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北井 一夫「COLOR いつか見た風景」

横須賀港の原子力潜水艦寄港反対闘争をテーマとした写真集『抵抗』(1965年)や、成田空港建設の反対闘争をまとめた写真集『三里塚』(1971年)など、モノクロ写真によるルポルタージュを発表し、写真家としての活動をはじめた北井一夫氏。
本展では、1970年から2000年にかけて、日本、フランス、スペイン、ドイツを旅した中で撮影したカラー作品約170点を展示。そこには、北井氏の視点でとらえた、自然やその地で暮らす人々の日常が写されている。

会期 会場
2014年2月6日~2014年3月17日 キヤノンギャラリー S

作品・展示風景

作家メッセージ

私の写真を思い浮かべる時は、ほとんどの人が黒と白の写真を頭に浮かべるのだと思います。たしかに、「抵抗」「村へ」「フナバシストーリー」など、どれも黒が少し強いモノクロームの記憶です。
しかし、雑誌などから依頼された仕事は、ほとんどの場合がカラーフィルムでの撮影でした。
私が雑誌の撮影の仕事をはじめたのは、1968年、「アサヒグラフ」という大判のグラビア週刊誌でした。その頃の雑誌はカラー全盛の時代で、カラー写真を撮る人はモノクロームの人よりもランクが上と見られていました。しかもカラーだとモノクロームよりも50パーセント位原稿料が高かったのです。雑誌で仕事をする私たち若いカメラマンにとってカラーフィルムを使うのが夢でした。

というようなことで、若い頃からモノクロームがほとんどだった私でも、雑誌からたのまれた仕事でのカラー写真がけっこうな数量残っていました。
いまふり返ってカラーとモノクロームの関係を考えてみると、モノクロームが私の写真人生の裏街道だとすれば、カラーはちょっと気がひけて歩きにくい表街道のようなものだったかなと思います。
昨年の「いつか見た風景」展(東京都写真美術館)は、裏街道の50年だったので、今年はあまり知られていない私の表街道を「COLOR いつか見た風景」ということで、キヤノンギャラリー Sが開催してくれることになりました。
はじめてのデジタルプリントによる私の写真展です。どうぞゆっくりご覧ください。

作家プロフィール

北井 一夫(きたい かずお)

1944年
中国鞍山市に生まれる
1965年
日本大学芸術学部写真学科中退
写真集「抵抗」未来社
1971年
写真集「三里塚」のら社
1972年
日本写真協会賞 新人賞受賞「三里塚」
1974年
写真展「15人の写真家」国立近代美術館
1974年
木村伊兵衛写真集「パリ」をのら社から出版
1974年~1977年
アサヒカメラに「村へ」を連載
1976年
第一回木村伊兵衛賞受賞「村へ」
1978年
写真展「村へ」ツァイトフォトサロン
1981年
写真集「新世界物語」長征社
1982年
写真集「英雄伝説アントニオ猪木」柴田書店
1988年
写真展「北井一夫展」大阪ピクチャーフォトスペース
1989年
写真集「フナバシストーリー」六興出版
1990年
写真集「いつか見た風景」蒼穹舎
写真展「いつか見た風景」イルテンポ
2001年
写真集「1990年代北京」冬青社(写真展同時開催)
2005年~2013年
日本カメラに「ライカで散歩」を連載
2008年
写真集「ドイツ表現派1920年代の旅」冬青社
2010年
写真集「1973中国」禅フォトギャラリー(写真展同時開催)
2011年
写真集「西班牙の夜」冬青社
2012年
写真集「バリケード」ハーパーズ・ブックス(ジョン・ゴセージと2人展を同時開催)
写真集「プロテストボックス」マーチン・パー編集
写真展「いつか見た風景」東京都写真美術館
2013年
日本写真協会賞 作家賞受賞「いつか見た風景」

著作権について

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