこには途方もなく巨大な「森羅万象」の世界があり、私を待ちかまえていたのである。私は自然に対する畏敬の念を抱きながら森の中をさまよいはじめた。2ミリメートルの小さな水滴の中にも宇宙があり、何かの音色のようなトラツグミの声にも心をうばわれた。闇が迫ると生物発光が見え、闇夜の森が祝祭のように輝くことも知った。森は湿度をおび、すべてが神々しく、不思議な安らぎに包まれていた。
海や川を撮影しながら、はや50年近くの年月が流れた。ふりかえると私の写真人生のほとんどは水とともにあったといっても過言ではない。はてさて、明日はどんな水系の水に出会えるだろうか。楽しみである。
作家プロフィール
高橋 宣之(たかはし のぶゆき)
1947年高知県生まれ。1973年からフリーランスの写真家となり「波」の撮影に入る。1987年、波の撮影の最終目標地だったマゼラン海峡に入り、1年間ほど最果ての海原の撮影をする。帰国後、撮影テーマを「花鳥風月」に変え、川の流域や、水の生まれる原生林にレンズを向けはじめる。以降、「水」「仁淀川」「原生林地帯」などを撮る「水系の写真家」として現在に至っている。2010年から動画撮影をはじめ、NHKスペシャル「仁淀川~知られざる青の世界」のクルーに参加、以後、動画作品にも力を入れている。
著作権について
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